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昔、小学生の頃だっただろうか、どのような流れでそうなったのか、忘れてしまったのだが、父親とキャッチボールをすることになった。
その時に、私がボールを父親に投げ返す度に、
「投げ方がおかしいね」
これまた、馬鹿にしたような表現で私に言ってくるのである。
「こうしたら、もうちょっとうまく投げられるよ」
とか、
「こうした方が良いんじゃない」
等の具体的なことは言わない。
彼の目的は、自分の劣等感を解消することだからである。
弱者をいじめることで、自分の地位を確認したいのである。
もし、他者に対する愛情からのアドバイスであれば、先に示した具体的なことを話しかけそうだが、決してそれはしない。
というより、「できない」のである。
それは、彼には、「自己愛」「自己顕示欲」しかないからである。
「俺を見て!」
「俺ってすごいでしょ!」
「俺ってこんなに早く、うまくボール投げられるんだよ!」
自分の「子供」に甘えているのである。