誘拐
誘拐されたあああああ
「恋」「れんっこ?」「恋?」
この言葉を一斉に浴びせられる。
正直聞き取りにくい。
「なに頭抱えてんの」
「わはは、キモーい」
「何かあったでしょ。」
放課後みんなで帰ることになった恋。の、横に、うぇぼしーとあすのと真白。
「抱えてないしー、キモくないしー、なんにもないしー」
「ウソつくの下手くそだなぁ。ばればれじゃーっ!」
「・・・真白・・・すっかり仲間入りしてるんですけど。それに、昔のキャラ今出しすぎ!」
「いいじゃん!私はいつもコレだよ!」
「私のイメージ的に、無口で可愛い女子ってかんじなんだけど」
「あすのもー!!」
どうやらみんな真白のことを第一印象で決めているようだ。
まぁ、私も初めは可愛らしくていい子と思っていた。
実際そうなんだけど。
意外と下品なところも。
「やっだな~、無口とかどこで付いたのよっ!このとうりだよっ!」
と、言って猫背の私の背を右手でバシバシ叩く。
その反動で、猫背から反り返る。
真白のイメージダウン。でしょ?
黙ってるよりも、ましって言ってくれる人が少ない。
「こんにちはー」
後から声をかけられた。
あれ、どこかで見た女子。
同じ制服。
あれ、
もしかして、
この人って、
郁人のことが好きなー・・・・
グッ!!
いきなり胸倉を掴まれた。横には数人の男。
そのまた横に、一台の黒い車。
なに――・・・?
「来い!!」
胸倉を掴んだ女子が目の前で叫んで車に連れ込む。
なにが起こってるの!?
その瞬間意識がとんだ。
薬のにおいでもかがされたんだろう。
「ちょ・・・、れ、恋!?」
「嫌だ、なに!?待ってよ!」
「や、なに・・・!?やめてよ!!」
「あすのちゃん!!」
真白があすのを引き止める。
「あすの!やめろ!」
うぇぼしーがあすのの手を掴む。
それを振り払う。
「れんっこ返せ!!」
車に乗り込む一人の男をあすのが蹴り飛ばす。
「・・・ってーなぁ!!!」
男があすののお腹を蹴った。
「・・・きゃっ・・・!」
「あすの!!」「あすのちゃん!?」
倒れこむあすのを真白が支える。
「善ちゃん、先生を呼んできて!あすのちゃんも動けないわ、早く!」
「わ、分かった!」
うぇぼしーが走って校門をくぐる。
「あすのちゃん!あすのちゃん!息できる!?」
「う・・・・ん・・・」
「よかった・・・・!」
「少し待ってね、先生もうすぐ来るから!」
真白は鞄から携帯を取り出して開く。
あて先
新山郁人。
「あ、郁人くん!?今学校!?」
『え、まぁそうだけど・・・』
「早く校門へ来て!!」
「え?あぁ、分かった・・」
「恋が・・・恋が・・・・・」
震えるか細い声で泣き崩れる。
『・・・恋?』
郁人が急に立ち止まる。
「恋が・・・・誘拐されたの・・・・・!!」
その時郁人の時間は止まった。




