第七十九話 見つかる
俺が自分の部屋に戻るため中央階段を上って廊下を歩いている時にエリザ姉の部屋の扉が開かれた。
エリザ姉かな? なんか変な予感がした俺は腰にあるジャガイモ団子の入った袋を後ろの腰あたりのほうにもっていきエリザ姉にばれないように隠した。
「何やってるの?」
「何にもやってないよ」
起きる時間が早いな。いつもならまだ眠っているはずなのになぜか今日早起きしたエリザ姉が扉を開けて立っていた。
「ねぇ、今後ろに何か隠さなかった?」
「そうかな?」
どうやら袋を後ろに回した残像がエリザ姉に見えていたようだ。これは厄介なことになったな。素直に差し出すべきか。隠すのを貫き通すか俺が迷っていると、エリザ姉が俺に近寄ってきた。
「見せて」
エリザ姉は俺に近付いて後ろに回り込んで来ようとしたので俺もそれ居合わせて回転して、エリザ姉の視線から袋を隠す。エリザ姉が後ろに回り込もうとするのを阻止し続けると、エリザ姉は最終手段として、俺に抱き着き俺の後ろについている袋を強引に取りに来た。
俺は怪我させるのが怖いので、突き放したり吹き飛ばしたりすることができないので仕方なく、諦めてエリザ姉の好きなままにしていると、今度はペルナ姉の部屋が開きラヴィニアとイーベルを連れて外に出てきた。
なんだ。ペルナ姉も起きるのが今日は早いな。
「何しているの? 二人とも」
あれ? なんかペルナ姉今日いつもより声が低いな。少し機嫌が悪いみたいだ。低血圧とかで朝が弱いのかな?
「レイルが何か隠し持っているのよ。ペルナ手伝って」
「…うん」
エリザ姉はペルナ姉に俺が隠した何かを取るのを手伝ってもらうことにしたらしいが、もうほぼ確定でこの大勢だとペルナ姉の助けなどいらないだろうと思ったが、エリザ姉は念には念を入れて保険をかけてきたのだろう。
ペルナ姉は少しは迷ったもののすぐにエリザ姉に抱き着かれて動けない俺の後ろ回って、俺の腰についている袋を取り上げた。
「はい、とったよ。エリザ姉」
「ありがとうペルナ」
ペルナ姉は俺から取った袋をエリザ姉に渡した。中身を空けようとしていた。
だが、まだ希望は持てる。あの袋は俺の作った特製の袋でこんな時のために袋の底が二重構造になっていて上にはさっきエイダからもらったクッキーが、ダミーとしてあるからよく調べるか全部食べない限り気づかないだろう。
「クッキーだ頂戴」
「いいよ」
エリザ姉は袋を開けて、クッキーだと喜んで俺の返事を待たずに口に運んで食べた。
エリザ姉は一気にたくさんのクッキーを手に持ったので俺はクッキー持ちやすいようにする振りをして袋をさりげなく持って取り返した。
「ペルナ姉も食べる?」
「いいの?」
「いいよ」
俺はこっそりと袋を取り返した後、ペルナ姉にクッキーを袋から取り出して渡した。
これで気がそれてくれるかな。エリザ姉もまだクッキーに夢中このままなら普通に厄介ごとに巻き込まれずに部屋に戻れるな。ペルナ姉だけなら、別にいいんだけどエリザ姉の場合はどうなるか想像がつかないからな。思わぬハプニングに立ち合っていくのはつらい。
エリザ姉は満足したのか部屋に戻っていった。
取り残された俺はじゃいがも団子を渡すためペルナ姉の部屋に行くことにした。
「ペルナ姉の部屋に行っていい?」
「いいよ。どうしたの?」
「それは中で話すよ」
「うん、中に入って話して」
俺はペルナ姉の部屋に行けるか聞いてみると、許可してくれたので俺はペルナ姉にじゃがいも団子を渡すために袋を手に持っていると、珍しく部屋に入ってこようとした俺にペルナ姉が聞いてきたが万が一エリザ姉にも聞かれるとややこしそうなになるのが嫌だからな。
「今日、僕が作ったんだけど食べてみる?」
「レイルが作ったの? うん食べるよ」
俺は袋からじゃがいも団子を取り出してペルナ姉に渡すと、ペルナ姉は迷わず口に運んで食べてくれた。
疑わず食べてくれてうれしいな。
俺はじゃがいも団子を食べたペルナ姉の表情を見ると、じゃがいも団子を口に入れて堪能して食べていた。
「これ、おいしいよ!」
「もう一個食べる?」
「うん、もう一個ちょうだい」
俺がペルナ姉の前にじゃがいも団子を差し出すとすぐに手に取って口に運んで緩んだ顔でじゃがいも団子の味を目を瞑って感じていた。ペルナ姉の口に合って、よかった。ついでに、イーベルとラヴィニアにも感想を聞いてみるか。
「イーベルとラヴィニアも食べてみる?」
「はい、食べてみたいです」
俺が二人に聞いてみると、ラヴィニアが元気よく俺の前に出てきて手を前に出してほしがってきたのでラヴィニアの手の上にじゃがいも団子を乗っけてあげると嬉しそうに口に運んで食べた。
「いえ私は大丈夫で、むぅ」
「いいから、食べてみて」
イーベルは丁寧に遠慮してきたので、俺はイーベルが口を開けた瞬間を見計らって、イーベル口の中に投げ込んだ。イーベルは仕方なく食べていた。どうだろうな。俺はイーベルの反応を待った。
「ほんとにおいしいですね。これ」
イーベルは最初不安だったものの口に入れて食べた後には驚いたようにおいしいと言ってくれた。うんみんなの口にあったようだ。
そろそろ戻るかレイアが起きてくる時間だろうしな部屋に戻るか。
「じゃ、一旦部屋に戻るよ」
「うん、また後で」
俺は部屋に戻り着替えて、朝練に向かうため廊下に出た。いつものようにエリザ姉とペルナ姉がいるが、何か話をしているようだ。
「なんの話をしているの」
「レイルなんで私には丸いのくれないの?」
「えっ」
ペルナ姉、じゃがいも団子のことエリザ姉に話したな。何もペルナ姉に注意も何も言っていなかったからそうなんだけど、エリザ姉に知られてしまったか、どうしようか最初はごまかして様子を見てみようか。
「そんなのあったかな?」
「ペルナが言ってたよ。おいしかったって、私にもちょうだい」
エリザ姉が手を差し出して来たが袋はもう部屋にしまってあるからここにはない取りに行けばいいんだけどね。
「ごめん、持ってないよ」
俺は両手を天井に広げてバンザイの体制になってエリザ姉に体全体を見せた。
エリザ姉は俺の体の隅々を手で触れて隠し持っていないかを確認し、ないことがわかると顔をむすっとさせて頬をかわいらしく膨らませた。
「むー」
「いつか、作ってあげるから」
「いつかって、いつ?」
俺がフォーローしてあげるとすぐにこちらに顔を近づけてきて、すぐに作ってきてほしいのか今度作った時に食べるために聞いてきた。
作る日を言ったら確実に近くに来て見そうだな。その時に作ってなかったら怒られそうだから。日は決めないでおこう。
「気が向いたら」
「今作ってよ」
やっぱり、催促してきたか。エリザ姉は気が短いからな期限が決まってないならそんなに待っていられないだろう。
「エリザ姉朝練始まっちゃうよ行かないと」
「ちょっと待ちなさい!」
俺はエリザ姉の言葉を無視して朝練を言い訳に逃げることにした。エリザ姉は話を最後まで聞かなかったことと、無視されたことにその場で文句を言って怒っていたが、すぐに俺の後を走って追ってしつこく話をしてきた。
朝練が終了してもエリザ姉はずっと俺にまとわりついてきて、作ってとものすごく言ってきたので、永遠と引きそうになかったので仕方なく俺は部屋に置いてある袋をエリザ姉の部屋に思っていくと言って約束しておいた。
「エリザ姉持ってきたよ」
俺は袋からじゃがいも団子を取り出してエリザ姉に渡した。エリザ姉はすぐに食べた。
「ほんとにおいしい、もっとちょうだい」
エリザ姉は俺の持っている袋を取り上げて、じゃがいも団子を全部食べた。
じゃがいも団子をそんなにたくさん食べたか。バターを大量に使っているから、太ってしまうかもしれないが毎日激しい運動しているエリザ姉には関係ないか。
「明日から…な」
「くぅ」
「かっ」
やばいその質問の続きは大体来る前から予想がついていたからわかる。俺は確実に阻止しないとな。俺は毎日作り続けたくないので、それを言われる前にエリザ姉とルカとリヴィアを鳩尾あたりにパンチを入れて三人を気絶させた。
「ふー、危なかった」
こうしておけば気絶前後の記憶は曖昧になるから大丈夫だろう。3人には悪いがこれはエリザ姉が悪いからな。この部屋で会う約束をしたのも、この言葉をもし言われた時の場合の保険だったけどエリザ姉の部屋にしておいてよかった。
俺は袋を回収して3人をベッドに寝かせて部屋を後にし足早に部屋を去った。




