♥ セロフィートの戯れ 1
オレは守護衛士をしているマオ・ユーグナル。
自称吟遊大詩人のセロフィート・シンミン── オレは親しみを込めて、 “ セロ ” って呼んでいる ──と共に色んな大陸を渡っては世界中を旅している。
セロとオレは≪ バルカナラン大陸 ≫に来ていて、≪ カントミの街 ≫を目指して旅をしている道中だ。
昨日は≪ コサッグ村 ≫に滞在していたんだけど、運が無いと言うか…選りに選って滞在中に山賊が≪ コサッグ村 ≫に奇襲を掛けて来たんだ。
セロと2人きりで≪ 村落 ≫の中を楽しくデート──じゃなくて、観光していたのに山賊に邪魔されたんだ。
マジで腸煮えくりかえるっつーーーの!!
然もだ、山賊の野郎共と来たら、オレに勝てないと分かると尻尾を巻いて逃げ出した。
手ぶらで逃げ出すのは全然構わないけど、あろう事か山賊共はオレのセロを連れ去って逃げたんだ!!
許せないっ!!
デートの──じゃなくて、観光の邪魔をしただけじゃ飽き足らず、オレの大事なセロを人質にして逃げ去るなんて!!
山賊共めぇ〜〜〜、実は早死にしたいのか??
取り敢えず、手加減が出来ずにオレが半殺しにしてしまった山賊共は縄で確り手首と足首を縛って、動けないよう海老ぞりになるように縄で結んだ。
声を出せないように布を口に加えさせて結んでいる。
山賊共は村人達に任せる事にして、オレは憎らしい山賊共の住み処へ向かって≪ コサッグ村 ≫を出たんだ。
──今、オレの目の前には山賊共の住み処がある。
この中にオレのセロが捕まってるんだ……。
セロ…………助けに来たよ!!
頼むから、呉々も早まった事だけはしないでくれよな!
オレは意を決して、山賊共の住み処へ足を踏み入れた。