嫌い
ん・・・明るい・・・寝てしまっていたのに・・・
カーテンから強い明かりが差し込み、恋の目が眩む。
「ん~・・・何時だ?」
食堂から戻ってきて寝込んだことに気づく。
抱き枕を手で抱えながら、ムクリと起き上がる。
「9時」
隣から声がする。
「おはよー、柴田さーん」
「ぎゃぁ!!」
隣のベットで郁人が本を読んでいる。
「ちょ・・・!何してんの!?そこ由香さんとあすののベットだよ!?」
「あー、知ってる知ってる」
「だったら降りろ!」
「面倒くさい」
「はぁ!?」
本から目をそらさずに平然と話す。
「てかさぁ、」
「何!」
イライラして大きな声を出す。
「2時間も寝てんだな、お前。皆休み時間だから遊びに行きましたけど」
「に・・・2時間!?ひーふーみー・・・確かに!」
指を折りながら郁人を見つめる。
「しかもいちいち家から抱き枕を持ってきて寝るだぁ?子供かよ」
「・・・これが無いと落ち着かないんですー」
「あぁそう。てゆーか、」
「まだ何か」
恋は噂の抱き枕を胸元で抱えた。
「制服で寝るとかあほじゃね?寝返りうったらパンツ丸見えですけど」
「・・・へ?」
「これ、マジね」
「・・・へ!?」
巨大うさぎ抱き枕の頭から真っ赤にした顔を出す。
「なんで本当でも本人に言うかな!?てか郁人パンツネタ多いよ!?」
「見えたもんはしかたないだろーが、もし俺がお前に言わなかったら怒るだろ!?」
「お、怒る・・けど・・」
「だろ!?なんにしろ結果は同じだぁ!」
急に大声を出している。
かと思えば・・・
顔を真っ赤にして口元を抑えている。
「あ――、もう!」
次にまた両手で顔を覆う。
かと思えば頭をブンブンふる。
「郁人・・・・・・」
急に動きを止める。
「最高に気持ち悪いよ。」
「・・・知ってる・・・」
「・・・ありがとね」
「は?」
「ずっとここに居てくれてたんでしょ」
「は、まぁ・・・そうだけど。」
「ありがとうね」
「・・・」
その瞬間、郁人の手が私の頬に触れた。
驚いた顔で郁人を見つめる。
「俺・・・、バスケしてくる・・・・」
「・・・えっ?」
そう言って部屋を去っていった。
窓からの風で2人の髪が揺れていることに気がつかなかった。