第三話 誕生 転生
驚きながら創造神と別れた俺は暗闇の中目を覚ました。暖かいものに包まれていた。しかし、暗くてこれが何かなのかはわからない。
どうしようか。蹴ったり叩いたりするがなんかふにふにするし、よくわからないが魔法でも使ってみるか?
その前に魔法ってどうやって使うんだろうか。ステータスってどうやって見るんだろういろいろと試してみたがダメだった。
魔力量が少ないのか? いろんな疑問が持っているが意外とこの空間は狭く体の動きもなんだか鈍い、というより力がなくなっていくダメだ。何もできない。
しかし、なんか心地いいなこの空間は次第に俺は眠くなってきた。その睡魔に逆らわず俺はあきらめて眠った。
そして、二カ月位がたった。
「頑張れ」
「大丈夫よ。これで三回目なんだから、双子を生んだ時よりは全然平気よ」
「頑張ってください」
「本当に大丈夫なんだけど」
「それでも、心配なんだよ」
「ありがとう、そろそろ生れてくるわ」
「出てきましたよ。奥様」
「あれっ、中々泣かないわね」
どれくらい眠っただろうか。俺は眩しくなり目を覚ましたがなんか頭を掴まれているような気がした。
これはもしかして、生まれる前から転生していたのか?
俺はてっきり、高校生のまま転生させられるのかと思ったが違うみたいだったな。
しかし、生まれる前からいろいろな能力を獲得していても大丈夫なのか?
あの神忘れっぽいから何かしら説明すること絶対忘れているだろうな。この先が不安になるな。
おっと、俺を取り上げた女性の人が俺を叩き始めた痛いな。なんか困っているみたいだ。たぶん俺がいまだに泣いていないのが原因かな。赤ちゃんは生まれてからすぐに泣くのが普通だからな。
仕方ない恥ずかしいが泣くか
「おぎゃー」
俺は顔を赤く染めながらも泣いた。
短いがこれくらいで大丈夫かな、恥ずかしすぎてこれが限界だ。もう泣きたくない。もう恥ずかしいから夢の世界に行くしかないな。寝て現実逃避しよう。
そして、俺はすぐに眠りについた。
「やっと泣いた?みたいね」
「男の子だな」
「もう寝ちゃったのかしら、見せてちょうだい、かわいいわね」
俺を生んだ女性は俺を抱きかかえて揺らし始めた。俺は揺れを感じて目をつむりながらも目覚ましたが、睡魔が襲ってきて俺は睡魔に勝てずにまた眠りにつくことになった。
「なんて名付けようか」
「レイルなんかいいんじゃない?」
「うん、いい名前だね。それにしようか」
「では、レイル様はベッドにお連れします」
そう言って、俺はベッドのある部屋へとメイドに優しく抱きかかえながら連れて行いかれた。
「まかせるわ、私も疲れたから少し寝るわ」
「わかった、僕は起きるまで仕事でもしているよ」
強がっていた俺を生んだ女性もさすがに疲れたのか、あくびをしながらその場に横になった。
「おやすみロマーノ」
「おやすみマリー」
それから一日が立った。
俺は朝になり目を覚ました。部屋には誰もいないようだ。
しかし、この部屋はすごく広いな。天井も高いし扉もでかいし窓もでかいもしかして、この部屋が俺一人用の部屋になるのかな。俺の今寝ている赤ちゃん用のベッド以外にも豪華な天蓋付きのベッドが横においてあり、大人用のベッド用意をするのが早すぎるだろ。
他にも机もありいろいろと用意がすでに整っているが娯楽はないようだ。
王族や有力な貴族の息子として生まれたのかと思い、これからの醜い争いになる可能性があると思うとちょっと不安になった。
それにしても引きこもりの狭い部屋からこの部屋を比べると広すぎて落ち着かないな。この部屋に俺は慣れることはできるのだろうか。とりあえず、今後の方針でも決めるか。
転生者だということは極力隠して郷においては郷に従えっていう方針で行くことにしよう。
ふー、疲れた。さすがに転生してからいろいろとありすぎて驚いたな。転生の始まりがお腹の中であったのと、その中でおなかの中だと知らずに鍛えていたので、魔法が使えない環境みたいだったので、今ではほっとしている。
赤ちゃんがお腹から飛び出してくる悲劇を想像するとゾッとするからな。
しかし、お腹の中で鍛えたおかげで首はもう座っているし手足も動くし目もすでに、見られるように成長している。ハイハイもできるようになるのももうすぐだろう。
誰かがこの部屋のドアを開ける音が聞こえた。
誰か来たみたいだ。
この家のメイドみたいな人かな?顔とかが整っていてきれいな人だな。
髪は赤色と日本では染めない限りありえない色をしている。名前はなんて言うのかな。それよりもまずは親の名前がわからないので、先に親の名前を覚えたほうがいいだろう。
メイドが部屋の掃除を始めた。俺は早すぎる成長を隠すために俺も寝たふりを始めた。メイドが掃除をしている中、暇になっていた。
鍛えるスケジュールでも決めるかな。そろそろこの体に慣れないといけないし、やっぱりこの世界を楽しく生きたいから強くなって誰にも負けないようにとは言わないが、少なくとも生き残れるようには鍛えないとね。
当面の基本方針は力を隠しながら訓練は頑張りまくるか。まず、第一の訓練の目標は魔法の量を増やす方法を見つけないとな。体力とかは何とかなると思うが魔力はよくわからないからね。早めのうちにやらないと不安でしょうがない。
たぶん、魔力を使い切れば上がると思うが、今この部屋にいるメイドに気付かれないように魔法を使うにはどうすればいいのかわからないが試してみるか。
メイドに向けて魔法を出ろと念じてみるが出ていないように感じる。魔法はどうやって出すんだろう。体内を探ってみると何かを感じられたこれが魔力かな。
もう一回出ろと念じてみるとすぐに出た。もう一回出してみるとまた出た。たぶんだが一度この感覚を感じられれば転ばない自転車のような感覚がした。
「魔力?」
おっと、メイドが魔力を感じ取ってしまったようだ。ばれたか?
「この子が?まさかね」
ばれずに済んだみたいだな。やはり、魔力を外に出すと感じ取られてしまうな。体内や体の皮膚だけに魔力を纏ってばれないように鍛えていかないとな。
魔力を体中に流してみると体内を魔力が循環し始めた。次に体の表面に薄く出してみた。
うん、大丈夫みたいだな。
しかし、体の表面だと触れられたり近づいてこられたときに確実にばれてしまう。
やはり体内で魔力を使っていこう魔法を濃く使えばたぶん魔法を使い切れるだろう。やってみるが、すぐに魔力切れになった。
はやっ、すぐに魔力切れになったぞ。しかも、体がものすごくだるいな、何も力が湧いて来ない感じだ。
空気中にも魔力はあると思いそれを吸収してみる。俺は魔力を俺の体の中心に集まるようにしてそれを溜込んでみた。
魔力はすぐに体内に集まった。これも意外と早いな。これで魔法力が上がるのだろうか、よくわからないが魔力を使い切ってすぐに回復しての繰り返しでも一応使い切っているから上がるよね。
当面はこんな感じでやってだめだったら変えるかよしそうと決まればこれを何回もするか。
ようやくメイドが掃除を終えた。やっと、帰るみたいだ。
いなくなったら魔力上げと並行して体を動かして鍛えないとな。少しでも動かせば筋力はつくからこの部屋に誰かが来るまではこんな感じで訓練するか。人がいるときは動かないで魔力を上げることに決めた。
また誰か来たようだ。
イケメンの男と美女が来た。もしかして俺の親か?
「かわいいわ。今度の子も私はマリーよ。レイルも覚えてね」
「大丈夫かい。産んだ後にすぐに動いても」
「大丈夫よ。私は体力には自信があるから」
「僕もレイルに挨拶しようか。ロマーノだよ。よろしくレイル」
この人たちが俺の親か。
母親がマリーで父親がロマーノか挨拶を終えたらロマーノ父さんはもう戻っていった。どうやらちょっと俺の様子を見に来たらしい、マリー母さんも俺に何か子守唄を歌い。俺が寝たのを見計らい帰っていった。悪いと思うが俺は寝たふりをしてやり過ごした。
早く、いろいろ鍛えたいからな。いったみたいだな。
俺は体を動かし鍛え始めた。。
一週間がたったある日。
俺はマリー母さんに抱きかかえられながら俺は家の別の部屋に連れていかれた。
始めてみる廊下はすごく広かった。軽く100m走はできるくらいだ。目の前と中央とそのさらに奥には下に続く階段があった。ここはどうやら二階のようだ。連れてこられたのは他の子どもたちがいる部屋だった。
「あっ、レイルだ」
「「あそぼ」」
俺の他にも上に姉兄姉の三人の兄弟がいたのか。
「先に自己紹介をしなさい」
「わかった。私はエリザ」
「僕はロベルト」
「私はペルナ。ロベルトとは双子だよ」
おままごとを中断して三人はマリー母さんに言われて自己紹介を始めた。
エリザ姉は活発系だな。動きがかなり機敏だった。双子の顔はあまり似ていないからたぶん二卵性双生児だな。三人ともが美男美女だ。
家族みんな顔がいいとか俺もイケメンになれる可能性があるのかな。
転生前の俺の容姿は普通より下くらいだったので普通の顔になれればもう満足だがイケメン顔には憧れるな。
しかし、そんなことよりも早く戻って訓練をしたい。
今は体内の細胞まで魔力をいきわたらせて魔力を操作しながら量を増やしている最中だ。
一周間たって俺はその作業をしながら他の作業をできるようになっているが動くにはまだ早いと思うから極力動かないようにしている。
「あー、ぷにぷにしてる」
「「ほんとだー」」
いきなり俺の頬っぺたをつつき始めた。
痛い、痛い。力任せにつついてくるエリザ姉、ペルナ姉とロベルト兄の比にならないくらいの速さと強さと勢いでつついてくる。
病んでいるのではないかというくらい病みつきになっていて、怖い顔で俺の頬っぺたに夢中になってつついている。女の子とは思えないくらいの威力に俺は耐えて耐え続けた。
「エリザ姉、もうやめなよ」
「マリー母さん、止めてあげてよ。レイルが可愛そうだよ」
次第に増していくエリザ姉のつつきが一層激しくなりペルナ姉とロベルト兄は、俺が可愛そうになり、やめさせようとしてくれている。優しい双子たちであるが、エリザ姉は止まらないな。
双子達の声は聞こえていないようだ。
なおも俺は耐える何の反応も見せずに一応言うが、遺体は痛い、子供の痛覚は密集しているから、痛いが、魔力を体に流しているおかげで、ちょっと痛いくらいだ。
「こら、もうやめなさい。エリザ」
「……」
マリー母さんが言うがそれでも聞く耳を持たなかったため、マリー母さんはエリザ姉を持ち上げた
「もっと触りたいのにー」
あばれては離れようとするがマリー母さんの手からは逃れられなかった。しばらくするとおとなしくなり、そのままエルザ姉は寝てしまった。
「大丈夫レイル」
心配されて聞かれるが俺は何も反応しない。どう対応したらいいのかわからない。ぼろを出してしまうかわかんないからな。
泣くことは恥ずかしいからできない。最近マリー母さんも夜泣きもしないから心配し始めているがこれだけは譲れないため。真顔でいるだけだ。
「この子は、全然泣かないわね。夜泣きもしないから手はかからないのはいいのだけど心配になってきたわ。エリザは活発すぎてすごく手を焼いたし、ペルナとロベルトの双子もそれなりに苦労したのにおとなしすぎるわ」
「レイル遊ぼう」
「レイルはもう休む時間だし、エリザにつつかれて疲れていると思うから今日はもうお休みの時間よ」
「もう、お姉ちゃんばかりずるいよ。お休みレイル」
「お休みレイル」
あの姉のせいだろうか。双子達が幼くしてすごく優しいように思えてきたよ。やっと訓練に戻れる。今日はやれやれな一日だったな。先が思いやられる。
「はぁー」
疲れるわ。