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無き証拠
郁人・・・・・?
急に私の髪を掴んできた。
あ・・・、そっか・・・。
「あんまり無理されると困るんだけど。」
真剣な表情。私はこいつのこの顔に心を揺るがされる。
でも・・・・・
「困って。」
「は?」
「私は私のやりたようにする。しょうもない理由だけどね。」
「・・・・・。」
郁人が黙り込んでしまった。
これでいいのよ。
「ねぇ、私たちはちゃんと上星さんがやってるのを見たの。」
「だから?」
「・・・・」
「どうしたいのよ。」
女子軍達も黙り込む。 それでも折れようとはしない。
「注意してあげてるんだけど。」
イラついている表情のリーダー。
「注意してるんだったら、それでハイ終わりってなるよね。」
本当に折っているなら大変なことだ、でもそれを『注意』という言葉だけで収められない。
「証拠持ってきてよ。」
「無い。」
「どうして? ほうき折るくらいならそのへんに何か落ちてるでしょ。」
「・・・・・・・」
「早く。」
少し攻めるように言ってみた。
「るっさいなぁ!」
リーダーが大声を出して教室を飛び出していった。
―――・・・・・・・・
こ、怖かった・・・・・