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第五十四話 到着

 ヘレナが寝ている隣で葉っぱを浮かせる練習をするが、何度やってもできそうになかったので早々に諦めて暇になっていた。


 あっ、そういえばアンニカ杖の手入れの仕方を聞いていなかったな。息抜きに聞きに行くか。


 俺はテントを出てアンニカのもとに向かった。リアナとアンニカは二人別々で見張りをしながらリアナは剣で素振りをして、アンニカは座りながら葉っぱを人差し指の上で操作して修行をしているようだ。


「アンニカさんに聞きたいことがあるんですが」


「レイルさん? 何ですか」


 テントの外に出てきた俺にアンニカは驚きながらも返事をした。


「さっきの杖の手入れのやり方を教えてもらってもいいですか」


「いいですよ」


「ありがとうございます」


 アンニカはニッコリと笑って指に浮かせていた葉っぱを袋にしまい杖を取り出した。俺はアンニカの前に座り手入れの仕方を見た。


「私の場合はまず木の杖に傷がないか見ますね。このとき小さい傷なら削るのですが、木に亀裂などの大きな傷があった場合魔法の効果が著しく低下するので新しい木の杖に変えます」


「変えちゃうんですね」


 へー、亀裂が入っていると交換することは知っていたが、魔法の効果が低下することは知らないな。


「そうですよ。木の状態確認が終わった後は魔素をこの杖に流して、魔素の通りがいつもと同じなのかを確認した後、魔素の残量を確認して減っていたら補充して終わりですね」


「ありがとうございました」


 魔法の杖って魔素を補充しなくちゃいけないからな。魔素がなくなると魔法使いにとっては使えないただの棒だからね。俺場合は棒の技があるからそのまま使うけどね。

 いいものを見せてもらったな。ロマーノ父さんは忙しそうだから聞きにくいし、家に騎士しかいないのか魔法使いの人を俺は一度も見たことないから家では聞けないからな。


「レイルさん、寝なくて大丈夫ですか?」


 寝なそうな俺を心配したのかアンニカが心配になって聞いてきたみたいだ。


「大丈夫だよ、ほんとうに」


 俺は二度聞いてこないようにくぎを刺しながら強めに答えた。それからヘレナが起きるまでアンニカに魔法について練習を見てもらいながら詳しく聞き続けた。


「レイル、ローブありがとう。みんなそろそろ上に行くから準備を始めるぞ」


 ヘレナが鎧をつけて三角テントから出てきて俺のローブを渡しに来た。俺は受け取ったローブをその場ですぐに着た。


「「はい」」


 リアナとアンニカの二人は、同時にそれに答えるとすぐに荷物をしまいテントを畳み始めた。


「レイル、私たちは先に偵察しにいこうか」


 俺とヘレナはテントを畳んでいる間周辺を偵察して敵がいた場合は倒していった。


 周辺に敵がいないことを確認できたので俺たちはテントを張っていた場所に戻り、俺たちは上の階に上るべくいつもの並び順で向かった。


 それで道中ゴブリン、コボルトが各階で数十匹程度出てくるだけで何も起こらず俺の目的地の二階についた。よし、ここで別れるとしようか。


「ここまでありがとうございました。それではまたいつかお会いしましょう」


「じゃな。またどこかで会うかもしれんが」


「レイルさんまたいつか会いましょうね」


 ヘレナとアンニカと別れの挨拶を交わして俺はヘレナのパーティーを後にした。リアナは最後まで俺を無視し続けていた。まぁ、こちらもヘレナと戦闘スタイルが被っていたから、興味なかったからどうでもいいけどね。


 俺はパーティーから離れてこの階からオッドーネさんたちを探すことにした。俺はいるかどうかは、わからないがマリー母さんがいる場合があるので、なるべく見つからないように探すか。俺は誰にも気づかれないように走り回って探したがこの階にはいないようだ。


 俺は走り回っていた時に見つけた入口につながる道を通りローブと背中の2本以外の剣をすべて捨て、一階に戻った。休憩できる安全な溜まり場にオッドーネたちが姉妹たちと座っていた。


「オッドーネさん」


「レイル様ですか? お怪我はありませんか」


 オッドーネたち護衛の騎士のみんなは俺に駆け寄り体を触って怪我がないかを確認した。俺の体は再生するので傷一つないから心配はされないだろう。


「うん、大丈夫だよ。途中冒険者の人に助けてもらったから」


「その冒険者の方は」


 俺はヘレナさんたちとは言わず冒険者といった。たぶ、んヘレナと言ってしまったら、アンニカがこのオルトシーニ家が管理している土地の出身なので、この地方を統治しているオルトシーニ家なら時間はかかるがヘレナからアンニカにたどり着いて確実に特定ができてしまうからな。


 そのため俺は特定されないように冒険者と言った。これなら名前はわからなくても子供だからと軽く片付けてくれるだろう。まだ、俺の実力は隠しておきたいからな。


「先に帰ったよ」


「そうですか」


「ほんとに無事で何よりです」


「その服装はどうしたのですか?」


「この服も冒険者がくれたんだよ」


 気になっていたのかダンジョンに入ってきたときと服装が違うのでコロンナが聞いてきた。


「お腹はすいてないですか?」


「大丈夫だよ。冒険者たちにそういうことはしてもらったから」


 リナルドが聞いてきて、マビリアがアイテムボックスを使って食べ物を出してきたので、出す前に冒険者という単語を使って答えた。というより、マビリアもアイテムボックス使えるのか。アイテムボックスって魔法使いだと誰でも使えるものなのか?魔法使いでもない騎士のヘレナも一応使っていたけどアイテムボックスって珍しいものではないのかもしれないな。


 しばらく俺は休憩をしている振りをした。


 俺はオッドーネたちがマリー母さんと合流していなかったのでこの後、合流するのはわかっていたがどこで合流するのか、わからなかったため聞いてみることにした。


「この後はどうするの?」


「この後はマリー様と合流になりますのでここで待機になります」


「わかった」


 もう、すぐに合流するのかもしれないな。入る時あやふやだったから、多分マリー母さんのことだからだいぶ遅くなるだろうな。稀に早くなる時があるから今から待とうということになっているのだろう。それと俺がまた厄介事に巻き込まれないために、ここで待つことにしたのだろう。俺がいなくなってみんな暗い顔をしていたみたいだからな。


「あのー、この子は誰ですか?」


「私たちの主様の息子です」


 姉妹の妹と思はれる女の子がオッドーネに聞いくと、オッドーネは簡単に答えた。俺は一応姉妹に挨拶をしておいた。


「レイルだよ。よろしく。君たちは」


「私はリヴィア」


「助けてくれて、ありがとうございました。私は妹のラヴィニア」


「リヴィアさんとラヴィニアさんは冒険者」


「いえ、彼女たちは冒険者ではなくゴーレムに倒された甥の男性の家族で親が亡くなってその男性が引き取られたみたいなんですけど、彼は冒険者だったので姉妹を冒険者にするため、訓練とレベル上げのために嫌々このダンジョンに連れてこられたそうですよ」


 姉妹の二人に聞いてみるとオッドーネが姉妹の代わりになぜか答えてくれた。この姉妹は嫌々ダンジョンに連れてこられていたのか。最初あったときは気づかなかったな。この子たちには親がいないのか、この姉妹二人で暮らすのはまだ厳しそうだな。一応どうするのか聞いてみるか。


「二人はこれからどうするの」


「えーっと」


「行くところないんだったら、僕の家に雇われるか?」


「え、いいんですか。レイルさん」


「レイル様?」


 不安な表情だったラヴィニアがうれしそうな表情に変わって、俺に向かって答えた。その隣のリヴィアが何やら考え込んで悩んでいた。


 俺の隣にいるオッドーネが俺の名前を呼んで本当に大丈夫ですか?という顔をこちらに向けてきた。


 「マリー母さんならたぶん大丈夫だろう」


 マリー母さんに頼めば何とかなるだろう。マリー母さんなら子供には優しいから、ちゃんとした場所にいさせてくれるだろうし、家に来れば他の女性騎士がいるから優しく面倒を見てくれるだろう。俺は二人を他の人に任せて、話を終らせた。


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