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柿色のセカイ  作者: 萩乃
15/45

夜の一本道

「おー、こんな暗いんだ」





「はい・・・・」





今は夜。宿泊先の建物の裏。





少し進んで右の暗い道を行くと、それ以上に暗い道。





「面白そーぉ!!」





「あ、あすの!」





1人盛り上がるあすのを背に、小刻みに震える。





「そんなに暗くないわね」





「!?」





由香さんが黒髪をサラサラと揺らしながら呆然と立ち尽くす。





「本格的だなぁ!俺怖くなってきちった」





雄太くんが曲がった笑顔を空に向ける。





そりゃ怖いですよ!





心の中であっかんベーをした。





郁人はというと・・・だけど。





「なぁなぁ早く行かねぇのー!?待ちくたびれたんだけどー!」





「まだだ!全員集合せねば始められんだろう。」





「・・・へーい」





おぉおぉ、楽しそうですこと。





ま、私は吐き気が今襲ってきてますが。





「お、全員集まったな。それではキモ試しを始めます。ルールは簡単。1班づつ道の行き止まりまで行って帰ってくるだけだ。おどかし役はいないから十分に怖がってこーい」





「はーい」





はいはい、怖がってきますー





心底強気な言葉言ってもさ、どーせ私はキャーキャー言って帰ってくるんだ。





私は2班だから・・・1班が帰ってきたら行けばいいんだな。





1班が帰ってきた。





さあさあ感想を聞こうじゃないか。





「あー、ヤバかったー、誰もいないってのがヤバいよね」





「だよねー、6人いても怖かったもん」





「めちゃくちゃ軽いトラウマになりそうだわ、良い思い出ー」





軽く・・・トラウマ・・・・!?・・・





とっ トトトトトトトラウマは嫌だよ。





ま、まぁ、このキモ試し行かなかったら私の強気キャラが廃る!





「んじゃ2班行くかー!」





郁人の叫び声が森じゅうに広がる。





その時吐き気がした。





でも我慢した。





頑張れる気がしたから。





何でかっていったら、





郁人が手を引っ張ってくれたから。





郁人が後の4人も走らせて、私をぐいぐい引っ張っていく。





一瞬私は、





暗いこの夜道の森を、





とてつもなく明るい一本道に見えた。





それは前に広がる景色だった。





昼でも朝でもない夜道。





狂ったような自分の眼中はただただ正面を見つめていた。



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