第六十二話 個人レッスン
「ちょっと待って木剣取りに行ってくるから」
「はい」
俺は自分の部屋に戻り部屋に置いてあった木剣を2本持ってきた。
「リヴィア、エリザ姉と戦うときの技と気持ちどちらから聞きたい」
俺がリヴィアに聞いてみた。俺は別にどちらからでもいいけどね。まぁ、気持ちで教えるのは騎士たちが普段エリザ姉と戦っているときの構え方なんだけどね。技は基本技を教えようか。
「気持ちがよくわからないのですが、気持ちのほうから教えていただけませんか?」
リヴィアは悩んだ末気持から教わることにしたようだな。リヴィアは俺の近くに来て食い入るように俺を見つめて話を聞く体制になった。
「気持ちはわかりやすい言い方だけど構え方、なんだけど、リヴィアは冒険者の訓練をしていた時どんな武器を使っていた」
「剣です」
構え方には心構えも含まれていて、戦う前にこう戦おうと決めておけば体をすぐに動かせ、とっさの判断にも対応しやすことでもあるが実践で戦闘するわけでもないので今教えなくてもいいか。
「構え方はどんな感じ、やってみて」
俺が指示を出すとリヴィアは木剣を真正面に構えた。一般的な構え方だな。この他にも構えがあるか一応確認してみるか。この家の騎士だと違う構えを持つ人がたくさんいるからな。剣の他に槍と弓、短剣など幅広い範囲の武器を扱えるのは標準であのエリザ姉ですら三つほど使える武器が一応あるからな。
俺は他に構えがあるか聞いてみた。
「他にはない?」
「ないです」
やはり最近冒険者の訓練を受け始めただけだから、それしか構え方を知らないのかな?まぁ、ないのなら別に必要ではないからな。持っていればまた、違ったやり方があると思って聞いただけだ。
「ちょっと、木剣で攻撃するからその攻撃を受けてみて」
「はい」
俺は木剣をゆっくりと全方向から攻撃してその構えからどんな攻撃をするのか調べてみた。
うーん、やっぱりほとんどの攻撃の威力を殺さないですべての攻撃をそのまま受け止めているな。それだと負担が大きいからな。あとで、受け流すことを覚えさせようか。
ここからが気持ちについてだが、戦うときの感覚を聞いてみるか。
「エリザ姉と戦うときって、どうやって戦おうとしている」
「攻撃を入れようとしているのですが、入らなくて防御に回っていますね」
なるほど、攻撃しようとしているのか。攻撃の隙を見つけるため無駄に動いたりして防御面がおろそかになって動きすぎで体力が減り、防御に集中していないせいで不意を突かれて体制がよくない状態で木剣を受け止めてしまいさらに体力が低下していっているんだな。それで、すぐにバテてしまうのだろう。
防御重視で極力動かないで考えたほうがエリザ姉と戦うときは戦いやすいだろう。
「気持ち最小限の動きで躱わして、次に最小限の動きで防御する。攻撃はエリザ姉に大きな隙ができた時だけ攻撃すればいい、こうすればエリザ姉は不満がるが、体力の消耗を減らすことがでれば勝てはしないが長期戦でも体力が持つようになるから今よりは楽になれると思うよ」
「へー、今より楽になれるんですか? やってみたいです」
リヴィアは俺の説明にうなずきながら感心し、楽になれるという単語を聞いて希望を持てたのか明るい顔になっていた。
希望が持て、明るくなって何よりだ。あとは木剣の受け方も教えておかないとな。
「あとリヴィアは木剣での受け方があんまり得意じゃないみたいだから、いっしょに改善しよう」
「私、攻撃しか教わったことなかったから、教えてください」
そうだよな。まだ教わっていないし、他の人たちの動きを見る機会も少ないから、攻撃は一人でも何とかできそうだが守りを覚える機会は一人だとなかなか厳しいよな。我流だが教えるか。俺は木剣を受けるように指示をしてみる。
「じゃ、まずは受け流し方を覚えようか。まずは上から振り下ろされてくる木剣を受けて」
俺は上から木剣振り下ろした。リヴィアは頭の上に木剣を横にして俺の木権を受け止めた。うん、これでいい。
「こんな感じでいいですか?」
「うん、その体制を保っておいて。この当たるときに木剣を斜めにして相手の木剣の剣身を滑らせて逸らす。他にも当たった瞬間に肘を曲げたり、後方に下がって威力を殺す軽減などがあるから当たる瞬間をしっかり見てね」
「はい」
俺はゆっくりと木剣を頭の上に構えているリヴィアにゆっくりと木剣を当てる。
これは本気で攻撃されたときの受け方だけど、エリザ姉はかなり強気の攻撃だからそのまま教えてもいいか。
「その時に、剣先の方向に逸らして」
「こうですか?」
リヴィアは木剣をを受け止めた瞬間、木剣を斜めにして俺の木剣を逸らした。いい感じだな。
「うん、そんな感じでいいよ」
受け流すとエリザ姉は基本木剣を戻すんだけど、しびれを切らした攻めこんでくるときのエリザ姉がたまに強引に追撃すしてくることがあるからな。一応注意させておくか。
「エリザ姉の場合たまに追撃があるのに注意ね」
「はい」
俺はそれを数回やって体の動きを覚えさせたので、一番ノーマルな腕を使っての反動の減らし方を次は教えるか。
リヴィアはまだ当ったときをイメージして練習をしていたが次の受け方を教えることにした。
「この動きは後で練習してね。次は一般的な受け方を教えるね」
「はい、さっきのは一般的なのではないのですか?」
「うん、あれはエリザ姉だから聞きやすい受け方だから、今から教えるのはエリザ姉の時の場合だからね。正しいのはルカとかに聞いてみるといいよ。騎士だからね。あぁ同じ構えでいいよ」
「はい」
これはエリザ姉の対処法と俺の基本的な受け方だからリヴィアがやりやすいとは限らないしな。普通の受け方や技術はメイドから聞いたほうが早いからな。
リヴィアは頭の上に木剣を構え、俺は木剣を当てる。
「その時に、体全体を使えば最小限に抑えられるよ、ちゃんとした受けだから隙がないからね」
全体といっても膝と肘だけどそれは説明しなくてもいいか。隙が無いにはないが剣と剣の離れ際に反撃のチャンスがあって危ないけど、それも防御はしやすいから注意だけしておけば大丈夫だろう。
「こうですか?」
「うん、そんな感じでいいよ。離れ際に攻撃が来るかもしれないから注意しておいてね」
まぁ、まだまだだが一応できているからそれでいいか。あとは自分で修正していくだろうし、俺も話相手の時は見るが、いないとき自主練で上達して慣れてもらおうか。
「慣れてくれば大体見なくても感覚が取れるように、なれるまでは練習おいてね」
「はい」
リヴィアは言われたことを覚えようとしているのか。さっき教えた受け流し方と、今教えた受け方をやっていた。次に行こうか。
「次はエリザ姉と戦う時の足運びね」
「はい」
リヴィアは構えを解いて剣を下して俺の話を聞く体制になった。
俺はそのまま立って動かないで、まず普通に剣を構える体制と同じ姿勢になり後ろに下がることを意識してその場で剣がくるのをイメージして動いて見せた。
「こんな感じに、足運びは基本は動かないでちょっと足をその場で足を入れ替えたりするのだけど、危ないと思ったら後ろに引く感じで攻撃は捨てて守りを意識してね。攻撃するからやってみようか」
「はい」
リヴィアも普通に剣をいつもの普通の構えになった俺はそこにゆっくりと木剣を近づけていき、木剣にあたろうとした瞬間に、ここでアドバイスをした。
「この瞬間受け流したり、受けたときに追撃がきそうとか、威力に押されたら、すぐに下がって体勢を立て直せば無駄な体力を使わずに済むと思うから、常に後ろに下がれるようにしておいてね」
「はい、わかりました。難しいですね」
「慣れだから、毎日練習していけばそのうちできるようになるよ」
俺はリヴィアに別方向から木剣を振って受けさせて、その受けたところにゆっくりと反撃をしたり今までやったことを復習させた。確かたまにエリザ姉は突きも繰り出してきたな。突きの避け方も教えておくか。
「一応突きの対処方法も教えておくね」
「はい」
リヴィアは動きを止めてまた俺の話を聞き始めた。
「突きの場合は後方に下がって避けてね」
「そのまま、こちらに追撃で突いてくることはないのですか?」
「攻めあぐねいて後半になるとエリザ姉たまに冷静さを失ってバカみたいなマネしてくるからあるだろうけど、基本はレイピアを除き剣の突きで本気の一撃をついてくることはないよ。大きな隙になっちゃうからね」
剣で突きを繰り出す場合、本気で腕を伸ばして突くと剣を懐に戻すのに時間がかかる。あと軌道を読みやすくなるので、突きの軌道を剣で当てずらすこともできるなど隙が大きいので相当な使い手か、強気な人とか、こちらに隙が生まれてしまったとき以外攻めてくることはないと俺は思っている。
安全に攻めてくる場合は手を早さ重視で振り、足を使って体ごと移動して攻撃してくるのでそれは構えで大体予想がつくから、その時のよって対処しようと俺は思っている。
「は…はい、わかりました」
リヴィアは言葉に詰まりながらも返事をしてきた、ちょっとわかりにくいようだ。
「これも、一応やってみようか。難しこと考えないでいいよ。突きが来たら、後ろに下がればいいだけだから」
「はい」
なおもリヴィアは何かを考えていたが、俺が構えるとリヴィアも気持ちを切り替えて剣を構えた。俺は木剣を両手で持ち少し右下に下げてから、突きを繰り出したエリザ姉の突きは確かこんな感じだったかな。リヴィアは、その突きを木剣で逸らしながら後ろに下がり剣が届かない範囲に逃げた。
大体こんな感じでいいかな。突きは下がるだけだから、もう一回練習しなくていいか。
「うん、そんな感じでいいよ」
次は技を教えてあげようか。一つくらいは持っていたほうがいいだろうどんな技を教えようかな。攻撃系、防御系、カウンター系何がいいかな。攻撃系はなんか苦手そうだから防御系、カウンター系のどちらかが妥当だろう。いっそのこと防御系とカウンター系の両方1ずづ教えるか。
一つは受け流しで、剣を受けたときに剣で反撃する一般的なカウンターと、相手が剣を振ってきた際に相手の剣を止めない程度の力加減で一度受けて威力を少し下げてから最後に威力を落とした攻撃を受けて最後受け止める二度受けの防御がいいかな。
「じゃ、次は技を教えるね。技は二つ教えたら終わりだから頑張ってね」
「はい」
「まずは、さっき覚えた受け流しからの反撃方法を教えるね。攻撃してきて」
俺が指示をするとリヴィアが木剣でさっきと同じく木剣を振り下ろしてきたので、俺はその木剣を受け流して、攻撃を素早く与えるすんでのところで止めた。
「すごいですね。木剣が当たったと思ったら攻撃されていました」
「これは受け流した相手の攻撃の流れに乗って素早く攻撃を入れることがコツだよ。じゃ、次はリヴィアの番だよ今みたいにやってみてね」
俺はさっきのリヴィアと同じような攻撃をした。俺は受け流しやすいようににゆっくりと振り下ろして、受け流させて、リヴィアのカウンターが入りやすいようにわざと大きな隙を作ってカウンターを確実に気持ちよく決めさせた。
「できた!」
リヴィアは今日初めてできたと嬉しそうに声に出した。
このカウンター技は決まると気持ちいいし、ちゃんと決まると実感できるからな。まだリヴィアは初めてだけど、自覚しているようだから嬉しそうで何よりだ。しかし、今回は俺がリヴィアに合わせたからうまく決まっただけだけどね。
まだリヴィアは初めてでスピードも遅いし動きがまだぎこちないが、これは感覚をつかまないと難しいからな。
逆に感覚をつかんでしまえばあとは毎回気持ちよく決めれるようになれるから、楽しくなれると思うんだけどなこの技はね。しかも、この技には力の使い方は全然まったくもって違うが攻撃系のパターンもあり、いろんな場面で使えるし回数を増やせばさらに威力を落とせたりするから、今後も応用して使えそうだな。
よしテンポよく次の技に行こうか。時間はあるが、覚えた技等語彙の確認やわからないところをじっくり聞きたいからね。
「これから教える技が最後だから早速やっていこうか」
「・・・」
リヴィアは構え方と技を覚えることで頭がいっぱいのようで俺の話が聞こえていないようだ。いい心がけだが、あとで俺もちゃんと見るし先に技を覚えさせておきたいからね。俺はリヴィアの肩を叩いて、俺が話していることを気づかせた。
「あ、すみません」
「これから教えるのが最後だし、あとで、ちゃんと復習するからそんなに焦って覚えなくてもいいよ」
「はい」
リヴィアは顔を少し赤くしながら答えた。俺は少々不安になった。たぶんこれからやる二度受けは、覚えるのにしばらくかかるだろうな。たぶん覚えるまで時間がかかりそうだが、一応教えておくか。
「次は二度受けという技で、このは技は誰にでも効くが特に力が強い相手に有効で初心者は…ま…まぁ覚えやすい技だよ」
俺はすこし噛みながらも技の説明をした。リヴィアは無言のまま、ちょっと頭の中が整理できなくなっているようだな。考えている顔が表に出てきてしまっている。
「攻撃してきてね」
「はい」
リヴィアは考えながらも立ち周り指示通りに攻撃してきた。俺は近づいてくる木剣に触れた瞬間、リヴィアに気づかれないように1回当て、木剣の威力を下げてから木剣を下げて受け止めた。
この技はもう俺が使うことはないと思うんだよね。俺には他に便利な防御技があるからな。
「何をしたのですか。私にはわからなかったんですけど」
「いま、リヴィアの木剣に2回当てて威力を下げたんだよ」
「えっ、気づきませんでした」
「もう1回やるよ」
「はい」
俺はもう一回やり今度はわかりやすくやってみた。
「次はリヴィアがやってみてね」
「はい」
俺はさっそく木剣を振った。リヴィアはさっきと同じ構えで受け止める直前あてに来たが俺の木剣少し弾かれてしまう。そして、そのまま木剣受け止めて終わった。
タイミングがちょっとダメだったがこれくらいならエリザ姉に通用ようするから及第点としようか。
「まぁ、これはおいおい覚えていこうか」
「すみません」
リヴィアは自分がうまくいかなかったので、悪いと思い謝ってきた。元をたどれば悪いのは俺だから謝らないでほしいよね。
「いいよ、謝らなくてこっちから教えたくて教えているんだから、一から復習しようか」
「はい」
リヴィアは落ち込みながらも気持ちを立て直して構えてさっき覚えたことを復習するために木剣を構えた。特訓はリヴィアが疲れるまで続いた。
そろそろ、終わりそうなので普段お生活についてアドバイスをすることにした。
「今度からは朝練の騎士たちの足運びとか構えをしっかり見て、自分でいいと思ったものがあったらど
んどん取り入れるようにしたほうがいいよ。これは他のことでもいえるから、先輩の動きをしっかり見ているといいよ」
「はい、わかりました」
俺もたまに横目で見ていい動きがあったら、取り入れることもあるからな。そういう時はさすがは騎士だと思うからな。
しばらくして、リヴィアが眠くなってきたので俺は部屋に帰ることにした。
「つらいときは言ってね、いつでも話し相手にはなるから」
「はい、ありがとうございます」
「あと、一人の時は定期的に来るからよろしく、じゃ」
「えっ!?」
リヴィアは顔を少し赤くして驚いていたが、俺はそう言い残しそんなリヴィアの反応を無視してすぐに部屋を出ていき自分の部屋に戻っていった。




