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友達
「郁人っ!郁人!どこ行くのよ!」
急に連れ去られた恋はずっと叫んでいる。
やっと止まったと思えば、真白達が全く見えない場所だった。
「な、なに?説教でもする気?」
片腕を抱えながら恐る恐る聞き耳を立てる。
「あすの」
「え?」
「あすのに忠告しといてやって。」
「忠告?」
説教じゃなくて、忠告。
「真白さぁ、実は友達いないんだよ。」
「え?」
「2年になって男子から人気集まってさ、女子から逆風あびるとか」
「・・・」
「この話はまた今度詳しくするよ、とにかくあすのとかに、真白に友達の話するなって言っとけ」
「・・・・ん・・・」
驚いた。真白に友達がいないなんて。
初耳だった。
っていうか、
なんでそんなに真白を気にするの?
なんでそんなに真白のことを知ってるの?
分からない。
なにもかも。
私が知っているのは、
自分の生きた人生の半分もないんだ。