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第四十四話 紙とリッチ

「まだ生きていたのか」


 消え去ったはずのアニェーゼが、ものすごく焦った顔で後ろに立っていた。


「その宝箱を返せ」


 この箱の中に入っていたものはあの赤い紙か、あれがそんなにアニェーゼには重要なものなのか。


「いいよ。はい」


 俺は自然同透過を左手に発動してアニェーゼに気付かれないようにこっそりと中に入っていた赤い紙を抜き取り、左手に隠した後空になった宝箱をアニェーゼに投げて渡した。


「ありがとう、…ない、札がない」


 アニェーゼは宝箱を受け取るとすぐに宝箱を開けて中にあるものを確認したが、なかったためより一層焦り始めた。


 それにしても意外とピンチになると、暗い顔が嘘のように表情豊かな奴だな。


「これがどうなってもいいのかな」


 おもしろくなってきたので俺はさらに赤い紙をアニェーゼに見せつけて、アニェーゼの反応を見る。次はどんな反応を見せてくれるかな。


「それだけは、やめてくれ何でも言うことを聞くから、お願いだ」


 アニェーゼは焦りながら泣きそうになりながら俺に懇願してきた。


 何でも言うことを聞いてくれるか。これならテイムすることができるのではないだろうか。よし試しに聞いてみるか。


「じゃ、テイムしてもいいかな」


「い、いいよ。だからその札だけは勘弁してくれ」


 は、早い、アニェーゼは俺の願いを聞くなり、即座にテイムされることを許可してくれた。


 ほんとにテイムしていいのかな。アニェーゼもいいって言ったし、テイムするか。


「ありがとう、じゃテイムするよ」


 俺は俺が作ったテイム専用の魔法テイムルーザーを発動させるためにまず、俺は中指は噛んで血がよく出るように傷つけてアニェーゼの前に突き出す。


「この血を飲め」


「わかった。チュー、ゴクッゴクッ、変わっているな」


 普通のテイムはテイムする対象と友達になったり心を通わせたりしたときにテイム魔法を使って、テイムして命令したりすることができるようになる。普通はテイムする対象の機嫌を取ったりするため、普通すぐにこんなことはしない。


「まだか、もうお腹いっぱいになってきたぞ」


「あともうちょっと」


 このテイムルーザーは俺の中指から出る血をテイムする対象にちょっとでも同意させて2ℓ飲ませることができればテイムの契約が強制的に結ぶことができる魔法で、このテイムルーザーでテイムしたものには、制限なく何でもすることができるよになる。


 普通のテイムを使わなかった理由は二つあり、一つはテイムされたものは知能が高い場合は主に危害を加える以外は何でもできてしまうためこういったしゃべり、好意的ではない知能の高いモンスターに対してのテイムは意味がない。二つ目は、単純にテイムルーザーのほうが名前がよくて好きだから。


 そろそろ血を必要分飲み終わるな。


「やっと止まった。これでいいのか」


 ちょっと視界が真っ暗になりかけたので再気を使い血液を体内で再生させて、血液の量を増やして回復する。


「うんこれでいいよ。よしこれでテイム完了だ」


 俺はアニェーゼをテイムすることができたので赤い紙をアニェーゼに手渡した。アニェーゼは安心した顔で大事そうに両手で持って赤い紙を胸の前で抱えている。


 しかし、なんでこの赤い紙をアニェーゼ」は大事そうに持っているのだろう。気になった俺はアニェーゼに聞いてみることにした。


「その赤い紙は何なの」


「紙ではないこれは札で、我の命だ」


 あの赤い紙は紙ではなくて札なのか確かに何か、落書きみたいな文字が書いてあるけど見た目的に紙に何か書いてあるものとしか思えないよなあれ。あんな破れそうなものが命だとは誰も思わないだろうな。ほんとに命なのか。


 気になったのでもい一度聞いてみる。


「それが命?」


「そうだ。これを壊されたら我は死んでしまう。まだ霊薬作りも終わってないのに、また死にたくないからな」


 アニェーゼは赤い札を大事そうに胸に抱えながら少し怒ったように話した。


 霊薬作りにすごく執着しているな。よほど霊薬作りが好きなのかどういう理由でやってるにせよ、一度死んでも自分の悲願を達成しようとする心意気は素晴らしいな。


 霊薬作り成功するといいな。俺が冒険者になったら積極的に手伝ってやろう


「もともと殺す気はないよ」


 ちょっと、優しくいってみる。


「さっき、我を殺そうとしたじゃないか」


 俺に向かって疑いの視線を投げかける。信用されてないな。アニェーゼの反応も見たいし本当のことを言ってみるか。


「いや、あれは面白そうだったから」


 それは仕方ないよね。最初会ったときそんなに感情が豊かそうな感じがしていなかったのにここにきての感情豊かになったのはおもしろいから、ちょっといじめたくなるよね。


「…じー」


「…」


 アニェーゼは赤目で頬を膨らませながら、じーっと俺を睨みつけてくる。


 可愛い表情をするな。さっき泣きそうだったのをこらえたのか、赤目になっている。その目で見つめられるとちょっと気まずいな。


「まぁ、すぎたことは気にするな」


 俺はにらめつけに耐えきれなくなったのでアニェーゼの肩を叩きながら言った。


「気安く触れるな」


 俺が肩に手が触れると俺の手を払うことができなかったので、アニェーゼは怒りながら声を上げて体をどかしていった。


 ちょっと友好的ではないな。何がいけないんだろう。


「もっと、和やかに行こうよ」


「はぁー、さっき戦った後だぞ。そんな風になれん」


 アニェーゼは溜息とともに、信じられないという顔で俺に向かって言ってきた。


 テイムすることができたし、もっとこうフレンドリーに接してもいいものではないのか。王様なのに社交的じゃないな。


「なれないの王様のくせに」


「王様のくせにとか言うな。それよりもこれからどうするんだ」


 アニェーゼは耐えきれなくなってきたのか、急に話題を今後どうするのかについて変えてきた。これからどうするって、何を言っているんだアニェーゼはよくわからいな。


「何が」


「何って、何か目的があって我をテイムしたんだろ」


 目的?俺の目的はレアモンスターをテイムすることだからアニェーゼをテイムすることができたからもう目標は達成されたな。モンスターをテイムした先のことは特に何も考えていなかったな。


「特にないよ」


「えっ、なんでないのにテイムしたの?」


 アニェーゼは驚いたように言ったその音も何か文句言おうとした。


 俺はアニェーゼがどんなモンスターなのか気になったので文句を言われても先に進まないので、文句言う前に先に気になったことを強引に話を変えて聞いてみた。


「いや、レアなモンスターが欲しかったから、ちなみに聞くけどアニェーゼはどんなモンスターなの」


「我は一応リッチだ」


 リッチか、確かリッチは魔法が得意でスケルトンの上位版っていう風に俺はこの世界の本で読んだことがあるな。その見た目もスケルトンと同じく骸骨で魔道具を持っていると挿絵付きで書いてあったんだがアニェーゼは魔法道具をたくさんつけているが骸骨ではないな。どういうことだ。


「普通のリッチ?」


「いや、我はネクロマンサーの禁術によってこの状態で復活させられた。リッチだ」


 最初になんか言っていた復活させられて蘇った話か。ネクロマンサーの禁術によって復活させられたから肉体がついているのか。


「普通のリッチと何が違うの」


「普通のリッチは骸で倒せば死ぬが、我は不死の肉体があり札を破壊しない限り死なないところが違う」


 へぇー、アニェーゼは札を破壊しない限り死ぬことはないのか。俺と似ているな。俺も永遠の命と再気で即死でなければ再生できる少し不死身みたいなところがあるけど、さっきの戦いのときみたいに攻撃で消されても何か毒とか即死の攻撃を受けても札さえ守れば死なないのか、ネクロマンサーによって復活させられたリッチていうのは強いな。


「便利だな」


「まぁな、それでこれから何をするんだ」


「特にすることがないから、しばらくいつものようにここにいて、いいよ。用事ができたら頼みに来るから」


「わかった」


「あと部屋にある武器ってもらってもいい?」


「魔法系の武器意外なら、我には必要ないから自由に持っていけ」


「ありがとう。そうさせてもらうよ」


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