花のおばさん
こんな形でしか表せない
忙しくても これだけは
大好きな人がまた一人
遠いところへ 行ってしまった
優しい人でした 子どもの私にいつも笑顔をくれて
楽しい人でした その雰囲気はいつもあったかくて
花の似合う人でした 花の世話や緑の好きな
動物好きな人でした 『ペットは飼い主に似る』を体現していた
花とお菓子の甘い香りをしていた
手作りのお菓子を ちょっとだけ貰ってたのはお母さんには内緒
そんな素敵な近所のおばさん
血の繋がりも ましてや 親戚でもなくて
ただ家が近くて 私が一方的に懐いてた
『○○ちゃん』 そう呼んでくれることが嬉しくて
他人の子どもが何かするのも嫌がらないでいてくれて
嫌な顔なんて 見たこともなかった
年を追うごとに疎遠になっていたけれど
私を見つけては 変わらない笑顔を向けてくれていた
そんな『優しい当たり前』を
今になって『当たり前』じゃなかったことに気づいて
また私は 言いそびれた
『ありがとう 大好き お世話になりました』
たったこれだけの言葉
たった三つの すべて言っても十秒にも満たない言葉
涙はやっぱり こぼれない
大切な人が行ってしまったのに
あぁ でも
心にぽっかり 穴があく
もう二度と埋まらない穴に おばさんのくれた思い出を入れて
全然満たされないとわかりながら
私はその穴を覗いて 雨でも降らしてしまおうか
いつでも行こうと思えば行けるところなのに
いつしか誰もが必ず行きつく場所なのに
そこに行く人達を見送る思いは いつも寂しい
泣けたらいい むせび泣けたらいい
でも 出来ないから 今はこれが私の気持ち




