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大根と王妃②【改訂版】  作者: 大雪
第二章 王宮
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第十七話 つかの間の会話

「そういえば、まだ名前を名乗っていませんでしたね」


 リーダー格の男の言葉に、明燐が顔を上げた。


「名前……」


 驚いた様子に、男が笑う。


「ああ――普通は名乗りませんよね」

「当たり前ですわ」


 誘拐犯が身元をばらすという事は、ある意味タブーだ。

 それこそ、誘拐した相手を生きて返す事はないという意味にも繋がる。

 もし被害者を生きて返せば、そこから自分の身元がばれるからである。


「つまり私達を生きて返さないと?」

「それはないです」

「……」


 はっきりと断言した男に、明燐は無言で先を促した。


「オレ達は貴方達を害すつもりはありません。オレの名と名誉、そして命にかけて」


 真っ直ぐな眼差しを明燐は真っ向から見据える。

 暫し見つめ合い、その真意を探る。

 しかしそこに裏はないと感じると、ふっと明燐から視線をそらした。


「信じましょう」


 今までの事を含めても、信頼に値すると答えを出す。

 それに――もし、裏切ったらその時はその時だ。


 明燐は自分の胸にそっと手を当て、鞭の存在を確かめる。

 今まで何人も屠ってきた血に濡れた自分の武器。

 この武器が更に血を吸うだけ。

 しかし……出来るならばこの男にはそれはしたくないと思う。

 そう考えている自分に気付き、明燐は自嘲した。


 何を馬鹿な。

 自分の役目は果竪を守る事。

 もし果竪に危害を及ぼすものがあれば、全てをなぎ払うのみ。

 例えこの手が血に染まり、汚泥にこの身が沈もうとも。

 それが――明燐の誓い。


『私の名と誇り、この命に誓いましょう』


 果竪の命と心を守る。

 そう――あの時誓ったのだ。

 明燐はそっと伏せていた眼差しを男へと向ける。

 それを合図に、男が口を開いた。


「オレの名前は蓮璋(れんしょう)と言います」

「蓮璋……失礼ですが姓は」

「姓はありません」

「え?」

「既に取り潰しにされていますからね……オレの家は。その時に消えました」


 何処か哀しげに呟く蓮璋に明燐は考え込む。

 確かに取りつぶしともなれば、場合によっては姓も消える。

 それは籍から消されてしまうからだ。


 しかし、本人が名乗る事には問題はないだろう。

 例え公式なものから消えようとも、生き残った者が居る限り完全に無くなりはしない。

 だが、蓮璋はそれ以上言おうとはしなかった。


 取りつぶし……もしや、その事が今回の誘拐に関わっているのだろうか。

 何かの理由で取りつぶしにされた家を再興する為に、王妃を浚い王に直談判する。

 王妃という駒があれば、確かに王側も動くだろう。

 切り捨てるという事もないわけではないが……。

 と、まるで明燐の考えを読んだかのように蓮璋が笑う。



「たぶん貴女が考えて居る事とは違いますよ。家についてはもう良いんです」


 家の再興よりも大切な家族は既に居ないのだから。


「……」

「それで、貴女の名前を教えて頂けますか?」

「……明燐」


 ああ、やはり良い名だと蓮璋はその名を噛みしめる。


「どういう字を書かれるんですか?」

「明るいに、燐ですわ」

「へぇ……」


 火に関係する字。

 その名の通り、明燐の温かな火を思わせる朱色の髪は何と鮮やかなことか。


「王妃様とはとても近しい方のようですが……侍女ですか?」


 と、ついつい聞いてしまって反省する。

 確かに名前を教えてくれるまでは信用してくれたが、誘拐犯相手にそうそう情報は与えないだろう。

 だが、蓮璋の思いとは裏腹に明燐が頷いた。


「ええ。侍女長をしておりますの」

「あ、え?!」


 そこまで答えてくれるとは思っていなかった。


「どうして驚きますの?」

「い、いや……」


 まさか答えてくれるなんて……。

 しかしその驚きが過ぎると、今度は侍女長という高位な地位に茫然とする。

 凪国王宮女性職の中でも上位職――それも、女官長と共に双璧と言われている地位だ。

 王夫妻の信頼厚く、有能な側近中の側近の一人とも言われている。


 確か――王妃の懐刀だと、父が言っていた。

 ――て、あれ?


「侍女長……」


 自分は何時も父の代わりとして留守番をしていた。

 だが、父から王宮の事は何度か聞いていた。

 今は記憶の奥底に沈められた情報の中から、一つの情報が頭を出す。

 侍女長……その地位に現在就く者の情報を。


『ご本人には会えなかったがな――』


 そう言いながら、父が語ってくれた。

 凪国一の美姫として周辺国にまで名を馳せ、王妃よりも王妃らしいと言われた有能で麗しい美少女。

 そんな侍女長は、宰相とは実の兄妹にして手中の珠と呼ばれる存在だと――。


「っ――!」


 蓮璋は上がりかけた悲鳴を必死に飲込んだ。

 確かに、明燐の美貌は凪国一の美姫に相応しい。

 そして侍女長に就いている。

 つまり、つまり明燐こそが宰相閣下の手中の珠!!


「貴女……様は」

「……」

「宰相閣下の妹姫」


 遠方の地――この鶯州にまでその名は轟き、男達の憧れの高嶺の花として名をあげられる宰相の愛しの妹姫。

 まだ自分が平凡に暮している頃から、誰がその妹姫の夫の座を手に入れるかと噂されていた。

 まさか……本人に会えるとは。


 いや――。


「私が誰か分かって、今更ながら後悔しました?」


 明燐は意地悪げに告げる。


「でももう遅いですわ。とっくの昔に賽は投げられましたもの」


 果竪を襲った時に、もう道は決まってしまった。

 今更、なかった事には出来ない。


「まあ――今すぐ私達を帰すならば」

「いえ」

「はい?」


 蓮璋を見れば、穏やかな笑みを浮かべている。


「後悔はしていません。そもそも、これぐらいで後悔する様な覚悟なら、最初からこんな事はしていません」


 もうどうにもならないからこそ、ここまでの危険を冒したのだ。


「賽は投げられた。確かにそうです。もうオレ達には後戻りする道はない。だからこそ、突き進み望みのものを手に入れる」

「……」

「それに……驚きましたが、納得もしました」

「え?」

「貴女の事は最初からただの女性ではないと思っていました。王妃様の側に居られるのだから、高位の方だと。それでも予想よりも遙かに高かったですが」


 そこに媚びも生々しい欲望も見られず、明燐は詰めていた息を安堵するように吐き出した。

 と、そんな自分に気付きハッとする。

 自分は……何処かで期待していたのだろうか。

 この男だけは違うと。

 今までの、自分を嬲る様に見つめ、手に入れようと虎視眈々と狙う者達とは違うのだと。


 相手の意思を無視し、強引に自分の意思を押し付け、手段を選ばずに襲い掛かってくる獣達など掃いて捨てるほど居た。


 自分の思いを受け入れてくれ、これだけ愛しているのだから我が物になれ。

 此方の意思など完全に無視し、此方が望んでいるのだからと身勝手に手を伸ばす。

 その美しさは選ばれしものだけが手にできるとして、勝手に人のことを争い出した。


 美しいお前が悪いのだと言われた。

 それほど魅力的だから争うのだと言われた。


 ふざけるな。

 ふざけるな。

 ふざけるな。


 望んでもいない争いの原因にされ、襲い掛かられる。

 兄が守ってくれたが、今度は兄にその余波が向かった。

 兄も同じだったから。

 その美しさ故に奪われ争われ、自分の意思とは関係なしに閉じ込められた。


 殺してやる。

 兄を虐げる者を。

 呪ってやる。

 自分達兄妹を苦しめる者達を。

 この凪国の王と出会うまで、地獄しかなかった。


 そう――男なんて……いや、男も女も全てが敵だった。

 老若男女問わず、自分と兄を奪おうとした者達など……。

 暗い闇の底に沈んだ心は重く、汚泥の水の中に閉じ込められたまま生きてきた。

 それを水面に上がるきっかけを作ってくれたのは、王。

 泥まみれだった自分に臆することなく受け入れてくれたのが、果竪。


『私、果竪! 宜しくね!』


 がりがりの顔で浮かべた満面の笑み。

 ともすれば骸骨にも似た衰弱した体の中に宿る心は酷く温かかった。

 と、蓮璋を見ると、ふと温かいものが心に宿る。

 果竪の時と似ている。

 けれど、何処か違う。


 これは何?


 自問自答するが、答えは出ない。


「どうしました?」

「いえ――」


 心配げに自分を見つめる眼差しを見る。

 そこには、やはり身勝手な欲も媚びも見られない。

 純粋に心配する思いと、恋い慕うものだけが持ち得る光が宿る。

 けれど、激しいそれとは違い、温かく穏やかなそれに明燐はなんだか笑いたくなった。


 今まで……そんな風に見てくれる者は居なかった。

 もちろん、ずっと穏やかな恋や愛などない。

 いつか激しく燃え上がる時だって来るだろう。

 しかし今までの者達は最初から自分の気持ちを押しつけ、断られれば強引に体を奪おうとした。

 蓮璋のように、恋い慕っていても自分の気持ちを押し付けない者達など居なかった。

 その時、傷つき過ぎて固くなった心の奥深くに、小さな炎が人知れず灯ったが、今はまだ気づく事はなかった。

 後にそれが大きく燃え上がり、相手すら焼き尽くす激しいものと化すという事も知らずに。


「それで……何故私達を誘拐したのですか?」

「……それはここでは言えません」

「何故?」

「誰に聞かれているか分からないからです」

「どういう事でしょう?」

「とにかく、慎重に事を進めなければならないんです。ですから……もう少しだけ、待って下さい。向こうにつけば、全てをお話しします」

「……分かりましたわ」


 もう目を見ずとも、声だけで分かった。

 だから、明燐は静かに頷いた。

 と、その時横で眠っていた果竪が身じろぎする。


「ん……」

「果竪?!」


 目覚めたのかと思うも、何度かの呼びかけに答えず瞼も開かない。

 どうやら、ただの身じろぎだったらしい。

 だが、少し呼吸が荒くなってきており、そっと額に手を当てれば高い熱を感じた。


「果竪――っ」

「どうしました?」


 蓮璋が明燐の横から果竪の額に手を当てる。

 少し離れた場所で思い思いに休んでいた蓮璋の仲間達もやってきた。


「お頭?」

「熱がある。少し冷やした方がいいな」


 すると、仲間の一人がさっと地下水に自分の持っていた布を浸して絞る。

 それを果竪の額に当てた。


「水分補給もした方が良い。多めに。あと、塩だな」


 塩は水分を体内に留めてくれる。


「塩ならアッシがもってますぜっ」

「それを水に少し混ぜてくれ。しかし弱ったな……向こうに着けば、もっとちゃんとした治療が出来るんだが」


 しかし、この熱ではすぐに連れて移動するのは厳しい。


「感染症か……」


 熱の原因を予測する。

 確かに可能性はあるだろう。

 あんな場所で、満足な道具もなく行ったのだから。


「熱冷ましの薬草か何かあればいいんだが……」

「薬草ならこの先の分岐点を右に抜けた廃坑入り口に生えてたと思いますが」

「俺が取りに行きますよ」


 仲間の一人の提案に、蓮璋が眉を顰める。


「しかし――」

「大丈夫。見付かるようなヘマはしません」


 ポンっと胸を叩く大男の仲間に、蓮璋はしばし考えるが結局は頷いた。


「頼む」


 王妃の様子を見ていれば、それを止めさせる事は出来なかった。

 そうして大男が奥に姿を消すと、他の男達も動き出す。

 少しでも果竪の体が辛くないように場所を整えたり、体にかけている衣類を増やしたり。

 明燐のやる事は殆どなかった。


「……手際が宜しいですわね」

「はは。何でも自分達でしてきましたからね」


 特に……あの日からは。


「それに、治療も的確で……本当に素晴らしいですわ」


 明燐は果竪が撃たれた時の事を思い出す。

 自分はただ泣き叫ぶことしか出来なかった。

 完全にパニックになり、治療するどころか逆に蓮璋の治療の邪魔までしかけて……。


「果竪の侍女だというのに……」


 侍女は、一番王妃の側に居ることが多い。

 王妃が恙なく暮しているように気を配り、その世話をする。

 果竪の場合は自分で何でもやるから、古代の王妃のように侍女が全てをやるのではなく、ある意味話し相手としての割合が大きい。


 しかし、今回のような時に一番側に居るのはやはり侍女である自分である。

 そんな時に、侍女――しかもその長である明燐が焦れば、他の者達もパニックを起こし、手遅れにさえなりかねない。

 また治療も傷によっては一分一秒を争うものがあり、適切な治療法が分からないでは済まされない事が今回の件でよく分かった。

 神力が使えるならまだしも、今の神々の世界ではそれさえも出来ない。

 となれば、いかに沢山の治療法を覚え、それをどんな時にでもそこにあるものを使用して使いこなせるかだ。


「もっと、勉強しなくてはなりません」

「明燐様」

「明燐で宜しいですわ」


 彼は誘拐犯だが、果竪の命の恩人。

 呼び捨てで呼ばせる事で、明燐は蓮璋を認めたと暗に告げる。


「……では、オレの事も蓮璋と」


 含む真意をきちんと読み取り、蓮璋もまた告げた。


「でも、明燐。こういう事はそうそう無いのでは? 特に王宮に居るならば」

「確かにそうです。しかし、王宮に居ない場合は? 今回のがその良い例ではありませんか?」


 確かに明燐の言うとおりだ。


「ですから、そういう場合も仮定して常に動かなければなりません」


 王宮ならば、専用の医師が居るし、治療に必要な技術も道具も設備もある。

 問題は、それらがない所での怪我だ。


「二度目はないですわ」


 決意する様に呟く明燐に、蓮璋はふと気になった。


「王宮では、軽い怪我なども医師が?」

「ええ。大戦時代は違いましたが、今ではきちんとした医師の方が良いだろうと」


 ようは、実験台になっているのだが、そこは言わない。

 医師の学生達を鍛えるには、やはり沢山の経験である。

 よって、小さな怪我をしても学生達に治療させているのだ。


「私も王宮に帰りましたら、勉強し直さなくては」


 と、そこで蓮璋を見た。


「貴方の治療法は見事でした。手際の良さ、思い切り、そして判断力。どうです? 王宮で医師として働きません?」


 明燐の誘いに蓮璋は微笑む。

 そう出来ればどれだけ良いか……しかし、今はまだ無理だ。


「因みに明燐は何処までの治療が出来るんですか?」


 あまり追求されてはならないと、話題を変えてみた。


「私ですか?」

「ええ」

「そうですね……誰にでも出来るものしか」


 というと、簡単な止血程度か。


「イヤだ、止めてと言いながらも獣の様な男達に充分な準備もされず強引に拡張され大量出血しかけた肛門の外科的治療なら出来ます」

「……」


 え?


「ですから、男達に散々弄ばれ傷ついた肛門の裂傷の縫合なら出来ます」


 キュピーンと、明燐の目が妖しく光った気がする。

 聞いた事に後悔するよりも、何故そんなピンポイントな特殊事例の場合なのかが不思議だった。

 ってか、男達に弄ばれた――。

 いや、はは、相手はもちろん女性。


「同性同士の交合は十分な準備が必要だというのに、その美貌と色香に血迷った獣達が強引に中に突っ込むんですよ。本当に忌々しいですわ」


 少し怒り口調の明燐に、蓮璋は乾いた笑みすらこぼせなかった。


「はは、はは、は」


 アクセントもイントネーションもない、単音だけが口からもれる。


「ああ、もし蓮璋も必要になったら私が縫合して差し上げますからね」


 嫌です。


「私、こう見えても縫い物は得意ですのよ! 今まで何百回、何千回と回数をこなしてきましたし、綺麗にしっかりと縫って差し上げますから! ふふ、治療した者達からは、治療後の交合時において、強引に拡張されても傷が開かないし痛みもない、しかも見た目はもの凄く綺麗と評判も宜しいのよ!」


 どこのですかぁぁぁっ!


 だが、そんな叫びは口から出ることはなかった。


「因みに、王宮の上層部の男性陣の肛門治療の専門医は私と言っても宜しくてよ」

「っ?!」


 王宮上層部さん?!


「だから、蓮璋も安心して下さいね」


 何を?


「か、かなり特殊な、環境に、いらしたんですね」

「特殊? かしら。周囲の男達はみんなそうでしたけど」


 獣達に施される地獄の様な凌辱によって肛門裂傷する者達など、そこら中に居た。


「それに私の兄もそうでしたからね」


 なんか治療時にグダグダ言って泣き喚いていたが、そこは薬の力。

 しっかりと眠らせてから縫合した。


 既に沢山の裂傷と出血を伴っている状態でグダグダ言うな。

 一分一秒争うんだぞ。


 確かに手が足りなくて涼雪にも手伝わせたが。

 しかし夫婦になれば、夫が男に凌辱された後の治療として肛門など嫌でも毎日見るのだから、今から練習していると思えば良い。

 そうして抵抗した挙げ句に気絶させられて縫われるか、それとも大人しく縫われるかを上層部の男共に選択させた所――激しく抵抗する者達が多いので、全て気絶させてから治療を施し続けている。

 特に兄に次いで煩かった玲珠は最後まで抵抗したが、美琳に説得させた。


『玲珠! お願い! 私に後ろを縫わせて!』


 その後声を上げて玲珠が男泣きし、見かねた朱詩達に明燐は説教されたが逆にこう言った。


『愛しい相手の肛門を他の誰にも見せたくない! 他の相手に見せるぐらいなら、後ろの穴まで妻や恋人が縫いたいと思って何が悪いんですのっ!』


 愛しい相手を誰にも見せたくない嫉妬心故の愛情的行為。

 そう纏めてみれば胸キュンして認めてくれるのだから、ちょろいもんだった。


 兄と玲珠もそうやって黙らせた。

 それに自分だって考えている。

 他の見知らぬ相手に縫わせたが最後、治療どころか余計に後ろをズバズバに拡張されるだろう。


 二重遭難ならぬ、多重凌辱だ。

 男だろうが女だろうが関係ない。

 子供、いや枯れ果てた神だって一瞬にして大きくなるだろう。

 それほど、兄達の体は魅力的だと何処かの誰かが言っていたのを覚えている。

 既に血だらけのそこだろうが関係ない。

 自分の独占欲と加虐心を満たすためだけに行われる忌まわしき行為。

 それを防ぐ為にも、やはり身内に治療してもらうべきだ。

 でなきゃ、新たな凌辱が勃発する。


 感慨深げに告げた明燐だったが、その後蓮璋は青ざめた顔のまま口を閉ざした。

 そして二時間後に煎じた薬草によって果竪の熱が下がり、再び目的地に向かう間も一向に蓮璋が口を利いてくれなくなった事に、明燐はただ首を傾げるのみだった。


間違って消してしまった四話分。

そのうちの一話を更新しました。

ってか、四話分……集中すると一気に書いて保存しないくせをどうにかしたい……。

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