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柿色のセカイ  作者: 萩乃
18/45

深夜

眠い・・・今日の夜は疲れた・・・。





真白を送り届けてからも疲れたまま・・・。





恋はふとんと家から持ってきた、巨大うさぎをいっぺんに抱えた。





「柴田っ❤」





「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」





どちたも小声なのに大声。





声側の方を見ると、やはり郁人。





「暇ー?」





「暇なわけなかろうがっっ!今から寝るんじゃいっ!」





「んじゃ暇だね。」





「は・・・!?」





ベットの上で足をジタバタさせた。





隅っこに寄って一安心かと思いきや、





郁人が恋を引きずり出した。





「いやー、変体ー!」





「しーっ!」





意味分からんっ!





何でこいつは私の腕掴んでるワケ!?





気色悪いわぁ!!





「い―――やぁ――――!!」




















「仲直りすんの?」





「さぁね、するんじゃない」





「いつ?」





「さぁ、合宿中じゃない?」





「ほんとにすんの?」





「さぁね、するんじゃない」





ベランダに連れ込まれて暇そうな会話を続けた。





「まぁはっきり言うと、俺らが首突っ込むとこでもないな。」





「だから、ほっといてー」





「・・・。」





暇なのか?って聞いといて、暇にしてんのあんたじゃん。





と、言いたいところですが、言えないので。





「・・・あ、ありがとう」





「へ?」





照れくさい・・・





「もっかい言って」





「え・・・、え!?嫌!」





「言え」





「嫌」





「言えー」





「いーやーっ!」





黙れ黙れ黙れ!





空気読めよなっ!!





「し・・・」





「し?」





「心配してくれてどーも!」





嫌ー!キモいキモいキモい!





どーもとかキモい!





自分で言うから余計に・・・・・





恋はそっぽを向いて、海を眺めた。





「ぶっ!」





「?」





急に郁人が吹き出した。





「お前でも礼とか言うんだなっ!」





いきなり無邪気な笑顔を見せる。





いつも自分が背の高い郁人に勝ったような気持ち。





でも今は、従えられているような気持ち。





私は郁人を見上げることしか出来なかった。





「やっらしー」





窓の方から班の人が・・・・





「なっ、聞いてたの!?」





「聞こえないワケないじゃん、さっき大声出してたんだから。」





「早く寝ないと、『新山くんと柴田さんがイチャついてまーす』って言うよ!?」





「実はそんな関係だったんだ・・・」





「男女同じの部屋となると、すぐこうなりますね。」





4人がケラケラ笑っている・・・・





ムカつく・・・・





どれもこれも郁人のせいなんだけど・・・!





「ため息つく時すらない―・・・





恋が情けない顔で合宿先の建物を見渡して息を止めた。





校舎の窓から生徒が見つめている。





こちらを。





え、え、え、み・・・、





「見るな―――!!!」





6月19日、深夜12時。





恋を大きくて甲高い声が、どこまでもどこまでも響いていった。


             









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