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柿色のセカイ  作者: 萩乃
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去年の片思い

私はあの頃、ずっと片思いをしていた。











「恋~っ!」





私の高校に入って初の親友、酒井真白が駆けてくる。





「聞いて!男子情報!」





「え?」





「男子がね、雄太くんの好きな人情報引き出したのっ!」





「ほんと?」





私、柴田恋は、雄太という男子が好きだ。





自分の名前を、「こい」と、読み間違える中、雄太くんは、





「れん・・・、っていうんだね。いい名前だね。」





と、ちゃんと私の名前を読み間違えずに呼んでくれた。





その時から雄太くんを思うようになった。





「男子たちがね、恋のこと好きかもだって~!」





「えっ!?」





「ほんとだよ!男子が言ってたよ!」





1年間思っていた相手が・・・





「告白したい!高2までに!」





「嘘!本当にする!? わーい!」





真白が喜んでいる。





勇気がわいてきた。





次の日、恋は、急いで雄太を探しに行った。





「あ」





雄太がいた。





ん? もう1人は?





「やだ~、雄くんったら~」





楽しそうに話をする女子。あれは








真白?





真白なの?





フワフワのセミロングの髪は、雄太の横で揺れていた。





その真白の手は、雄太の腕にしっかりとくっ付いている。





まさか?














その時から私の気持ちは薄れた。





真白とも話さなくなった。





髪を短く切った。





私は、





すべてをなくした。





挽回はいつできる?





高2


   から





はぁ、本当に何もない。





春休みはまだ続くのに。





暇で仕方がない。





家の近くの公園で1人座っていた。





肌寒い、ブラウスは早かったかな。





「うわっ 寂しいなー」





後ろから声がした。





そこには男子が立っていた。





どっかで見たことあるな。





あ、そうだ、雄太くんの親友ってヤツだ。





「・・・なんですか。」





少し冷たく言ってみた。





「え、ただただ寂しー背中だなーって。」





ムっとする、初対面の男から。





「本当、なんですか。てか誰なんですか。」





同級生に敬語を使う。ま、誰とは分かってるけど。





「横、座るよー。」





うわ、面倒臭い。どっかいけどっかいけどっかいけ。





「ふーん、『れん』って言うんだー」





「え?」





ハっとした。どうして名前知ってるの?





そしてまたハっとする。





学校の鞄持ってたんだ。この鞄名前書いてるし。





でも、れんって分かったんだな。





「どーもっ」





そっぽを向いて返事をした。 こんなイジワル知れたもの。





「前はそんなんじゃなかったのにね。」





「は?」





「もっと良いコだったのに。」





知らないそんなの、どーだっていい。





ていうか、『前は』とか言ってるの。





「前も何も、こんな感じだったけど!」





「そんなことないよ」





「・・・・・・。」





「ま、詳しいことは知らないけど。また明日」





明日?





「なんで明日なのっ」





去ろうとしている男に叫んでやった。





「明日始業式でしょ。」





「え?」





「まさか休みボケ? ははは、小学生かよ。」





うそっ、明日学校に行かなくちゃなの?





じゃなくて小学生かよって何!





「調子のんな! しかも初対面!」





かすかに男は笑みを浮かべた。





「初めてじゃないよ。」





「あほっ 知らないっ お前なんかっ」





口悪く叫んでやった。





またあいつは笑った。なんなんだ。





「あたし・・・・バカ・・・・か。」





公共の場で吼えていた。





恋は、家へ疲れ気味で帰った。



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