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オーバーライン/海には
「オーバーライン」
海辺の駅のプラットホーム
降り立った僕の背を
そっと 潮風が通りすぎる
水平線の空のむこう
蒼さをにじませ思いやる
あの船のゆくさきを
あの雲のゆくすえを
見とどけるのだと 決意して
ラインを越えれば
ラインを越えたら
僕は
どうなってしまうと云うのだろう
海辺の駅のプラットホーム
潮のにおいのする風が
あたりをやわらかに包んでいた。
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「海には」
かなしくなったとき
うれしくなったとき
つらくなったとき
たのしかったとき
なんでもないときも
足は自然と海へゆく
海には 故郷へとつながるみちがある
海では 私は素直になれる
見つめる海が変わっても
母なる海はかわらない
相変わらずのひとがいて
相変わらずのものがあって
海は しずかにすべてを
つつんでいる