海軍記念日
本日は海軍記念日です。
陸軍記念日は三月の東京大空襲と同じ日付ですので、今年の紹介は見送りました。
陸軍も海軍も記念日制定の理由は日露戦争にあります。
海軍では115年前のこの日、対馬海峡付近でロシアの太平洋艦隊、いわゆるバルチック艦隊を撃滅した日です。
東郷平八郎提督の麾下で猛訓練を重ねた聯合艦隊が「敵艦見ゆ」との報に接し、直ちに出撃しました。
「天気晴朗なれど波高し」の天候で聯合艦隊はバルチック艦隊を捕捉します。
そして世に名高い丁字戦法でバルチック艦隊の行く手を阻み、的確な艦砲射撃を浴びせて完膚無きまでに撃破、この一報は全世界を駆け巡りました。
アジアの小さな島国が、新興国の一つが、ナポレオンを破った強国ロシアの主力艦隊を撃破したことは、全世界に衝撃を与えます。
トルコは長年、ロシアの南下政策に悩まされ続けていましたが、バルチック艦隊撃滅の報に接して喜び、庶民が我が子に「トーゴー」と名付けるぐらい熱狂しました。
インドも英国植民地下にありましたが、有色人種でも白人に勝てると思い直し、独立運動へと繋がります。
中国に於いても近代化への道筋の一つとして留学先に日本を選ぶ人々が増え、中華民国成立への力となりました。
全世界が衝撃を受け、それぞれの変革へと踏み出した一方で、我が国は大艦巨砲主義と決戦主義が抬頭し、戦略的な柔軟性を失って敗戦に至ります。
それは我々国民の側にも責任の一端があり、日露戦争の旅順攻略で得た戦訓を活かして立案された「青島攻略戦」では一ヶ月以上をかけて万全の態勢を整えましたが「憶病風に吹かれたのか」などと誹る者もいました。
また戦端を開いて一週間ほどでドイツ軍の要塞を陥落させたことも、軍令部の作戦を忠実に遂行した前線将校への批判に転用されるなど、後の世に大きな禍根を残してしまいます。
我々国民は平和を願うならば、この「青島の戦い」のように万全の態勢を整え、最小限の被害で最大の戦果を得る戦い方を褒めなければなりません。
孫子の説く「戦わずして敵の兵を屈するは善の善なるものなり」を実践できるよう、平素の情報戦に負けない教育こそ平和の礎です。




