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第八十話 突然

 次の日、昼食が終わり午後になろうとしていた。


 俺が本を読もうと机に腰かけていた時突然俺の部屋のドアが開かれた。


「エリザ様どうしたんですか?」


「エリザ姉なに?」


 エリザ姉が扉を開けて部屋に入ってきた。


 珍しいな朝練の時はよくドアを無理やり開けて連れられて行くことがあるが、午後に来ることはないからな。


「レイル鬼ごっこしよう」


「急にどうしたの?」


「ほら行くわよ。レイアも来て」


 俺はエリザ姉に服を掴まれて連れていかれる。どうやら俺には決定権がないようだ。ついでにレイアも連れて行くようだ。


 なぜ急に鬼ごっこなのだろうか。よくわからないが、エリザ姉がよくわからないのはいつものことだから気にしないでおこう。後でルカかリヴィア辺りにでも聞けばいいか。


「はい、わかりました」


 レイアも断れないのがわかっているので渋々、了解してエリザ姉に引きずらて行く俺の後を追ってきた。レイアは最近俺の仕返しもあって、おとなしく真面目になっている。


 引きずられている途中ロベルト兄の部屋のドアのカギが壊されているのが見えた。


 やばいな。とうとう鍵まで壊し始めたか。もっと頑丈にしないと通用しなくなってきたか。たぶん、みんなは先に連れられているのだろう。


 階段を下りて外に出ると絶望感漂う表情のロベルト兄と笑顔のペルナ姉が待っていた。


「で、エリザ姉鬼ごっこどこでやるの?」


「西にある牧場の奥の森よ」


 あの牧場の奥にある森か。いったことはないがあそこの森はオルトシーニ家の敷地で騎士たちが実践訓練で使っていたりあの中には果物のなる木もあるいい場所って聞いているんだけど迷子になってしまう可能性があるな。俺が気を付けなくてはいけないな。


「遠くない?」


「馬に乗ればいいのよ」


「馬に乗るの」


 このロベルト兄の反応、馬がそんなに得意じゃないようだな。しょうがないかロベルト兄は俺たちと違って数回程度しか乗っていないし、この家の伝統だと教育が始まるのって6歳くらいだからな。ペルナ姉と俺はエリザ姉に巻き込まれて、少し訓練をしているから疲れないが森につくまでロベルト兄は体力が持つのか心配だな。全てはロベルト兄を乗せる馬を操縦するメイドのメルミの操縦技術にかかっているな。


 ロベルト兄が案の定メルミと一緒に乗った。


 このままだとリヴィアとラヴィニアまだ馬に乗れないから俺がレイアと一緒に乗ると乗れなくなっちゃうかもしれないから俺は一人で乗ろうかな。ペルナ姉も一人で乗れるけど速度が遅いからどうせイーベルと一緒に乗るだろうから、ダンジョンでものすごい速さでついていくのに慣れている俺が一人のほうがいいな。


「レイア、僕1人で乗れるから大丈夫だよ」


「はい、わかりました」


 俺は一人で乗ることをレイアに伝えた。レイアはすぐに返事をした。レイアは俺が馬を一人で、普通に操縦できることを知っているので何も言わなかった。


「その代わりラヴィニアを乗せてあげて」


「はい」


 俺はレイアにラヴィニアに乗ってもらうことにし、これでちょうどぴったり乗れるだろう。


 たぶんこのまま黙っていると、ペルナ姉が無理して1人で乗るって言いだす可能性があるからな。ペルナ姉には負担をかけたはくないからな。


「ごめんレイル」


「いいよペルナ姉、慣れてるから」


「すみませんレイル様」


 ペルナ姉は悪いと思ったのか、俺に謝ってきたが俺は慣れているので当然のことをしているだけだから、謝る必要ないのにな。


 それからペルナ姉はイーベルと、ルカとリヴィア、レイアとラヴィニア、エリザ姉俺の順番で並んで走っていった。この順番ならロベルト兄が先頭になって、疲れない程度の速度で走ってくれるだろう。


 俺達は馬に乗りしばらくして東の森についた。


 だいぶ遠かったな。ロベルト兄も少し疲れている。先頭を走っていたけどエリザ姉の相次ぐ、もっと早くして、アピールが多かったせいでスピードが上がっていったから、仕方ないか。


 それよりもなんで森なんかで鬼ごっこやるんだろうと思ったので、リヴィアにこっそりと聞いてみた。


「ねぇ、リヴィア」


「はい、何ですか?」


「どうしてエリザ姉森で鬼ごっこなんてやろうとしているの?」


「今日、エリザ様が絵本を読んでいてそこに鬼ごっこの話が書いてあって、その話を好きになりまして、私もやってみたいということになったんですよ」


 そういうことか、絵本を読んでいてその話を好きになってしまったエリザ姉がその話に憧れて、やってみたい、と浅はかなことをすぐに思って俺たちを巻き込んで話の通りにやろうとしているのだろう。


 迷惑なことだな。メイドたちだけ誘ってやってほしかったけどエリザ姉にそんなことを期待しても無駄か。たぶん最初に考え付いたときには選択肢の中に必ずいつも特別なことがない限り、ペルナ姉と俺は確実に含まれているからな。大変だ。


「なるほど、ありがとうリヴィア」


「いえ」


「レイルなんの話しているの?」


「ペルナ姉、何も話してないよ」


 ペルナ姉に聞かれそうになっていたか。聞かれても別に何も起きないと思うけどエリザ姉に聞かれて倍何かしら起きてしまうかもしれないから、極力避けたい。思わぬところに地雷があるからな。エリザ姉が来そうなときに言動に注意しておきたい。エリザ姉と接する場合、特に何もないときはうんとかすんとか言っておけば地雷に触れずにすむ。


 そんなこと思っているとエリザ姉が前に出てきた。


「みんなそろそろ始めるよ」


 エリザ姉が鬼ごっこを始めるためみんな呼んで集めた。皆はゆっくりとエリザ姉の近くに集まっていった。ロベルト兄が一番重い足取りだった。


 ロベルト兄は体力がないからな。体力を使う鬼ごっこは苦手だしやりたくないだろう。俺がロベルト兄にはおとなしく捕まってあげようか。


 エリザ姉が鬼ごっこを知らないラヴィニアに説明を終えた。


「それから、今回で最後に鬼だった人はこのまずい飲み物をジョッキで飲んでもらうから、みんなさっそく鬼を決めるから、ジャンケンするよ」


 エリザ姉は用意がいいことに罰ゲームを用意していたようだ。エリザ姉の言葉とともにみんながジャンケンをする体制になった。みんななぜか最初の罰ゲームを聞いたとたん真剣な様子になっていた。


 なんで、みんなそんな真剣な表情になっているんだ。そんなにまずいのかな。その茶色く濁った飲み物は。確かに少し変な臭いがするけど俺が最後鬼になって犠牲になってもいいんだけど、みんな嫌がっているから面白そうだし、みんなに楽しい罰ゲームを受けさせてあげようか。


「最初はグー」


 エリザ姉がかわいらしく言ってジャンケンが始まった。


 さて、最初は何を出そうかな。みんなの手を見て考えてから手を決めるか。俺がみんなを見てみると、ロベルト兄がチョキを出してそれ以外みんなグーだったので、ロベルト兄が鬼になって最初から体力を使わせたくなかったので引き分けにするため俺はパーを出そうか。


「ジャンケン、ポン」


 みんながグーを出してロベルト兄と俺がチョキとパーを出し、一回目はあいこになった。そのあともなぜかロベルト兄が1人負けが連続十回続いくたびに俺がみんなの手を見て、手を変えてあいこにしていった。


 すごくジャンケンがロベルト兄は下手だったが何とかここまでいってようやく、エリザ姉が一人負けしそうだったので俺はみんなと同じ手にしてエリザ姉が鬼になった。


 ようやく決まったな。ロベルト兄がジャンケンは弱かったのが驚きだな。


「私が、鬼か。制限時間は2時間だから100秒数えたらスタートね、いーち、にー…」


「ながっ!」


 エリザ姉は最後に制限時間を言った後すぐに秒読みを始めたので、みんなはすぐに森の中に入っていき、ばらけていった。


 そんなに長いとロベルト兄の体力が持たないだろうな。仕方ないロベルト兄が捕まったら、俺がすぐにロベルト兄の近くに行って鬼を変わってあげようか。


 ロベルト兄なら頭がいいから隠れてやり過ごして案外大丈夫かもしれないけどね。


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