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無感情
怒れないわけじゃない 筈なのに
今はただ 心が動かない
笑う 泣く 怒る すねる
全ての感情に対して 人は多少なりとも表情を動かすはずなのに
今の私は 動かない
怒りを抱こうと 過去と今のことを考えても
悲しみを思い出そうと あの日々に浸っても
笑おうと大切な日々を振り返っても
心は少しも 動いてくれない
感情を忘れたかのように ただ静かに涙だけが零れた
その涙の意味すら
私自身わからないというのに
まるで分厚いガラス越し 全ての景色がそこにあるのに とても遠い
人の言葉が耳を掠めても ただ遠く まるで水に遮られているようで
自身が発する言葉すら まるで異国の言葉のように感じられる
そして そうなっていても
誰も気づくことがないことを 私は知っているから
私が立ち止まっても 誰かは進み
私がやらなくても 誰かが行う
私がそこにいなくとも 誰も気づくことはない
異端である時だけ 叩かれ
それ以外はまるでそこに存在しないかのように扱われる
あぁ 私という存在に意味はない
もはや悲鳴すら上げることを忘れた心が 感じることを拒んでいる
『もう動くな』
『もうそのままでいいだろう』
『どうせ 誰も気づくことはない』
痛いとすら感じずに 私はただロボットのように日々を過ごす
いつか 不具合を起こし その体が壊れるまで
私はただ 日々を過ごすのだろう




