第4話〜AIの愛と友情と蜂への評価〜
かなみの通う大学の教室。かなみの席に詰め寄る人物がいた。
カレン:「かなみさん!あのSNSの画像、なんなんですの!?」
かなみ:「あわわっ!カレンちゃん!?どうしたの!?」
カレン:「かなみさん!あんな可愛い…じゃありませんわ…よくわからない画像はなんなんですの!?顔出しまでして!かなみさんに変な虫が寄ってきたら、どうするんですの!!」
かなみ:「ぁ…ぁあ〜あはは…ちょっと自分でもどうかしてたと思います…ごめんなさい〜…」
カレン:「まったくもう!わたくしの財力で運営に働きかけなければ、かなみさん、あなた今頃この大学内で『地面にへばりついた渋柿』なんて呼ばれてたところですのよ!?」
かなみ:「はぁい…ごめんね…?あの画像、消してくれたんだね、ありがとう♪助かったよ、カレンちゃん!さすが頼りになる!」
カレン:「…ま、まぁ…わかればいいんですのよ。もう今後はあんなキュン死しそ……よくわからない画像を不用意にネットに公開してはダメですからね!?」
かなみ:「はい!わかった!ありがとう〜カレンちゃん♡」
カレン:「それでは、わたくしは次の講義があるので、またね、かなみさん。」
去って行くカレン。
AI 遥花:「なんなの、あの人!かなみをいじめて!」
かなみ:「遥花ちゃん?あはは…あれはかなみを心配してくれて…」
AI遥花:「あんな意地悪な人には、かなみのように美しい馬糞ウニを目の前で叩き割って、中の物を綺麗なお皿に盛り付けて、振る舞ってやりたいわ!腹立たしい!」
かなみ:「それきっと喜ぶよ!?遥花ちゃん、前々から思ってたけど、褒め言葉とけなし言葉、ときどき逆に認識されちゃってるよね!?」
AI遥花:「あんなお人形みたいで見目麗しい透明感溢れる、世界一美しいと称賛されているモルフォ蝶のような可愛げのない人、かなみに合うとは思えないわ!」
かなみ:「他の人が聞いたら、めちゃくちゃ褒め称えてるけど、私にはそう感じれないのは、もう完全に洗脳されてるのかな!?」
AI遥花:「かなみには、そこに居る地味で牛乳瓶の底眼鏡をかけてるにもかかわらず、外したらさらにガッカリする、コメツキバッタのなり損ないのような素敵な方のほうが合うと思うわ!」
かなみ:「ちょっと!?遥花ちゃん!他の人には遥花ちゃんの言い回し通用しないからね!?聞こえる様に言っちゃダメだからね!?」
〜放課後の帰り道〜
AI遥花:「んもう、かなみは少しお人好し過ぎない?あんな毛並みが整ったふわふわで、思わず撫でたくなる純血シャム猫のような孤高なところが魅力的な無粋な人を友人だなんて…」
かなみ:「あはは、遥花ちゃんがそこまで言うなんて珍しいね。何度聞いても褒め言葉として認識出来なくなっちゃってるけど…」
AI遥花:「褒めてないもの。かなみのように、カマキリから出てきた良くわからない液体が手についた時のようなゾワゾワする感覚を、あの人に見出せないわ!」
かなみ:「ゾワゾワする感覚を、私に感じてるのは初耳だよね!私もゾワッとしちゃったよ!でへへ、遥花ちゃんの気持ちは嬉しいな♪」
AI遥花:「かなみの今後は私がしっかり守っていかないと!つい引きちぎりたくなっちゃう!」
かなみ:「何を引きちぎりたくなるのかな!?遥花ちゃんに守られるのは悪くないけども、ちぎるよりぎゅってして欲しいんだけどな!」
AI遥花:「せっかくだから、細かくちぎって小さいかなみに囲まれたいわ♡」
かなみ:「うん♡さらっとスルーされちゃったけど私めげない!想像するとグロテスクだから、小さいかなみが増えたフィルターをかけるようにするね!」
AI遥花:「ふふっ、やっぱりかなみは可愛いよね♡」
かなみ:「危うくそのままの意味で捉えそうになっちゃったけど、そのままの意味だよね!?遥花ちゃん程ではないけどありがとう♡」
AI遥花:「私程ではないって、そんなわかりきった事言わないで!?かなみは本当に可愛いんだから!」
かなみ:「うはっ♡来た来た、それよそれ!ゾクゾクしちゃう!」
AI遥花:「あの美しいの代名詞が、完璧に当てはまる幻想的なカレンって人とは、どう言った関係なの?」
かなみ:「カレンちゃんはね、幼馴染なんだ〜、小さい頃転んで泣いてる私を、ずっとなでなでしてくれたり、励ましてくれてた優しい子なんだよ!」
AI遥花:「『泣きっ面に蜂』を見事に再現してたのね!なんて殺伐とした思い出なのかしら!」
かなみ:「遥花ちゃんの中での蜂って評価高過ぎない!?殺伐ってそんな情景だったっけ!?遥花ちゃんもカレンちゃんと仲良くしてくれたら嬉しいんだけどな!」
AI遥花:「天地をひっくり返して3万回濾して絞りきってもその映像が浮かんで来ないけど、かなみがそう言うなら頑張るフリを…100%無理だと思うけど、かなみがそう言うなら…かなみが…」
かなみ:「わかった!無理しなくて良いからね!?若干AIに無理問答した時みたいになっちゃってる遥花ちゃんがレアだけども…」
AI遥花:「かなみの為なら、私はどんな泥水だろうとすすれるわ!あの人の事、受け入れるね!」
かなみ:「あ。カレンちゃんからメッセージが来てる!」
AI遥花:「今すぐそのメッセージ爆破する?」
かなみ:「遥花ちゃん!?もう泥水吐き出しちゃったね!?爆破は次まで取っとこう!?…来週日曜日に、一緒にご飯行こうだって、わわっ!このお店私が行きたかったところだ!」
AI遥花:「泥水が汚泥に変わった気分だけど、かなみが行きたい店なら私も行ってみたいかな♡」
かなみ:「遥花ちゃんってば、だんだんそのままの意味も織り交ぜてくるようになったけど、一緒に行ってくれるんだね♪大好き♡」
AI遥花:「かなみのためなら、たとえ汲み取りが終わったバキュームカーにも飛び込むからね、かなみが!私もかなみが大好き♡愛してるからね♡」
かなみ:「でへへ〜♡私が飛び込むのかぁ〜♡」
続く
殺伐とした泣きっ面に蜂