要相談
タチホコヘビ。
「えっ、いや、そんな事を言われても困る」
洋館にて少女に話をしてみる。もちろん峰岸の話だ。少女の答えは案外そっけないものだった。
「貴方、自分は誰も恨んでないのに、なんで彼はいじめを引きずって誰かを恨んでるなんて思うの?」
「そりゃ…だって殺したいってさぁ…表面だけで違うかもしれないけど……」
「いちいちそんなありきたりなことで来られてもねぇ……まぁ、いいけど。さっき言ったことは私にも当てはまるから」
少女は俺に微笑みかける。不思議な笑みだ。
俺は少女を見つめる。
他人を自分の価値観だけでは測れない。まして俺は普通の人間だ。
「連れてきなさい。会ってみるわ、その人に」
マジか!?最初は無理そうだったけどなんか峰岸の話を聞いてくれるみたいだ。しかし、何故急に……
「私にとっては些細なことでも誰かにとっては大事な信念かもしれない……」
ありきたりな言葉かもしれない。でもその言葉は俺の頭の中に響いていた。
「人間はまぁ些細なことでも身を滅ぼすからねぇ。手遅れになる前に手を打つことは悪いことじゃないさねぇ」
やっぱり何考えてるのかわからない。掴み所がなくふんわりとしていて……
「と言う事で、貴方、はやくその峰岸とやらを連れてきてくださらない?」
横暴だ……
俺はその日のうちに峰岸に電話をかけた。暫くして返信があった。バイトが終わってからなら時間があるとのことだ。
俺は峰岸のバイトが終わるのを待った。
「よぉ、大丈夫だったか?この後」
「大丈夫っす。で、紹介したい人ってなんすか?宗教とかはヤダっすよ」
俺は峰岸に大雑把に洋館のことを話した。もっとも現実離れしたことは伏せておいたが……怪しんでついて来なくなるかもしれないし。
俺と峰岸は洋館の門をくぐる。
その先に大きな闇があると知らず……
初めてみた。死んでたけど。