表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/116

第七話 図書室

 生まれてから9ヶ月がたった。


 三カ月前の訓練の成果は身体能力系のスキルの習得、属性ごとの強化、魔力量が増えた。あとなぜか熊野流ができた。感覚共有は10人同時に操れることができるようになったがとても大変なため俺はそれ用の補助魔法を創造で作り出した。


 あとはようやくしゃべり始めることができた。走れるようにもなったがそろそろ、自分で歩いたりもうしゃべり始めても疑われないだろう。何でもできる成長の速い便利なエリザ姉の例があるし今日マリー母さんが来たら見せてあげるか。


 午後になった。


 来たなマリー母さんに子供みたいに単語を言ってみるか。これなら恥ずかしくはないからな。名前を連呼するだけだし。


 俺はマリー母さんにいつもの通りに抱きかかえられ。柵付きベッドから連れ出されて床に降ろされる。ドア際まで近づいた。


「マリー、マリー」


 連呼しながらドア際からマリー母さん目がけてトテトテと歩いて行った。


「レイル……」


 マリー母さんは信じられないものを見たように目を見開き息子の初歩きとしゃべったことに感動して、俺の名前を呼んで言葉を失っているようだ。さらに歩いて見せる。


「信じられないわ。もうこんなにうまく歩けるようになるなんて」


 どうやら俺がしゃべったことがいろいろ衝撃的過ぎて覚えていないようだ。


「マリー」


 また名前を呼んでみた。今度は自覚してくれるかな。


「しゃべったわ。本当にしゃべっていたわ。私の幻覚かと思ったけど本当にしゃべったわ」


 やっと信じてもらえたらしいが急に俺の部屋から突然慌てて飛び出していった。何しに行くのだろう。


 ちょっと経ってから廊下からすごく慌てて走ってきている音がたくさん聞こえてきた。


「ほんとにしゃべったのかい」


「本当よ。最初は私の気のうせいかとも思ったけど、そのあともレイルがしゃべっていたのをちゃんと聞いたわ」


「私も聞きたいです」


「レイル、ロマーノって言ってみて」


「あっ、ずるいです。私もレイアって呼んでください」


 疑っておきながら自分の名前を呼んでほしいのか俺に自分の名前を伝えてきた。ちょっといじめたくなってきたな。ロマーノ父さんはマリー母さんよりも体系が細い感じがするし最近あまり会ってないんだよな。

 

 ロマーノ父さんとはこういう目でたいとき以外数回位しか会っていないからな。忙しいのだろうどんな仕事をしているのだろう。


「マリー、マリー」


 とりあえず同じ言葉でもしゃべっておくか、確かしゃべり始めは1,2単語くらいしかしゃべれないんじゃなかったかな。そのため、他の人の名前を呼ぶことはやめよう。ずっとマリーって言っておけば大丈夫だろ。


 たくさんしゃべったら確実に何かしら疑われエリザ姉の例があったとしてもダメだと思う。これくらいなら、エリザ姉と同じ扱いをされて乗り切れるだろう。


「マリーしか言ってないぞロマーノ、言ってみて」


「私はレイアです。呼んでください」


「マリー」


 また俺に名前を伝えてきたがしつこい奴らだな。俺は笑顔でマリーと言いマリー母さんの足元にしがみついて後ろに怖がりながら隠れたりした。恥ずかしかったが二人の残念そうな顔を見られて何よりだ。


「ほらしゃべったでしょ。ロマーノ、レイア、レイルが嫌がっているわよ。自分の名前を言わそうとするのをやめなさい」


「マリー様ばかりずるいですよ。私も名前を呼ばれたいです」


「僕も読んでもらいたいな」


 どれだけ俺に名前を呼ばれたいんだ。


「はいはい早く仕事に戻りなさい。(災害の復興を早くしなさい)さもないと。バキッ」


「「はい」」


 マリー母さんが俺専用で部屋に置いてあった一切使ったことのないおもちゃを持ってマリー母さんが片手でそれを握りつぶした。二人はおびえていた。


 どうやらこの家では母さんが立場的に上でこの家の頂点にいる様だ。


 

 相当な握力があるみたいだな。この感じで行くとエリザ姉と同じ体育会系の感じかな。二人は恐怖ですぐに返事をした。頼りない父さんだな。


 返事をした二人はそそくさと俺の部屋を出て行った。


「レイル、もう大丈夫よ。怖かったね」


 マリー母さんは俺の頭に手を置き頭を撫でて俺を励ましてくれた。


 うれしいが俺はマリー母さん。あんたのほうが怖いよ。まだ握りつぶした木の残骸を持っているし暴力的だな。もっと温和に行ってほしいな。


「すごいわね。レイル、もう一回お母さんの名前行ってちょうだい」


「マリー」


 あんたもかい。まぁ、たくさん世話になっているからな俺は呼んであげた。


「あー、可愛い。レイル」


 俺に抱き着いてきてすごく喜んでいる。喜んでくれて何よりだ。


「もう歩けるようになったみたいだしそろそろ、柵付きベッドは卒業かな」


 よし、うれしいことがありすぎて俺の急成長はごまかせたかな。


 どう思っているか気になるがこれで俺の行動範囲が広がるな。しかし、柵付きベッドだけか卒業するものは布おむつも卒業でいいんじゃないのか。一回も漏らしてないぞこの姿で歩くのは恥ずかしいのだが。この問題は本格的にしゃべれるところを見せたら解決するか。

 

 俺はマリー母さんに抱えられて柵付きベッドに戻らされた。


「今日は疲れたと思うから。お休みレイル」


 こないだのハイハイと壁立を疲れた時のことを思い出したのか。俺に気を使いすぐに休憩させてくれるようだ。


「おやすみ」


「!? レイル? 今回は気のせいみたいね」


 俺が最後に小さい声でお休みと返事を返してみた。マリー母さんはお休みという声が聞こえたのか俺のほうを見たが俺はぐっすり寝ていたためまさかと思ったみたいだが今度は気のせいだと思ってくれたみたいだ。


 次の日、俺は普通に歩けることを知った母さんが柵付きベッドから出して地面に俺を降ろしてれた。 


 これは俺を自由にさせてくれるってことか。よし、図書室に行くチャンスだ。俺は歩き出し部屋を出た。後ろに母さんと部屋のドアの前に立っていたメイドが着いてきた。見張り付きだがほんとに自由にさせてくれるみたいだな。


 確か、俺の部屋の近くはエリザ姉たちの部屋が密集しているから近くにはない。一階か中央階段の先にある部屋かどこにあるのだろうか。手当たり次第に探すか。とりあえず中央階段の奥から探してみるか。


 歩いて奥の部屋に行ってみる。ドアの前に立ってドアノブの位置が思いのほか高かったため叩いて合図してみた。


「そこは図書室よ。入りたいの? 」


 俺は首をかなりの勢いで縦に振り合図をしてドアをたたき続けた。


「わっ、わかったわ」


 マリー母さんがドアを開けた。そこにはたくさんの本がきれいに整理されておいてあった。


 マリー母さんはすごい勢いになった俺に驚いていた。いきなりビンゴだな。すぐに図書室は見つかった。しかも、かなりの量の本がある。よし、これでいろいろこの世界について学べるな。

 

 さらに奥にも扉があることに気が付いた。図書室の奥のドアを手にかける。


「あら、私のコレクションを見たいの?」


「? 」


「この部屋には私が集めた、剣や武器を飾っているの、見る? 」


 何だ武器のコレクションか見たいが今の目標が本だから今度見させてもらうか。


 しかし、マリー母さんは男の子みたいなコレクションをしているな。女の人は普通しないだろマリー母さんは何者なのだろうか。


 俺はしばらく、図書室を見回りめぼしいものをチェックしていく。またこの部屋も広いな。俺の部屋の三倍くらいはあるじゃないか? しかも、二階まであるじゃないか。回るのにかなり時間がかかりそうだぞ。


「レイルそろそろ、お部屋に戻ろうね」


 チェックが終わったころふと外を見てみると夕焼け空になっていた。集中しすぎて気付かなかったようだ。マリー母さんに部屋に帰るように促された俺は部屋に戻って寝ることにした。


 今日はなかなかの収穫だったな。


 これで地下室の訓練も次の段階に行ける日が近づいたな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ