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わびしさ/ただよふ
「わびしさ」
今、この時
握り締めた手の隙間から
さらさらとこぼれ落ちてゆく
一握の砂
下に降り重なることなく
流れゆく風にさらわれる
彼の誓いは何処へと
我が願いは何処へと
吹かれて飛んでゆくのだろう
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「ただよふ」
花散りて 其は漂ひ
風吹きて 其は果てむ
雨なれば 其に打たれ
風なれば 其に流され
雪なれば 其に沈みて
夜なれば 其に染まらむ
夢ならぬ 夢のいのちや
消ゆるは 忌といふなれば
あひもせず うきもせず
いつきもせず いとふこともなく
ただ 過ぎ行きぬる時の
一陣とこそならめ