呪い
あなたはこれを「のろい」と「まじない」、どっちで読むのでしょう?
さぁ 立とう
必死になって立ち上がろう
立って 立って 強がって
平気なフリして笑っていよう
誰かのためじゃなく 自分のために
自分に魔法をかけるため
自分に嘘を吐くために
自分を誤魔化して呼吸していられるように
『まだ大丈夫 まだ大丈夫 私は強い』
独りでいたって平気だと 誰にも心配かけぬため
誰かを怒らせぬために立っていた
『大丈夫 大丈夫 私は慣れている』
嫌いな嘘を吐かないと 立っていられぬ自分のために
立ち止まってしまったら 座ってしまったら もう二度と動けない気がしてた
『大丈夫 大丈夫 昔もそうだったじゃないか』
そう言って自分に言い聞かせるのを口実に
何かを必死にしゃべっていたかった
呼吸することを忘れぬように 声を出すことが無駄じゃないと言いたかった
傷なんて 視力が落ちたこの目には見えっこない
自分のどこかが上げる悲鳴なんて 音楽を聴く私には聞こえない
胃の痛みなんて感じない
そんなものを感じるほど 私の体は弱くない
私は強い 私は強い きっととても強いし とても鈍い
言葉の意味も拾えない 相手の気持ちなんてわからない
どうしてほしいかなんてわからない
わからないから触らない
私の大きな手が 無意識に誰かを傷つけることを知ってたから
そこにいるだけで怖がられたことを 覚えているから
私のこの大きな体が 誰かを怯えさせたことを思い出すから
触れるのが怖い
怖がられることが辛い
怯えられるのが悲しい
だから 必死に魔法をかけよう
明日も今日と同じ 何も変わらぬ日とするために
私は強い とても強い そう 家族の誰よりも
私は動いていなきゃいけない 立ち止まる暇なんてない
私はとても力が強い だから自分のことも人のことも持っていられる
大丈夫 大丈夫
でも その魔法をかけたこと
一体誰が覚えてる?
理由も忘れて とけたとき
私は一体どうするの?




