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我在り 2

「独り」



誰もが独りの怖さを知っているくせに

誰もそれをやめようとも 止めようともしない

何でだろうね?

知ってるくせにそれを知らないフリをして

自分と同じ痛みを人に平気で行える

見ているくせに見えないフリをして

それを止めようともしない

楽しいかい?

人をグループから弾くのは

面白いかい?

人が追い詰められていく姿は


人間は本当に不思議だ

『独り』 『孤独』と呼ばれるその傷の痛みを知る者が

何故こうも人に同じ痛みをぶつけることができるのだろうか?

あぁ 人よ 矛盾に溢れし者よ

『人らしさ』とは 一体なんなのだろうな?







「孤独」



一人がいい

一人でいい

人と居て 傷つくだけなら

始めから一人の方が苦しくない

起こってしまった出来事に 一生悲しまないでいいから

嫌がられるのも 怖がられるのも 怯えられるのも もうヤダよ

寂しいのも 辛いのも もう我慢できない

でも

人の輪の中に入っていくのは その何倍も怖くて

人の視線が恐ろしくて 人の言葉に怯えてた

だから僕は 輪の中にはきっと入れない


独りは怖い

独りは寂しい

独りは辛い

でも

いじめられるのは それ以上に苦しくて

誰にも言えない 言っても何も変わらない

それを僕は 知ってしまったから

暴力すらも 自分を悪者にすることを知っていたから


もういいでしょ?

耐えられないよ

辛いよ 寂しいよ 悲しいよ

だからさ

もう 頑張らなくてもいいよね?






「距離」



誰からも好かれも 嫌われもしない私を見て

ある人が言っていた

『羨ましい』と

私はその時 何も答えず

ただ 曖昧に笑った


私はあの時 怒ればよかったのだろうか?

「あなたに 何がわかる?!」


それとも 皮肉げに笑えばよかったのか?

「そんなに楽そうに見えるか?」


そんな言葉すら誰もいない部屋の中

呻きにも近い声に変わっていた


近寄りすぎれば鬱陶しく

遠すぎれば疎遠になる

まともに線にもなっていないこの線が

私なりの 人との線引きだった


でも その線は

他人から見ると 気楽に見えてしまうらしい

つかず離れずの この距離感は同時に

『居ても居なくても どちらでもいい』ということも知らずに

「羨ましい」

そんな一言で片づけられてしまう


人の真似をすることもできなかった人との距離感

私が私を守るための距離感

それを誰かに羨まれても 私は少しも嬉しくなんてなかった

だって私の方こそ

ずっと距離感が近い 彼らの線の方が羨ましかったんだから







「事実 あるいは 夢」



それが夢だったのか

現実だったのか

今はもう わからない

でも

どちらであったとしても 一つだけ断言できることがある

私は幸せだった

その時 誰よりも幸せだった


ブランコに乗っていた幼い私が

何の拍子かに手を滑らせ 頭を打って空を見たとき

二人の友達が 駆け寄ってきてくれた

普段あまり話さない二人が

私に聞こえるくらいの小さな声で

私の身を気にかけてくれた


オチも 〆もない そんな話

しかも

現実だったかもわからない遠い過去であり 曖昧なこと

でも 

これが夢であったとしても 現実であったとしても

脳裏に焼き付いて離れないのは もう名も覚えていない友達の優しさと

心に刻み込まれた 今ですら両手で抱えてもあまるほどの

優しさだった






「オシロイバナ」



白粉(おしろい)(ばな)

私はその花を見かけると

どうしても立ち止まってしまう

種が一つあるだけで 雑草のように広がっていくこの花を

母は嫌っていた

でも 私は

カラフルな花と明るい緑を持ったこの花のことが

好きだった


もうきっと

誰も覚えていないかもしれない

もう 十数年も昔の 幼稚園の頃のことだった

黒い種を小さなポケットいっぱいに詰め込んで

何故か競争みたいなことをして 遊んでた

男の子も 女の子も 関係ない

名前すらちゃんと呼べない 覚えてなんていないのに

手を伸ばして たった一言いえば友達だった

「一緒に遊ぼう」

その手は泥だらけだったり おもちゃを持っていたりして

でも 覚えてる

最初の一言を言う側であっても 言われる側であっても

私たちはその手を疑うこともなく 握り返せていた


思い出の一場面にあっただけの花

人によっては『その程度』と思うかもしれない

でも

そんな理由になるかわからないことで

今でも私は あの花が好きなんだ






「かつての誓い」



不意に零れだした涙を

私は止めることが出来なかった


辛いことがあった

全てが手遅れで あらゆることが行き違ってしまったこと

自分ではもう 何もできない終わったことだとわかっている

『こんなことは早く忘れてしまいたい』と 願っていた

それでももし 何かできていたらと思い

多くの思い出を 風に任された本のページのように捲られていく

そのほとんどには黒が混じり

おもわず目を背けたくなるようなことばかり

でも でも でも!

黒の中には 

他者から見ればごくわずかな物であっても

確かに他の鮮やかな色と ほんの少しの光があった

私はその光を見つけるたびに ページを止める

その色が誰かを 覚えてる 忘れたことなどない

もうどれだけ願っても 会えない人がいる

気まぐれであっても 優しさをくれた人がいる

私を『先輩』と言ってくれた人がいる

恩を抱いて 今も報いたいと思う人がいる

『誰も忘れない』

それが 私が決めたことじゃなかったのか?

『相手が忘れても 私は忘れない』

嬉しいことも 悲しいこともそうしようと思ったんだ

私が昔 そう決めた

全てが優しかった頃 何の裏表なく笑えた思い出で

辛い日々を乗り越えて その辛い日々の中にすら良いことはあるんだと

『全てが不幸』なんて 私は言いたくなかったから

今 やっと思い出せた


私は いつから間違えていたんだろう?

忘れられるわけがないのに

どんなに辛いことの中でも 悲しくても

『こんなに良い事もあったんだ』 『それでも好きだったんだ』って

私はいつか 優しい口調で 誰かに語りたかったんだ


「おはよう ちょっと思い出すのが遅い 今の私?」

心の中でそう 幼い自分が笑っていて

私は零れた涙を拭いながら 笑って返す

「あぁ おはよう あの日の強い私」


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