表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

未知の視線

作者: 時輪めぐる
掲載日:2026/02/14

 桜木フユコさんは、四十歳バツイチです。


「恋だ愛だは品切れ中」が口癖のシングルマザーで、高校一年生と小学六年生の二人の息子を育てています。二人ともフユコさん似のハッキリした顔立ちのイケメンです。


 今日も早朝から、宅配業者の倉庫で荷物の仕分け作業を終え、帰宅後、朝食の支度し、二人の子供を学校に送り出しました。


 手早く身支度をして出勤するのは〇×建設。勤めて、もうすぐ二年です。小さな体のどこにそんな力があるのかと思う程、エネルギッシュに仕事をこなすし、しかも、彼女は帰国子女で英語がペラペラなのです。


 心配なのは、お昼ご飯を食べないこと。食べ盛りの男の子二人がいるので食費の節約なのでしょうか、いつも昼休みは喫煙所で煙草を吸って、済ませています。体に悪いですよね。女性の事務職は、仕事が出来てもお給料は高くない。ダブルワークでも、生活は苦しいのでしょう。だから、今日は御自宅のドアに、スーパーで見繕った食料の袋を提げてあげました。


 夕方、帰宅したフユコさんは、袋を手に取り、中を見て眉をひそめ、キョロキョロと辺りを見回した。少し、驚いたのかもしれないけれど、そのまま家の中に持って入ってくれました。喜んでくれたようです。


 大丈夫、毒なんか入っていませんよ。どれも、ちゃんとしたメーカーの製品だから、安心して食べて下さいね。昔の事件みたいに罰当たりな真似はしません。まして、フユコさんに、危害を加えることなんて出来るはずがない。私はね、頑張っている人を応援したいだけなんです。次の日も、その次の日も、私は袋を提げました。




 一週間ほど経った夜。


 今夜は残業ですか? それとも、道が渋滞しているでしょうか。フユコさんは、まだ帰宅していない。師走で皆忙しいですね。息子さん達は、もう帰宅したようです。


 あ、帰って来ました。フユコさんの軽自動車です。今から、お夕飯を作るのですね。働くお母さんは、大変です。私の差し入れが役立っていると良いのですが。この頃、窓のカーテンがピッチリと閉めらるようになりました。窓ガラスは冷えます。寒くなりましたから、風邪を引かないように気を付けて下さいね。




 次の朝、私は見てしまいました。町内のゴミ集積場に出されたゴミを。中身は、私がフユコさん宅のドアに提げてあげた食料です。ええ、何を入れたか全部覚えています。だって、フユコさんが好きな物ばかり買い揃えたのですから。全て未開封でした。食べ物を粗末にする人は嫌いです。まさか、フユコさんが、そんな事をする人だと思いませんでした。




 それからしばらく経ったある朝、警察の方が訪ねて来ました。フユコさんが遅くなったあの夜、どうやら警察に相談に行っていたようです。私のした事は犯罪ですか? 頑張っている人を応援しただけなのに。どんな法律に違反するというのでしょうか。観察し、大好きなフユコさんを応援しただけですよ? 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ