人よ
「初心」
子どもの頃に見た 曇り空が忘れられない
泣いて笑うだけの日々の中で
ふとしたことで見上げたあの空
綺麗とは言い難い空
でも
何故か記憶の中に残っていたのは
あの何でもない日々の中
ただ泣いて笑うだけの世界の中で
一度だけ見た 曇り空のことだった
今でもはっきりと思い出せる
白のような灰色の空の下
友達と遊んだ 大切な思い出
いつまでも人は幼くはいられないだろうけど
人の心はいつだって 初心に還るもの
今思えば 何もかもが新鮮で
どんなことだって純粋に感じられた幼いあの日々こそが
人としての初心
「地球」
誰かが「世界は狭い」と言っていたが
世界の中でも 狭い日本で
その中の一つの島で 県で 市で 区の中に住み
その自分のいる地区ですら 人は全てを知ることなど出来ていないのに
世界が狭いだなんて 何事だい?
日本の全てを知りえない ちっぽけな人間が
全部を知ったような顔をして 偉そうなこと言うなよ
人間が住む 遥か昔から
海と大地は地球の何十億という長い時を 全てを見守ってきた
世界は広いよ
短い人の生では知ることはできないことに溢れている
解き明かせないものが 世界中のあちこちに転がったまま
どころか 一生をかけてもまだ足りない研究すら残っている
人はいつか思い知るだろう
人が「世界が狭い」などと言ったのは
そう考えた人間の考えの方だということをね
「歯車」
「人は歯車のようなものだ」などと
人は人によく言う
だが それは間違っている
歯車とは 人の思いだ
人自身ではない
しかし 思いという形が合っていたとしても
動き出すかは別の話
形が合いすぎているが故に 永遠に動くことのない歯車も存在する
人は何て不器用だろう
思っていることはそんなに難しい筈もないのに
言葉や物 形に出すとなると途端にその思いは変わってしまう
合っている筈の歯車もうまく回せず いつまでも頭で考えて
手を使ってなおそうともしない
ほら 力を抜いて
もう一度 歯車を見てみろよ
ほらな? そんなに難しくなんてないだろ?
「透明人間」
『透明人間』になりたいなんて 阿呆がいる
『透明人間』とは そこにいることに気づいてもらえず
笑っていることも 泣いていることも 怒っていることも
誰にも知られない わかってもらえない人のことだ
そんな人間はこの世にいないし
居たとしても誰かが傍に居てそうじゃないことを教えてあげなければならない
だってさ 悲しいだろ?
誰にも存在を知られなくて
その感情も 行動も 人に認めてはもらえず
人にわかってもらえないなんてさ
辛いだろ?
もし 自分がそうなってしまったら
「破壊 そして・・・・・」
壊れたものは もう二度と同じものになってはくれない
この『もの』は
『絆』だったり
『物』だったり
『傷』だったり
とにかく 多くの『何か』である
「絆だったら なおせる」
何て言う人がいるかもしれない
しかし
私はそうは思わない
一度 完全に断たれた絆は
もう二度と同じ形には戻ってはくれない
なおったとしても それはもう別のモノ
不完全だった状態から 良くもなれば
その逆
完全な状態から 悪くもなるのだ
人は それをきっと知っている
それでも人は
今日も何かを壊しながら生き続ける
その何か一つでも
今より良くするために