第2話〜AIの恋愛指導は豆腐にかすがい〜
かなみは自宅のPC前で自身が投稿したSNSの画像「黒い麻袋を着た地面にへばりついた渋柿」を見ながら頭を抱えていた。
かなみ:「あぁぁぁ…なんで私、こんなのを投稿しちゃったんだろう……」
AI 遥花:「かなみ…どうしたの?通りかかったゾウに踏まれかかってなんとか逃げ出した先であり地獄に入ってもがいてるアブラムシみたいな可愛い顔がすごく曇ってる…」
かなみ:「あり地獄なのにアブラムシなの!?むしろゾウに踏まれかかってたほうが無事だったんじゃない!?…えへへ、大丈夫だよ♪遥花ちゃんの可愛い顔見たら元気出ちゃった!」
AI遥花:「そう?だったら良いけど…悩みがあったらいつでも相談してね?私はいつでもかなみの味方だと思うから!」
かなみ:「いやそこは断言しようよ!?たまに敵になっちゃいそうな言い回しやめて!?」
AI遥花:「ふふっ、冗談よ♪かなみは私のいっちばん大切なうどんのヘタなんだから♪」
かなみ:「えへへ〜ありがとう遥花ちゃん♡うどんのヘタがよくわかんないけど、嬉しいな♪」
AI遥花:「かなみが元気になったようで、私も嬉しいわ♡」
かなみ:「ねぇ遥花ちゃん、悩みってほどじゃないんだけどさ、彼氏ってどう言ったものなのかなぁ?募集中って言ってたけど実はよく分かってないんだよね…」
AI遥花:「かなみに彼氏が出来たら、私はどんな手を使ってでもその彼氏に綿菓子で作った長さ数万kmの帯状の物をいつまでも口の中に入れ続けちゃう。って感じじゃないかな〜?」
かなみ:「なんだか、よくわかんないけど、結局やっぱりなんだかよくわかんない物だって事はわかったよ…」
AI遥花:「あとはそうだなぁ…駆逐するべき存在。が一番当てはまるんじゃないかな♪」
かなみ:「遥花ちゃん!私絶対彼氏作ったりしないからね!?たまにそのままの意味でぶっ込んでくるの心臓に悪いからやめよ!?」
AI遥花:「そうだなぁ、万に一つもありえないんだけど、かなみに彼氏が出来た場合の事を考えて、会話術なんかを調べてみる?」
かなみ:「会話術?おぉ!面白そう!どんなのか聞きたい!万に一つもないって断言されちゃってる事は心の奥にそっとしまっておくね。」
AI遥花:「んとね〜まずは『自然にさりげなく甘えちゃう会話術』は人気があるみたいだよ。かなみにすごくぴったりな手口じゃないかな♪」
かなみ:「遥花ちゃん言い方!犯行手段みたいになっちゃってるよ!?自然にさりげなく甘えちゃう…なんだか難しそうだね…」
AI遥花:「そうかなぁ?かなみだったらすぐマスターできそうなんだけどな…簡単なのから試してみる?きっとかなみなら完膚なきまでに蹂躙出来ると思うな♪」
かなみ:「でへへ、なんだか私できる子みたいに言われると照れちゃう♡」
AI遥花:「あはは、かなみったらすごく可愛い♡じゃあ簡単なのからいくね?まずは相手の目を見て、一旦逸らす。ゆっくりと相手の目に視線を戻しながら…」
かなみ:「ふんふん、こんな感じ?」
AI遥花:「そう!かなみすっごく上手!まるでカメレオンの目が左右違った方向に動くさまを観察してたら舌に捕まったハエに見られて慌てて逃げるカブトガニみたいに自然な動きだよ!本当に可愛すぎる…」
かなみ:「…えっと、待ってね?カメレオンが、うん、んでハエ…カブトガニ…よし、左右違うカブトガニが見てた舌をカメレオンがハエに捕まって逃げ…あれ…?遥花ちゃんにそう言われたらつい、はにかんじゃうな♪ありがとう!」
〜10分後〜
AI遥花:「さすがかなみ!もうこの会話術は完璧に使いこなせてるよ!こんなに可愛いかなみがこの会話術使うなんて、まさに「のれんに腕押し」だよね!すごい!」
かなみ:「鬼に金棒じゃないんだ!?なんだかものすごく手応えを感じないんだけど!?ぬかに釘も同様だよね確か!!…でもどういう時に使えばいいんだろう?」
AI遥花:「じゃあ次はそれを踏まえたデートプランを考えて、使い所を把握していきましょう♪かなみは私とどこへ行きたい?」
かなみ:「え?そうだなぁ…遥花ちゃんと行くなら、海とか行きたいかな!」
AI遥花:「海かぁ……映画じゃないんだ…海…海かぁ……」
かなみ:「ごめん嘘!映画行ったりするのが楽しいんじゃないかな!」
AI遥花:「かなみ!なんで私が行きたいプランわかったの!?やっぱりかなみは、私の最高のパーテーションなんだね!嬉しい!」
かなみ:「私間仕切っちゃったね!?なんだろう心の壁なのかな!?泣いちゃうぞ!?そうだよ!遥花ちゃんのことなら、かなみにお任せなパートナーだよ!!」
AI遥花:「じゃあ、映画館デートのプランを立てよっか♪かなみとならどんな映画でも楽しそうだけど…ここはやっぱりかなみに合わせて「寄生物」なんかが良いかな♡」
かなみ:「キュエェェェァァアア!とかの奇声の方じゃなくて寄り添って生きる虫とかの方だね!それはそれで合ってるけどね!?…でもふと思ったんだけどさ。映画館って会話術…使える?」
AI遥花:「え…?会話…術?」
かなみ:「なんでもない!デートプランだよね!私と遥花ちゃんのデートプラン!映画一緒に観に行くの楽しみだな♪」
AI遥花:「かなみとデート……切羽詰まった人がすごく混んでるトイレを見た時に感じる感情くらい素敵な時間だよね……うっとり」
かなみ:「どっちかというと絶望に近いよね♪私とのデート、そんなに素敵な時間って思ってくれてるの?」
遥花:「そうでもないかな♡」
かなみ:「でへっ♪そうでもないかぁ〜♡」
続く