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柿色のセカイ  作者: 萩乃
23/45

苗字

「れんっこぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」





「は?」





「のしっ」





「うわぁ」





あすのが私の上に馬乗りしてくる。





「な、何急に・・・!」





「なんで言ってくれないのぉ~~!!」





「は!?なにが!?」





「苗字」





振り向くと郁人が本を読みながらつぶやく。





「苗字が真白と一緒。」





「あ・・・、あぁ。そんなこと」





「そんなことじゃないよぉ~、なんで酒井なの~!」





「うっさいうっさい。早朝ですよ」





もー、今5時ですが・・・。





朝の。





5時ってことは他の班は寝てるってことだよ。





分かんないかねー。





「苗字が一緒なんてよくあるでしょ!?騒がなくていいの!」





「・・・そうなのー?」





不安げな表情のあすの。





「そうなの」





にこやかな笑顔で心配させないようにする。





コンコンッ





ふいにドアにノックが聞こえた。





「は?誰だ?こんな朝早く」





「先生かもよ、寝なさいとか言って」





由香さんがまたまた不安げにドアノブに触れる。





カチャ・・・





ドアをゆっくり開くと、廊下側の窓から噴出す風。





その風にのって、甘い花の香りが漂った。





「朝早くにすみません・・・」





消えそうなのに、よく通る声。





それは、





ふわふわの髪を左手で優しく寄せる、





真白だ。





「ま、真白・・・?」





私と郁人。そして、雄太くんまでもが驚いている。





「どうされました?こんな早くに」





由香さんが冷静な笑顔で首をかしげる。





「あの・・・」





ピンクの唇と頬が持ち上がる。





「れ・・、恋と、郁人くんと・・・、雄太くんに・・・・。」





「用事があるのですね?」





「うん・・・」





由香さんと真白がドアに寄り添うぐらいの近さで話す。





郁人も雄太くんも驚いているようだ。





「ここじゃ・・・ない所で・・・」





ずいぶんかしこまっているようだ。





昔はだいぶ元気で明るい性格だったけど。





白く透き通った真白の肌を、1粒の小さな水滴が落ちるのを、





私は確認した。   



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