第七十七話 協力とは
「やるじゃないレイル」
「まぁね」
エリザ姉がめづらしく褒めてくれたが3匹しか出てきてないからな。それは当然うまくいくだろうが、50匹以上来られると、こんなに連携がうまく取れるかわからないな。たぶんその時は、エリザ姉をうまく立ち回らせて援護しないといけないからな。ペルナ姉ならうまく立ち回れるんだろうけどね。
「カエター二もっと見つけてきてよ」
「はい、わかりました」
エリザ姉は調子に乗ってさらに追加でモンスターをカエター二が探しに行かせた。でエリザ姉は10階くらいまでならたくさん出てこなければ、エリザ姉一人でも何とかは対処できそうだな。今回は騎士たちもいるし、俺もいるからどんどん調子には乗ってくれて一向に構わないんだけどね。
カエター二がさらに10匹で行動しているコボルトを見つけてきた。
結構多いな。エリザ姉一人では厳しそうだがどうするんだろうか。
「レイルまたやるわよ」
「うん」
俺も入れてきたか。それは半分正解だな。正解は戦うのなら他の騎士とうまく連携し戦うだ。
エリザ姉一人だと厳しいと判断して俺を入れたのはいいんだけど、まずエリザ姉たちにまだ俺は本気を見せていなく印象はエリザ姉と同じくらい強いとしか情報はないはずのに他の騎士を入れないで俺だけ入れたのは、いい判断ではない。まぁ、それでも10匹くらいなら及第点だろう。
「いくよ」
「いいよ」
またエリザ姉が剣を構えて先に今回はゆっくりと慎重に10匹のゴブリンたち前に向かっていった。
俺はどうしようかな。エリザ姉はなら4匹くらいなら軽く相手ができそうだけど、全匹一応、ウインドニードルを連射して足止めでもしておこうかな。
「ウインドニードル」
俺は自分の近くの空中に風の礫を展開する。
今回のウインドニードルはヘカトンケイルが使ったソイルニードルの追尾タイプではなく、それよりも簡単にできる棘の礫を飛ばすタイプのニードル系にした。この技は威力は弱いが初心者でも連射が少し効くので、俺は構わずウインドニードルを連射して放ってエリザ姉がゴブリンに近付く前に足止めをしておいてあげた。
エリザ姉は動きの鈍くなったゴブリンを次々に切り倒していって全滅させた。
「レイルなんで、私より先に魔法を撃っちゃうの?」
「ごめん」
「次から私が前に出てから撃って」
エリザ姉がこちらに向かってきて、自分の顔を俺に近付けていってきた。
怒られたか。やっぱりエリザ姉が気持ちよく倒せないといけなかったか。今回みたいに全体攻撃をして抑えていても、ただ動かない相手を切ってつまらないのだろうし、自分が活躍していないのも気に入らないのだろう。
次からはエリザ姉を目立たせて気持ちよく切らせなければ、また怒られそうだが数が多くなってくると難しそうだな。
「エリザ姉、ゴブリンは一度に何体と戦えるの?」
「20匹」
俺は参考までにゴブリンが一度に何体倒せるかエリザ姉に聞いてみた。
そんなに倒せたのか。3匹の時も10匹の時も俺いらなかったよね。本当に倒せるのかな。
「ほんとに?」
「ほんとよ」
俺がもう一度エリザ姉に聞いてみると、自慢もせずに言ってきた。本人からでは真実かわからないので、俺はさらに前回ダンジョンでエリザ姉と一緒にいたカエターニをじっと見つめて聞いてみた。
「はい、そうです。コボルトも同じ数倒せていました」
カエターニは俺の聞きたいことを理解したのか。ゴブリンの情報とともにコボルトとの限界の数を伝えてきてくれた。
ほんとに20匹とやれるみたいだな。なんで、俺と一緒に戦いたかったのだろうか謎だな。
それからエリザ姉が突っ込み俺が後ろから魔法で攻撃をする戦法がしばらく続いた。
また俺たちが戦っている間にカエターニがゴブリン6匹見つけてきていたので戦うことになった。
「レイル、前に出て戦おうよ」
「えっ、今のままでよくない?」
エリザ姉が今度は俺と前で一緒に戦いたいのか。そのまま後方で魔法を放とうとしていた俺に言ってきた。
一緒には戦いたくないな。確実にトラブルになりそうだし、面倒くさいことになりたくはないな。
「いいから」
「(はぁー)」
俺が考えているうちにエリザ姉が俺を掴んでゴブリンが待っている場所に背中を押されて、無理やり前線に出された。
受け入れるしかないか。何も起きないように俺が、頑張らないとな。
俺はエリザ姉の邪魔にならないように前線に押し出されたまま、エリザ姉より一番遠いところにいる一番後ろのゴブリンまですべてのゴブリンたちを無視して近付いて倒し、残り5匹のゴブリンたちの裏を取る。
エリザ姉は先頭にいるゴブリン3匹に向かって、切りかかって倒していた。俺も残る二匹を倒した。俺がエリザ姉の動きを見て、エリザ姉から極力離れながら戦えば問題はなさそうだな。
また、休みなくカエターニがコボルトを20匹見つけてきた。
この訓練はいつまで続くのだろう。そろそろ帰ってもいいころだと思うけど、まぁ、やるならいつまでも付きあうけどね。
「レイルいくわよ」
「う…ん」
今回はエリザ姉が先頭を突っ切っていき、後ろのほうにいるコボルトを相手にしていた。俺は戦闘でエリザ姉に驚いているコボルトたちを端のほうから、ちまちまと倒していると目の前から剣が襲ってきた。
「危なっ!」
「あっ、ごめん」
エリザ姉がコボルトを倒した勢いそのままの剣を俺に向かって振るってきた。俺はそれを受け止める。
危ないな。たぶんエリザ姉は、俺の横にいたコボルトを倒してその剣がコボルトを切り裂いていき、最後まで振り切ったときにちょうどその先に俺がいたのだろう。周りを見ていてほしいな。迷わず俺のことを切ろうとしていたからな。別に防ぎきれるからいいのだけど、次からは気を付けてほしい。
俺はとりあえず、気を取り直して残りのコボルトを倒していった。
それから、しばらく同じことをやっていった。
「うふふ」
「…(こわ)」
エリザ姉は楽しくなってきたのか急に笑いながらモンスターたちを切り裂き倒していっている。
怖いな。狂人か?
「ふっふふーん」
なおもカエターニがモンスターを連れてきては、笑ったり鼻歌を歌いながら返り血を浴び、大量のモンスターを切り裂いていった。
まぁ、それくらいでちゃんとモンスターを狩って行っているなら不満も何もないんだけどね。俺は奥のほうで楽しそうに戦っていながら敵を倒しこちらに向かってくるエリザ姉を見ていた。
エリザ姉は俺のことを忘れて狩りまくっている。楽しそうで何よりだが、挟み撃ちをするときも一緒に正面から戦う時も左右から挟み込んで戦う時もそうなんだが、毎回毎回、俺と合流するときに俺ごと切り裂こうとするのをいい加減やめて欲しい。
エリザ姉の剣のほうが、脅威になっているからな。毎回合流するとき俺が気を付けなければいけないから、ほんとにしんどいんだよね。
そして、今回もエリザ姉が俺に近付いたときに、エリザ姉がまた俺に剣」を振るってきた俺はそれを躱しながら他のゴブリンを倒した。またか、危ないな。
「エリザ姉?」
「ごめん、ごめん」
もう連携もくそもないからもうヤダ、モンスターよりもよっぽどエリザ姉のほうがこの場においてはモンスターに思えるよ。それにもう俺に切りかかるのが慣れたのか、謝り方も軽くなってきているしこの癖を直さない限りエリザ姉は他の人と連携しないほうがいいと思うが、そんなことは口にはできないな。言ったら言ったでしつこく怒られるからね。
それから数回モンスターと戦闘をした。
「エリザ様、時間です」
「わかった。もう帰ろう」
「(やっとか)」
エリザ姉は満足したのか文句一つ言わずに帰る準備に入った。
かなり疲れたな。エリザ姉の剣を躱すことに費やした精神の疲労が半端ない。最初のほうは動きが読めなかったからね。大変だったよ。エリザ姉とは今後極力パーティーは組みたくないな。
みんな帰る準備を終え、俺らは家に戻っていった。




