狂い
事件から1週間過ぎた。そうすると事件がはったりということが分かった。
先生が確かめたところ、ほうきは1つも折られていなかった。
事情を調べると、うぇぼしーの顔が生意気だと前から噂をしていたらしい。
「ばかばかしい・・・」
恋は家の自分の部屋で抱き枕の巨大ウサギを抱きしめた。
午前5時、学校へ行く日の朝だ。
早く起きてしまった。しかたない、ケータイでもいじるか。
「ん?」
メールが一通届いている。誰だ?
クリックして画面を見た。
『新山郁人』
「はっ!?郁人!?」
どうやらついさっき送ってきたようだ。
こいつも早起きしたのか?
とにかく内容はなんだ?
恋はケータイのボタンを押した。
『朝早くごめん
昨日上星が犯人じゃないって分かってよかったな。
本題に入るけど、
昨日先生から連絡があって、朝早くに学校に来いだって。
2年生は送球に話を進めるとかなんとか。
まあ8時ぐらいに来いだとさ。
それじゃ学校で』
ふーん意外な文章
って―・・・・・
8時!? 早くない!?
あぁ面倒くさいなー
どうせあれだろ?
1時限目を潰して勉強遅れるのヤだから早めに話し合っとくとかだろ。
まぁ、いっか。
メールの返事やっとくか。
えーっと。
「ありがとう まぁ私学校に家近いからね。」
以上!
後で学校で会うから短い文で良いよね。
送信と。
~1分後~
「はやっ!」
即レスだな。えっと何なに。
『お前のメールって色気ないな。
男みてぇ』
は? 何それわざわざ?
ウザっ
「これが私の本当の姿ですー」
送信!
なんだあいつ。文句付けてきたのか。
はぁ、ウザい
ピロロロロンッ
来た!
えーっと?
『そんなだったら彼氏も出来ないぞ。
もっとも、好かれないな。」
「別に彼氏今いらんし、
好かれたいとも思わんし。
男子ってなんでそうゆう感じに持っていくかね。」
『持っていってねーし、
そう考えるお前もおかしくね?』
「だまれ馬鹿が。
学校で決着をつけようじゃないか。」
『おーよ、望むところだ。
校門で待ってろよな。』
「おーおー待っててあえるよーだ。
そんな時間があったらあすの達と遊ぶけどねw
じゃまた後で。」
はぁ、つくづくムカつくやつだ。
ほんと、ばか。
馬鹿・・・バ――カ・・・・
ニヤついてしまった。
自分では気がついていないんだろうな。
「おらー、席つけー 話があるぞー」
「はーい」
2年が教室に向かって駆け出す。
「面倒くさっ」
つい心の声が声に出る。
「あ、男勝りな柴田サンだー」
「は!?」
振り返ると郁人がいた。
「・・・どーも」
「結局ケンカなんてしないけどね。」
「あたりまえ、お遊びに付き合ってられませーん」
「うーん、まあそうだな。」
郁人が私の後ろを歩く。
「お前さー、なんでそんなに髪の毛短くしたん?」
「・・・えっ・・・・」
思いがけない質問だ。
どうしよう、答えたくない。
雄太くんを好きだったってことはこいつも知ってる。
でも、髪を切った理由は言いたくない。
好きな人を友達に取られたなんて情け話言いたくない。
「き、気分だよ、気分!」
「ふーん」
ショートボブの髪は気分なんかでした髪型じゃない。
早とちりだったかもしれないのに。
「とにかく早く教室へ入らないと怒られるから。」
階段を速く駆け上がる。
「・・・パンツ見えるよ」
バッ!
恋はスカートを思い切り抑えた。
「そういうのやめてって!!」
真っ赤になりながら郁人を怒鳴った。
その瞬間郁人は少し笑みを見せた。
「調子狂っただろ?」
「・・・うん」
「過去にとらわれなくていいから、今自分が出来ることをしろよな。」
「・・・してる」
階段の一番高い踊場にいる私と、
階段の一番下にいる郁人。
朝の柔らかな日差しが窓から差し掛かる。
「俺は今のお前が一番お前らしいとか思うけど。」
「うん」
先生の話そっちのけで突っ立っていた。
「おーい、柴田と新山はどこだぁ」
「さっき見たよー」
「おぉ、どこにいた。」
「めちゃくちゃ真剣な顔で階段にいたー」
「何だそら、探しに行くか。」
クラス全員で階段に駆け寄った。
調度。
「俺は今のお前が一番お前らしいとか思うけど。」
「ワオ!」
「は?」
恋は上を見上げた。
「おらおらお前等ー! イチャついてねーでさっさと来い!」
「れんっこすごーい」
「恋なかなかやるんだね」
「は!?何でそーなんの!?」
私の朝は、『公開イチャつき』という名で2年全体に広まった。