詩集 「そして道程をつむぐ」

瀬戸内／黙祷

「瀬戸内」

海沿いを電車が走る

近く遠くに見える島影。

故郷の海景では

ないけれど　とてもよく似た

この風景。

どこか　外海よりもほっとする

内海の潮騒。

凪いだ海面。

鉄の麒麟。

ガタゴトと電車が走る。

つかの間の　郷愁を旅する

望郷の海を　想う

愛（かな）しく詠（うた）う私を乗せて

ガタゴトガタゴト　電車が走る。

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「黙祷」 　震災によせて

たゆたふ

　その　いのちの海を

請ふる

　その　ともしびの路を

あなたへ逝き　遺さるる

歳月を

　愛しきを

　　儚さを

　　　願ひを

　　　　涙を

――想ふ

永久なる　ふるさとの

永久なる　天（あめ）と地（つち）に

――祈る。