プロローグ
中学生時代に何となく書いた文章が発掘されました。
ので、ここに埋葬します。
君達は知っているかい?
かつて、クリストフという偉大なる科学者が生み出した、オージェというアンドロイドの生涯を。
え? それは史上最悪のマッドサイエンティストと、殺人マシーンの名前だって? アンドロイドに生涯はないって?
確かにそうかもしれない。彼らの起こした結果のみを見れば、そういわれても仕方がないだろう。何といっても、オージェによって奪われた命は、百を下らないのだから。
けれど少しだけ待ってほしい。クリストフは、決してオージェに破壊を望んだりしなかった。確かに本人は少し気難しくて、彼とまともに付き合える人間はただ一人だったがね。だが、別に彼は世間を恨んだりしちゃいなかった。ロボット三原則だって、きちんと組み込まれていたんだよ。
え? 嘘を付くなって? いやいや、嘘じゃあない。オージェの死後、彼の回路や記録の解析を行ったのは私だ。彼の最優先順位として、三原則が書き込まれていたのは間違いない。その解析結果だってきちんと残っており、施設に保管されているんだ。私の科学者生命に賭けて誓うよ。
ん? じゃあ、どうしてオージェが人を殺したのかって?
聞いてくれるかい? 彼の、オージェの物語を。