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柿色のセカイ  作者: 萩乃
45/45

柿色

沈黙





沈黙





沈黙





朝食の時間





一番お喋りな、私と郁人が全く口を開かない。





「うぇ、うぇぼしー、この2人どーなってんの」





「知らない。恋は昨日の夜から変だったよ」





「・・・」





私はもちろんパニック状態だ。





でも郁人は?





普通じゃないの?





「れ、れんっこ!!喋りなん喋りなん!」





「あぁ、うん」





「・・・」





あー





ダメ。





喋ったらダメ。





吐いちゃう。





「柴田ー・・・」





郁人が話しかけてきた。





「あのさー・・・、昨日のアレ・・・気にしなくていーよ」





「・・・は?」





「や、ノリっつかさ。とりま気にすんな!」





「・・・」





ノリ・・・





ノリ・・・





ノリであんなこと言うの?





ひどくない?





「え!?なになになんのこと!?れんっこやらかした!?」





「違うよ」





笑顔で誤魔化す。


























「待って郁人。郁人。郁人!」





「なんだよ」





「さっきのなんなのよ」





「え?別に・・・」





キャンプ場の入り口





小さな声で会話する。





「なにも糞も、気にすんなっつってんじゃん」





「そうだけど・・・」





また沈黙





郁人と一緒にいると、





女子になったみたいだいやだ





女子だけど・・・





「お前さー」





「ん?」





郁人が口を開いた。





「俺の好きな人知ってどうすんの。何にもなんねーよ」





「それは」





意外にも自分が発した言葉は即答だった。

















「違う・・・」














大粒の涙がこぼれた。





「違うぅ~~・・・」





目を見開いて郁人は驚いている。





「好き・・・」





「は・・・?」





我慢できない。














「郁人が好きなんだよ」










言葉にするまで時間がかかったように感じた。














貧血でたおれてお姫様抱っこして保健室つれてってくれたときも





学級委員に推薦してくれたときも





ケンカをかばってくれたときも





合宿でおんぶしてくれたときも





誘拐されて1人でいたら颯爽と抱きしめてくれたときも





小学校のことを





覚えてくれていたことも。











全部好きで仕方がない。





「柴田」





名を呼ばれた。





涙が流れてまともに前を向けない





「こっち向け」





郁人の大きな背が私を覆う。





「郁人・・・」





真夏の暑い中、郁人が私を抱きしめた。





「好きって言われたの、何回目だっけ」





「は・・・?」





震える声で答えた。





「小学校のときさ、お前、別れ際で・・・」





「・・・」





「俺に好きって言ったろ」





「・・・」





「車のせいで聞こえなかったんじゃない。知ってた」





「・・・ドS・・・」





「あぁ」





涙を拭きながら笑った。





「返事は?」





ブサイクな顔ってわかってた。





だけど郁人の方に顔を向けて聞いた。





「俺も好き」





真夏の空の下





恋は今





柿色のセカイにいる。









これで完結です!

ありがとうございました!

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