出会い
木曜更新
俺、源五郎。
たぶん、源五郎。
今起きていることは常識外れすぎて俺には理解できない。
なんだよ、おい。俺は普通に日常を生きていたはずだ。超能力やら怪物やら…呪いやらも…ないはずだ。そう、この地球上にはそんな超常現象はない。うん、そのはず……
「君、美怨という人を知っているかい?」
その目の前にいる人は……パッと見普通の女性で、少し身長が高くてスタイルのいい美人といった感じでして。眼鏡をかけているし白衣だしで学者っぽい。
そんな、まぁいてもおかしくない普通な外見の人だが…
「急ぎだったので『固有能力』を使ったんだ。もしかして見慣れているかい?まぁ見たことなくても今回に関しては関係ないか」
彼女は空から降ってきた。周りは東京のビル群、一体どこから落ちてきたんだかは知らない。ただ彼女は俺の目の前に突然軽やかに着地したのだった。
俺もびっくり。
「美怨を探しているのだけれど最近の行方がわからないんだよね。君は昔……といっても2年前かな。美怨とコンタクトがあった、と聞いたんだけど」
美怨?彼女に用がある人物?
それなら少しはこの異常事態を理解できる。
「美怨さんに何か用で?」
「用ではないよ。用ではなく調査というのが正しい。教授の依頼でね。ワタシ、その美怨って人のことを知らなければならないのです」
はぁ……教授ということはこの人は大学生かそれに関係する人ということだろう。
だが美怨に何の用だろう。いや、調査か。調査することは多いだろう。あの人の言っていることは理解できないし科学で考えることができない。是非調査してほしい。
「俺……」
美怨って人のこと知ってますよ。と言おうとしてやめた。
なんか個人情報を漏らすのはまずいかなって。この人も大事なことはぼかしているし信用できるか怪しい。美怨には別に恩義もないが情はある。
「知らないです。今は。昔のことなら話せますけど」
すると、彼女はがっかりしたような表情をした。クールに見えて意外と感情が顔に出るんだな、この人。
「知らないならいいや」
そう言うと彼女はにっこり笑った。
「じゃあね、源五郎君。あ、そうだ。もし話す気になったら東京承和大学に連絡を。 栞外美に用がありますと言えばいつでも会えるよ。では!!」
そう言い残し彼女は走り去っていった。
帰りは普通だ。
俺は彼女が見えなくなるまで道の先を見つめていた。
続くといいですね