人よ 3
なんだか、真逆の詩を挟むように配置してしまった・・・・
まぁ、こんな時もあるかな?
「手」
歩みを止めないのは一体誰のためだったのか
わからなくなって 動けなくなった
そんなときに 出会ってくれた人たちがいた
迎えてくれた場所があった
多くの人へと伸ばした手は かつて拒まれるということを知らなかった
小さな 小さな傷もない 子どもの手
その手は誰にも愛され 優しく握り返された
子どもは少し大きくなって 手も大きくなって 場所も変わった
かつてと変わらず 手を伸ばす
恐れも 不安も知らない子どもは
あの日のように握り返されるものだと信じていた
そしてその手は 初めて弾かれた
繋がっていた筈だった人から弾かれて 繋がっていなかった人からも振り払われて
でも 諦めたくなくて また 優しく握り返してほしくて 必死になって手を伸ばす
その手を握り返してくれる人は 結局いなかった
何もない大きな手 誰の手にも触れることができない不器用な手
悲しくて 寂しくて 辛くて 怖くて
強がったふりをして 無意識に手を硬く握りしめた
もう誰にも その手が繋がることがないように
もう二度と 伸ばすなんて馬鹿なことをしないように
伸ばさなければ 振り払われない
期待しなければ 悲しくなんてならない
そう信じた
それしか 方法がわからなかった
正しさなんて 知らなかったから
何が間違っていたのかも わからない
何も変わっていない自分 それが悪いことだと思うしかなく
自分が自分であることが駄目だと感じた
一つ また一つ 周囲に紛れ込むこともできないまま
音もなく 何かが壊れていった
何も感じないふりをして
手を硬く握りしめたまま 振り上げることなく 下げていた
そして ある時 ある場所を見つけた
目に映ったのは偶然でしかなかった
ただ その環境に懐かしさを覚えて 行ってみたいと思った
人じゃなくてもいいから
触れたくて 欲しくて 必要とされたくて
いつ振りか 子どもは手を広げた
握りしめたままだった手は
うまく触れることは出来なくなっていたけれど
自分の感情のどれが本当なのかさえ わからなくなっていたけれど
手に伝わる温もりが 涙が出るほど嬉しかった
涙の中で顔をあげると 手を伸ばされていることに気づいた
けして 多くはないけれど
こんなに心強くて優しい手に触れたことはなかった
そこは教えてくれた
必要としてくれること 触れていいこと
自分で選んだその場所で
砕けていた何かが 少しずつ治っていった
欠片はまだ痛いけど
握るその手も 砕けてしまったそれも もうあの頃のように綺麗ではないけれど
開いた手は 確かにその人たちの手を握っていて
もう離さないと 心に決めた
この感謝を言葉にできずとも
この恩を生涯 心に刻み
この縁が繋ぐ努力を怠らないと 誓おう
あの人たちの手に少しでも近づけるように
自分なりのやり方で 誰かに手を伸ばせるように
「鎖」
あぁ きっと私は
いっそ 全てから捨てられればいいと思っているんだ
嫌なことばかりが心を支配し
思い出の中を我が物顔に占拠する
そこに居るのは
どうすればいいのかわからないまま ただ立ち尽くすだけの自分
手を振り上げることもできずに
声をあげることも忘れて
助けを求めることなんて諦めて
感情をどこにぶつければいいかもわからないまま 視線を彷徨わせ
ただ 生きなきゃいけないという義務だけを背負わされて立っていた
手を見れば
小さな輝く石がそっと持たされていた
何もなく 立っていただけの自分に
『それでも生きろ』とでもいうかのように 誰かから渡された綺麗なもの
それは多くの名を持っていた
『出会い』 『友』 『物語』 『宝石』 『期待』
『動物』 『思い』 『優しさ』 『希望』
虚ろな瞳にそれが映ると
涙が溢れて とまらなかった
好きで 大切で 眩しくて 温かい
だからこそ 尚更
嫌いで 疎ましくて 直視できなくて その温もりが恐ろしい
知らなければよかった
持っていなければよかった
抱かなければよかった
失くしてしまえばよかった
いっそ 自らの手で壊してしまえばよかった
知っているから 辛い
持っているから 悲しい
抱いているから 耐えられない
失くしてないから 感じてしまう
それでも 自分の手で壊すことは出来なくて
大嫌いなものの中にある 確かな大好きなもの
だけど
だからこそ 苦しくて
関わってしまった人 こんなに多くをくれた人たちがいて
もし 自分が身勝手に死んだら? 突発的な行動でバカなことしたら?
自惚れにも似た確信
優しいあの人たちは きっと泣くだろう
責めるのでなく 心配してくれるだろう
否 むしろ自分を責めるだろう
そんな姿は見たくない 絶対にさせたくなどない
自分を生かす支えであり 重石
それはまるで鎖に似ていた
心を守るように絡まりながら 命をここに繋ぎ止める
慣れない優しさが 温もりが苦しくて
それを拒むことができるほど 強くなんてなかった
そして いつしか
独りすらも 怖くなって
あの頃と同じように
でも 何かが異なって
ただ生きることしか出来ずにいた
「人らしく」
ほら 大丈夫だよ
何も気にかけることはない
誰があなたを否定しても 僕は君の味方だから
かっこ悪いところがあって かっこいいところがある
それって とても人間らしいじゃない?
恥ずかしがることでも 嫌うところでもない
むしろさ
笑う奴 バカにする奴がおかしい
出来ないことは出来るようにすればいいし
一人で何でもできるなんて きっとつまらない
だって 苦手なこと 出来ないことがあるから
それをできる人を凄いって思える
自分にないものを持つ人を尊敬することができる
出来ないことがあって 出来る人を必要とすることができる
そう思うことは
きっと自分のかっこ悪いところをちゃんと知っている人にしかできない
何故なら
自分のかっこいいところしかわからなかったら
何が必要なのか 何が凄いのかはわからないのだから
足りない部分を互いの補い合い 共に支え合う
出来そこない 未完成かもしれない僕らはそうすることをするしかない
だけど それは逆にこうも言える
僕らが人間だから そうすることができる
互いを必要とすることができる
ほらね?
僕らはこんなにも人らしい




