第六十一話 リヴィア
それからリヴィア、レイア、ルカの番が終わり俺の番になった。外はもう日が暮れてきている。
はぁ、またやるのか。もやめたほうがいいと思うんだけど仕方ない。
俺がエリザ姉と向かい合ったその時、扉がノックもなく勢いよく開かれた。
「うるさいわよ、お風呂入って早く夕食にしなさい」
ちょっとお怒り気味のマリー母さんが開いたドアの先に立っていた。けっこうな迫力だな。
「はい、わかりました。エリザ様、お風呂に行きましょうか」
ルカはマリー母さんが現れると同時に今まで優しく俺たちを見守っていた顔を引き締めて真面目た顔つきになり、ちょっと安めの体制気味になっていた姿勢を整えて背筋をピンと伸ばした。
さすがはメイドだな。状況を瞬時に見極めてその場に適した態度はすごいと思うが、単純にマリー母さんに怖いことをされるのがいやなだけだろうな。
「うん」
エリザ姉はいきなりマリー母さんとルカの急な変貌に驚かされて、すぐに返事をしてルカのそばに近づいておとなしくルカの手を握てお風呂に行くことにしたらしい。
本当にマリー母さんの言うことはよく聞くんだよな。
「リヴィアも来てください」
「はい」
リヴィアは訓練で疲れている体を頑張って起こして立ち上がり、返事をしてルカの後についていった。いきなりエリザ姉のメイドは担当させないほうがよかったな。
「レイル様、私たちも行きましょうか」
「うん」
レイアもルカの後に続いてお風呂場に向かっていった。ようやく模擬戦が終わったな。
疲れたな。体力はまだまだあるが力を抑えて戦っているので、ちょっと精神疲労がだいぶ溜まっているようだな。地下訓練室の分身を使って気分を回復させておくか。
俺もレイアの後をついていきお風呂場についていき、脱衣所についた。みんなで入るか。まずいな、エリザ姉に捕まってしまうと長くなる。超高速で入るしかない俺はエリザ姉に捕まる前にささっと着替えてお風呂場に行き、俺は己の肉体の限界に近い超高速で自分の体を洗ってみんなが入ってくるタイミングで風呂に入りすぐに出た。その間10秒。
「はやっ、もう上がっちゃうの?」
「レイル様、早いです」
エリザ姉が俺の一連の動作を見て驚いていた。リヴィアもなぜか寂しそうに俺に言ってきたが、俺は何も答えず無言で脱衣所を目指した。
「あっ、レイル様、なんで自分で洗ってしまわれたんですか? 私の仕事がないじゃないですか?」
「洗いたかったの?」
俺はすれ違いざまに早口で、答えた
「洗いたいに決まっているじゃないですか」
洗いたいのか、嫌々やっているわけじゃないんだな。それにしても、その答えは逆に怖いな。俺は予想外の答えに困りながらまた答えた。
「まぁ、今日はなしということで、じゃ」
俺はルカの横を通りすぐに脱衣所に行って、レイアが用意した服に着替える。普段ならレイアが着せるのだが今回は仕事を奪ってしまうが自分で己の肉体の限界のに近い超高速で済ませた。
「レイル様、ちょっと待ってください」
「先に部屋に戻っているね」
「ちょっと待ってください。私、困ります」
レイアが俺を止めようとしたが俺はここに長居はしたくないので俺が急いで出ようとしていると、レイアが本気の声で止めてきたが俺はそれを無視して一人で自分の部屋に戻った。
ふーこれで危機は免れたな。
「レイル様早すぎです」
まだ、髪の毛が濡れた状態でふき切れていないメイド服を着たレイアが髪を傷めないように髪の毛にタオルを巻き始めた。だいぶ、急いで出てきたみたいだな。
「仕方ない」
「レイル様、どうしたのですか今日は」
レイアがいつもと違う俺を見て不安に思ったの心配して恐る恐る訪ねてきた。
「まぁね。お腹がすきすぎたから…ほら水でも飲んで落ち着いて」
「はぁー、今度から早く入るときは言ってくださいね。いわないと対応できませんから」
俺がなぜか超高速でお風呂を上がったことが初めてのことだったけど、エリザ姉がいるからな。でも、そんなことを説明するのは面倒なので、俺はお腹が減っていることにした。ついでにダメ押しの、俺の目の前に置いてあった水をコップに注いでレイアに手渡してごまかした。
レイアも仕方ないと諦めて注意だけで追及は終わった。もう、仕方ないとしか言いようがないな。それから俺はベッドに入り、いつも通りレイアは俺の隣で寝ていた。
今日からエリザ姉のメイドの期間中またはラヴィニアがいない時だけ、リヴィアの精神疲労を少しでも癒すために俺が話し相手になって上げようか。とはいっても今日は、たまたまみんなでお風呂に入っていてだいぶ、いい感じにリヴィアもリフレッシュしていたな。
基本メイドは主人とは一緒に入らないのであんな感じにリヴィアがエリザ姉と一緒に入ることは少ないし、基本はエリザ姉が眠ってから少しルカからメイドのことを教わり、一人でお風呂に入り自分の部屋に戻ることがこれからしばらく続くことになるからな。
今日は明日からくることだけ伝えに行くか。俺はレイアに気づかれないようにベッドから降りる。レイアに気づかれないことは、もう何百回もやっているから赤子の手をひねるより簡単だ。
俺はドアを音を立てずに開け足音を極力殺して廊下を歩いた。さらに気配を消して、歩くこれくらいすれば警備兵の騎士程度ならもう気づかれないくらいまでは上達している。まぁ、地下世界の恐竜たちだと、この程度だと確実に気づかれてしまうけどね。
俺は警備兵の横を通り中央階段から下に向かた。俺の部屋の下には警備室があるが、その近くにはこの屋敷で働くメイドたちの寝る居住区みたいなのがありそこにリヴィアが寝ている。
俺はリヴィアの部屋にノックして入った。リヴィアの部屋には誰もいなかったこの部屋を使っているのはリヴィアの他にメイドがラヴィニア以外いないのでまだ戻ってきてないようだな。帰ってくるまで待とうか特にやることがないからな。
少し待つとドアが開いた。リヴィアが来たみたいだな。
「レイル様、どうしてここにいるんですか?」
ドアを開けたら俺がいてリヴィアは驚いていたようだ。まぁ、自分以外誰もいない部屋にいきなり、人がいたら、誰だって驚くか。どうやってリフレッシュさせようかな。適当におしゃべりでもすれば、リラックスとかできるかな。
「なんか、話でもしよう」
「はい、いいですよ」
「そんなかしこまった感じ、じゃなくていいよ。今はレイルでいいよ」
「いえ、それはできませんレイル様。口調も勉強していますから」
「そお? リヴィアが好きな呼び方でいいよ。もう夜遅いけど、大丈夫?」
「私よりも、レイル様のほうがこんな時間まで起きて大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫」
エリザ姉との戦い方でも教えてあげようかな。リヴィアはエリザ姉の木剣をもろに受けて体力減らしてばてていたから、まずはこの話題だな。アドバイスしていこうか、このアドバイスでエリザ姉との模擬戦が少しでも楽になれば手助けにはなるかな。
「模擬戦の話でもしようよ」
「あっ、その話ぜひ聞かせてください。どうして、あんな強いエリザ様に勝てたのですか?」
リヴィアは興奮したように俺がエリザ姉との試合の話を聞いてきた。総合的に見てもまだ、最近鍛え始めているからなまだまだ、エリザ姉に近付くには無理だろう。
「たぶんまだ、リヴィアじゃ勝てなと思うよ」
「そうですか」
リヴィアは落ち込んだ。だが負けても極力体力消費しない技とか、あと心の持ちようでかなりエリザ姉との模擬戦で役立つと思うからリヴィアに教えようか。
「でも勝てなくても今よりはだいぶ、エリザ姉との模擬戦が楽になる技と気持ちを教えるよ」
「技はわかりますが気持ちですか?」
リヴィアの顔色が変わりどんな技なのだろうと思いながら気持ちについて疑問思ったようだ。




