1/9
1
私の父親は、いわゆる「子供」であった。
それを認められない。しかし、世間は、父親に「大人」を求めてくる。
つらい。つらい。不満になる。
その不満を弱者である、妻と子供にぶつけてくるのである。
周りの大人には、ぶつけられない。
なぜなら、その「子供」は、世間の「大人」が怖いからである。
だから、強い「子供」は弱い「子供」をいじめるのである。
情けない限りだが、それが真実である。
彼には、もはや、それを認められるだけの力量は残っていないだろう。
しかし、それが真実である。