決着!?
お金ない。
走る。俺はとにかく走る。
が、敵の能力は俺たちに逃走を許さない。
「逃がさない!」
うわ!青年は凄い速度で追ってくる。
「あれが彼の固有能力……いやー素早いってだけで厄介だね」
「さっきから何なんだあ!?おかしいだろ!あいつはくそ速いし俺は三階から飛び降りても平気!全く訳が分からない!」
「そうだねーー説明したいけどそんな暇はなさそうだ」
急に外美が止まる。
俺も足を止めた。そして気づいた。
「なんだよこれ!」
同じ景色だ。洋館からの一定の道のりがこの先永遠に繰り返されている。まるで合わせ鏡のように先が見えない。
「洋館を複製した能力の方かな?大規模な空間精製…いや精神に作用しているかもしれないね。うかつに動くと道から逸れるかも」
俺たちは敵である2人に向き合う。
「なに余裕ぶっこいてるんスか?もう逃げられないってわかってます?」
俺の額を汗が伝う。まずい……逃げられないし立ち向かう術もない。
俺はちらりと外美の方を見る。本当に余裕そうな表情だ。むしろわくわくしていないか?彼女の顔は楽しいショーを見ているときのようだ。
「いやね、本当は1人1人ちゃんと調査したいんだ。でも、そうさせてくれないなら仕方ないなって」
外美はそう言うと俺の肩に手を置いた。
「固有能力ってのが気になるようだね、森山くん。ちょうどいいから今説明してあげよう」
いやいやそんなことしてる場合か!?敵はこっちに迫ってきている。説明している暇なんてないでしょ!!
「さて固有能力は基本的に一人に一つ備わっている。ただし使い方次第でだいぶ応用が利く。つまり意外と適当なものなんだ。そしてこの固有能力は思い込みによって生まれることがわかっている」
敵の青年は間合いを詰める。しかし、その攻撃を外美はかわそうとしない。
「そして固有能力は能力を見てその存在を知ることによって気づくことが多いんだ」
外美は青年の目にも留まらぬ攻撃をかわすそぶりも見せず…そもそも俺と会話したまま回避した。そのまま風に流れるように青年の頭上を越える。軽やかで見ていて不思議な感じだ。
外美は次の攻撃を行おとする青年の肩をそっと触れふわりと彼から距離を取った。
「私の固有能力を教えてあげよう。私の固有能力は『質量』。あらゆる重さを操作することができる能力さ
その瞬間、目の前の今まさに戦闘していた青年の動きが遅くなり彼は膝をついた。
重さを操る……現実感はないがそれは今までの戦闘を考えると納得できる。
「さぁ、どうする?」
外美はもう一人の刺客に向き直った。
50000兆円欲しい。