表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/116

第一話 地球の日常

「はぁー、つまらないな」


 ある家の引きこもりの部屋で、寂しげに口から出た長い溜息。


(ブー、ブー)


「もしもし、熊野です」


「もしもし、先輩ですか? 今年の冬休み、部活に来ませんか? 一緒に部活しましょうよ。安部さんと権田さんも来ますよ」


 携帯のバイブ音がした。誰かから電話がきたみたいだ。電話に出てみると、元気いっぱいな声がした。


 高校卒業後も交流があった後輩の井上から電話だ。どうやら、部活を一緒にやらないかという誘いだった。高校の友達も来るということだったので、久しぶりに会いたいし、ストレスも発散できると思い。行くと答えた。


「うん、わかった。いくよ」


「じゃ、また今度」


 久しぶりに会えると思いワクワクな気分になった。


 俺の入っていた部活は卓球部だった。俺の世代は、3人しか入部する人はいなかったが、もともと人気もなっかったため、後輩が入ってきても合計12人くらいと人数は少なかった、あんまり強くはなっかったけど、楽しい感じでやっていて、個人的には居心地のいい場所だった。

 

 そのため、後輩たちともすぐに仲良くなり、こんな感じで度々、休みの時に卓球を一緒にやらないかと、誘われることが何度かあった。


「今日は冷えるな」


 高校に行くため家を出た俺は、歳に似合わずそんなことを言った。


 最近、独り言や妄想が多くなり、引きこもりが悪化しているなと思った。なんか面白いことはないかなと常ねに思っている。今日は久しぶりに友達と会えるので、楽しみだが、人生を変える急激な変化が起きないものかと思っていた。


 高校は電車で40分、駅から20分のところにある。住宅街と木と用水路に囲まれたこじんまりとした作りになっている。高校についた俺は、部活をする卓球場に向かった。


「おう、久しぶり権田」


「久しぶり」


 卓球場に向かう俺は権田と会い軽くあいさつを交わした。


「この間のアニメ見た?」


「見たよ」


「どうだった?」


「面白かったよ」


「ラノベもたまには読めよな」


「読むスピード遅いからいいよ」


 久しぶりに会ったが電話などで、今でも交流とかいろいろしているため、その話題を話した。権田もわかっているため、久しぶりに会ったとは思えない会話をして、卓球場に向かった。


 みんなが卓球場にそろっていた。今日の練習に来たのは三年生、女二人と男三人の五人、卒業生の三人の八人だけだった。他は旅行とかで来ていない。こんな感じの適当な部活である。


 まぁ、知らない後輩がいたら気まずいからよかったけどね。


「安部久しぶり大学生活は楽しい?」


「うん、サバゲーのサークルがすごく楽しいよ。もう毎月2~3回あるサバイバルゲームはたまらないよ。今度一緒にやらない?」


「いや、やめておくよ」


 安部は大学に入りサバイバルゲームにはまり、俺をちょくちょく誘ってくる。サバゲーはいろいろそろえるのに金がかかると思うので、FPSゲームで我慢している。いずれは行きたいとは思っているが今ではないと思っている。


 しかし、阿部の顔は顎がしゃくれていて、いつ見ていても面白いな。ちょっと笑ってしまう。


「どうしたの?にやにやして」


 笑いがばれたか。ここは知らないふりをしておいたほうが、無難だな。


「なんでもない」


 みんなが準備体操を終わらせて、次々に卓球台につくが俺は卓球をやる前は、いつも一時間くらい筋トレをしてからやるためみんなは先に台に着いて、打ち始めた。


 俺は腹筋500、腕立て500、スクワット100、背筋200をした。俺は筋トレは他の人と違ってなぜか苦にはならないので軽くこなしてから、卓球台に着こうとした。


「先輩、卓球やりましょうか」


 後輩の田中に誘われて、一緒に卓球の打ち合いを始めた。


 試合みたいに緊張感はなくまったりとプレイをして、心地いい時間が続いた。


「先輩、最近は、どんな感じですか。」


 今の近況を聞いてきたが、そんなことは言えない。


 俺は高校を卒業してその後専門学校に入り、俺は専門学校が詰まんないという理由で中退した。


 その後もその前も、いろんなことが続かなく趣味以外は中途半端にやめていた。俺はさらに悪化し、ついには何もしたくなくなり引きこもり生活が始まった。


 その後アニメオタクになり、十九歳の誕生日を迎えて今に至る。引きこもりのニートだとは思われたくはないし、恥ずかしくて言えないよな。


「いろいろやってるよ」


 あやふやに答えた。卓球の玉を打ち返し球の音がむなしく響く。ちょっと気まずくなったがトリッキーな動きをしながら変な打ち方をして打ち返し、気まずくなった雰囲気を断ち切った。


「ふぅー、疲れた、ちょっと外行ってくるわ」


「わかりました。いつ戻りますか?」


「30分くらいかな?」


 俺はしばらく試合とかやっていき体力少ないのに無駄な動きをしまくったため、俺は一時間くらいで、へばってしまい俺は休憩をとることにして、学校の外に出て、体をクールダウンさせに行った。


 ずっと埃っぽい室内にいたので、外に出たかったのが本音だけどね。


 校舎を出て東門を通り付近を散歩をしに行った。


「ここも、随分変わったな」


 門を出たら住宅街が広がっている。今は住宅街だけど、入学当初は何もなかった。4年で、何もない土地に住宅街ができていた。


 4年でたくさんの家を建てる日本の技術に感嘆した。


 また独り言が口から出てしまったな。


 学校の裏手の南門は木々があり、水が流れていて自然を感じられ、落ち着ける場所でそこで自然を感じ森林浴みたいなことをしながら用水路をしばらく歩き学校外周辺を散策した。


 東門に戻る道中。すごい勢いのワゴン車が俺に向かって突っ込んでくる運転手は眠っているみたいだ。そんなことを考えている場合ではないなと、のんきな気持ちになっていた。


「キャー」


「危ない」


 何が危ないだ。早々当たるわけないだろ。色々と門の近くにいた人たちが言っていたが俺は心の中で、ちょうど俺に当るわけわないと思っていた。


 徐々に迫ってくるワゴン車。段々加速してきていた。避けることができそうにないので、俺はさっきまで鍛えてきたこの筋肉と浅はかな武術の知識を使い即座に力をいなして飛びながら利き腕の右腕で当たることを選択する。やはり、命がかかっている分俺も利き腕は庇わずに覚悟を決めた。


「おもしろい」


 俺は小声で自分自身の恐怖を振り切り、己の気持ちを高めながら言った。それとは別に俺は迫り狂うワゴン車を見て心が躍っていた。少し笑いながら、対峙した。


「バン、バキッ、ガシャン」


 俺は後方にジャンプしながら利き腕の右側から右半身でワゴン車と衝突した。すごい音と衝撃だった。俺は空中を1.5mくらい吹っ飛ばされて右の腕と脇腹は粉砕され、動かなくなっていたが、たんとか耐えた。


 俺は東門のちょうど真ん中の境界に立っていた。。


 右上半身の感覚はもうない。でも、俺の今持てる全力の力を使い決死の思いで、生き残った達成感に満たされた。


 俺が人生で初めて生きていて楽しいと感じた瞬間だった。俺はまた笑っていた。


「ははっ」


 一部始終を見ていた人たちは、右半身が血だらけで笑っていて、みんなが引くくらいの笑い声で笑い続けた。


「大丈夫ですか」


 キャーと悲鳴を上げていた。女性が声をかけてくれた時だった。


「なにっ」


 いきなり学校全体の地面が、急に変な線のようなものが現れて光り始めた。


 俺はアニメでよく見る魔方陣だと思った。


 まさか異世界召喚か?しかし、俺の体はその光の境界に立っている。


 これはまずいんじゃないのか。


 光が視界いっぱいに広がり俺は体を半分にされて、異世界召喚に巻き込まれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ