権利
「れーんれんれんれんれんれんっこぉ~!!」
「え」
「大変だぁ!!」
「え、何」
あすのの気持ち悪い名の呼び方に少し引く。
「コレコレ!大変だよ!」
「ごめん主語述べてくれる?」
右手を腰にあてて、左手を軽く挙手。そのままあすのが差し出す携帯に向かって体を乗り出した。
どうやら見せたいものは写真のようだ。
「見て!」
スマホじゃない携帯の画面を覗く。
「なに・・・これ・・・」
写真には、郁人と寄り添ってる写真・・・・・・・じゃ、なくて。
「2人でぬれてバスの入り口で手ぇ上げてる写真!」
は?なんで?
なんでこのそろって手ぇあげたキモい写真がうけんの?
はっ!
キモいからだ!!!
そろってるからキモいんだ!
「おっ、なになにー?」
その時郁人が恋の首に手を回す。
「えっ、撮られてんの?」
恋の頭にあごをのせる。
「撮られてるもクソも、なんでコレなの」
「さぁ、キモいからじゃね?」
「・・・・・・・・」
「・・・」
キモい・・・、と、うけるのか。
「柴田さん」
放課後、別のクラすの女子達に声をかけられた。
「お話いい?」
「私?」
真ん中に立つ女子がコクりとうなずく。
「さき行ってるわ」
「昇降口でねー」
うぇぼしーとあすのが気を使って場を離れる。
この場合、使わないでくれるほうが嬉しい。
お話、ていうか、雰囲気が変だしね。
人がなかなか入らない中庭に連れ込まれた。
「柴田さん、新山くんと仲良いの?」
「さぁね」
腕を組んで空を見上げる。
あぁ、面倒臭い。
「もうやめてくれない?仲良くするの。」
「なんで?」
「この子、新山くんが好きなの。邪魔しないで」
真ん中の女子が端っこにいる大人しめの子を連れ出す。
「邪魔?勝手にしとけばいいじゃん。私関係ないし」
「とにかく新山くんを取り入ろうとしてるかしらないけど、近付かないでよ」
「取り入る?っていうか、郁人どうこうは、君が動かす権利ないよね」
「・・・は?」
おっと、言いすぎたか?
だから女子は面倒くさい。
好きだろうが何だろうが、勝手にキャーキャー言っとけばいいのに。
「関係ないなら仲良くしないで」
「私は私のやりたいことをする。 じゃ」
そのまま中庭を去ろうとする。
頭に来ていた。
「おい」
その掛け声とともに、壁に叩きつけられる。
ドンッ!
「・・・なに?肩、痛いんだけど」
女子達をそのままにらみ付ける。
ちっ
心の中で舌打ち。
「調子のんのもいい加減にしろ!!」
真ん中の女子が大声をあげる。
「お前がいるからこいつは何も出来ないんだよ!とっとと消えろよ!」
大声は中庭にも校舎にも響く。
うるさい女だな。
ちょっくら言い返してやる。
「悪いけど、私がいろうがいまいが、その子が何も出来ないのは私のせいじゃない。自分が本気でやろうとしないから、こんな馬鹿集団に埋もれるんだよ。」
肩においている相手の手を思い切り振り払う。
「馬鹿集団だと?」
その瞬間、胸倉を掴まれる。
「お前、言葉に気をつけろよ!!!」
相手の右手が大きく振りかぶった。
殴られる!!
パンッ
大きな音が鳴る。
私は無傷。
「ちょっと、女の子がそんな言葉遣いするのは許せないな。」




