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恋についての全てを私は知りたい。 〜癖強JKが超能力で男子の心を読み恋を知る〜  作者: 向夏夜なくの
一部 三章 恋が人に与える影響について

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第38話 諦められない恋心(3)

「それって、つまりどう言うこと?」

「要するに、僕が香取さんの観測分体を作るってことさ」


――どうやって?


ちょっとした図画工作感覚で聞いてみる。


「観測分体って自由に作れるの?私も作りたいのだけど」

「興味あるところ悪いんだけど、無理かな。僕の観測分体でしか出来ないんだ」


太陽君は私になら教えて良いと勿体ぶりながら、彼の観測分体について教えてくれた。


太陽君の観測分体が出来ることは以下の通り。全部教えてくれたのかは分からないけど、一旦気にしないことにする。


一つ、世界に存在する観測分体の一覧が確認出来る。

二つ、任意の機能を持った観測分体を他者に付与出来る。


おそらく、かなり強力な観測分体なのだと思う。私や三花ちゃんと比べると、あまり使い所は無さそうだけれど。


一つ目の、世界に存在という点が気になって詳しく聞いてみたのだけど、観測分体からは観測波が生じていて、観測分体同士が繋がっているんだそう。その繫がりを辿ることで一覧が見れるらしい。ってなんだそれ。


二つ目の、観測分体を作るのにも、実際は色々と制約が多いようだった。簡単に言うと、強力過ぎる観測分体は作れないらしい。


細かいことは聞いてもよく分からないので、とにかく今回は観測分体を作って香取さんに与えようということだ。


「それで、香取さんの為に二星級の観測分体を作ろうと思ってる」

「二星級って何。私のは何星級なの?」

「星級というのはUOONで定められている観測分体の観測力の強さを分類する尺度だよ。結姫のは四星級くらいかな。数字が大きいほど強いんだ」


私は観測分体について知らないことが多すぎる。細かく聞こうとしたら、「教えて良いか分かんないからUOONの学校が出来るのを待って」と言われた。


確かに、太陽君のお義父さんからUOONで学校を作っていると聞いたけどさ(※14話参照)、一体いつになるかも分からない話だよ?


「それで、どういう観測分体を作ればいいのかな?」

「え?記憶を消すって言ってたよね」

「問題はどうやって消すかだよ」


――??


太陽君は目を閉じて、何やら念じ始める。何をしているのか不審に思ったけど、おそらく観測分体の一覧を見ているに違いない。


「大分類は魂で、二星級で、えーっと、良さげなのは……。忘却、封印、削除、変換。この辺りかな。どれが良いと思う?」

「私、何にも見えないよ?」

「僕の心を読んでみてよ」


言われた通りに太陽君の心を読む。すると、太陽君に見えているモノが私にも見えた。


カードバインダーのような本に、沢山のカードが収納されていて、それぞれに名詞と説明が書いてある。これら一つ一つが観測分体なのかな。


「観測分体に名前ってあるんだね」

「そうだね。何故こんなにもしっかり管理されているのかは、僕にも分からないのだけどね」

「私の観測分体の名前って分かるの?」

「鑑定用の観測分体じゃないと分からない。少なくとも言えるのは、今見えている名前では無いということさ。同時に同じ名前の観測分体は存在できないから」


そう言って、太陽君は香取さんに付与する候補の観測分体の名前と説明を教えてくれた。


"削除"の観測分体は未来永劫、記憶から過去の出来事を完全に削除することが出来る。

"忘却"は期間を指定して一時的に忘れさせるから、時期が来ると勝手に思い出す。

"封印"、これは一度封印すると縛りを解くまで思い出すことは無い。

"変換"は好意を別の感情に置き換えることが出来る。


どれも似たりよったりで、決められない。


「舛谷先輩にどれが良いか聞いてみる。先輩の決めたことなら香取さんも本望だと思うし。ちなみに、事前に決め無くても作れるものなの?」

「大丈夫、二星級なら一瞬さ。先輩に聞いてから決めようか」





――次の週、部活の時間。


部室の扉を開けると、舛谷先輩がいつものように机に向かって勉強をしていた。


最近は、本当に勉強ばかりしているよね。はたして、秋見先輩の相手をしてあげているのだろうか。


勉強は私のお陰でメキメキ力がついてきていると思う。けれど、それで秋見先輩との仲が悪くなったでは困る。


──勉強も、恋も、ちゃんとやっているのだよね?


無言で舛谷先輩の向かいの席に座って、話しかける。


「先輩、こんにちは。お話があります。手を止めてくれますか」

「企比乃か。ああ、いいぜ。手を止めろとは珍しいな。死ぬまで手を止めるな!って言う方が似合ってるぞ笑」


「そうですね笑」とでも言って愛想笑いが出来ればまだ可愛いのだろうけど、そういう小細工が私には出来ない。思っていることがそのまま表情に出てしまう。


冗談混じりに笑う先輩は、私のしけたつらを見ると今度は思案気な顔になる。


最初から本題も急すぎるから、適当な話題は……。


「最近、秋見先輩とどうですか?仲良くやってますか?」

「まあな、その為に生きてるようなもんだから。香取さんがいなければ、もっと平和なんだが」

「香取さんをどうにか諦めさせたいとか、思いませんか?」

「諦めはさせたいな。でもな、策が無いだろ。愛可が嫌がってるのは知ってる」

「……私が何とかしましょうか?」


怪しみ全開の顔で、見つめてくるのを止めて欲しい。


「例の心を読むってやつか?」

「まあ、そんなところです」


平然と私は嘘をつく。

けれど、ここで太陽君の観測分体について話す必要は一切ない。


「香取さん、先週お悩闇相談に来ましたよね。舛谷先輩への気持ちを何とかして欲しいって。それで舛谷先輩も何とかしたいと思っている。つまり、彼女の気持ちを何とか出来ればお互いWinWinじゃないですか」

「それはそうだが、見えねえな。どうやって解決しようとしているのか」

「そこは企業秘密なので言えないのですが、いくつかやりようがあります」


あたかも私が出来るかのように、太陽君から聞いたことをそのまま話す。記憶の"削除"、"忘却"、"封印"、"変換"なら出来ることを伝えると、先輩は特に驚きもせずに内容を飲み込んだ。


考えを巡らし、黙り混むこと一分と少し。「早く決めないと、みんながこの部屋に来ちゃうのに……」と思っていると、先輩は苦々しい表情になる。


「俺には策がねえ。だから、何かするなら企比乃に任せるしかないと思ってる。その上で聞くんだが、本当に記憶を何とかするしかないのか?」

「分かりません。でも私ならそうします」

「……そうか。なら、そうなんだろうな」


心を読まなくても、あまり乗る気では無いことは分かる。話の進め方を迷っていると、先輩の方から口を開いた。


「よし。愛可に聞いてから決めるか。記憶をどうにかしてまで対処すべきなのか分からねえし、愛可が望むならやってくれ」

「はい、分かりました。それで"削除"か"忘却"か方法はどうしたいですか?」

「"封印"で頼む。俺の一存いちぞんで記憶を消すこと自体、本来やっちゃいけないだろ?だから、何かあった時に戻せるようにしておくことは倫理的に最低限必要だろうな」

「舛谷先輩の決めたことなら香取さんは異存無いと思いますが……、分かりました。"封印"ですね」


「愛可には"封印"する話はしないでおく。単に記憶を消したいかどうかだけ確認して、消したいんなら"封印"する感じで」

「わかりました」


秋見先輩を第一で考えるなら、記憶を"削除"するか"変換"するのが一番後腐れは無い。"忘却"か"封印"は後々思い出す可能性が残るから。


逆に言うと、"削除"や"変換"は不可逆的に記憶に作用するから元通りには出来ないということで。そこまでやってしまうのは、舛谷先輩の倫理観的にNGらしい。


男なら後腐れなくビシッと決めて欲しいところではあるけれど、自分の記憶を消すのでは無いから、このくらい慎重な方が良いのかもしれない。


私も太陽君にとっても記憶を消したことは無いのだから、記憶を消しすぎちゃう事故が発生するかもしれないし。正直何がどうなるのかは全く分からない。


「秋見先輩が来たら聞いてみますね」



程なくして、秋見先輩の足音が近づいてくる。部屋に入るなり、不満を漏らす。


「はあ、本っ当にムカつく。香取をなんとかしてー!」


バッグを机の上に雑に放り投げると、私の隣の席に座る。


「結姫ちゃん聞いてよ!あの女、私と珀君の周りでずっとうろちょろしてるの。ストーカーするにもあからさま過ぎるし、おかしいよね。今日部活に来たらガツンと言ってやろうと思ってー」

「恋は病と言いますから、多分病気なのだと思います」

「まあそこまで言ってやるなよ。彼女は彼女で悩んでんだろ?」

「珀君はあの女の味方なの?あり得ないんだけどー」

「そうじゃねえって。企比乃、代わりに説明してくれ」


記憶を"封印"出来ることを話すと、「今すぐにやって」と即答された。


これで、香取さんの舛谷先輩に関する記憶が"封印"されることが呆気あっけなく確定した。



しばらくして、いつものように太陽君が淹れてくれた紅茶を飲んでいると、今日もノコノコと香取さんがやってきた。


頬っぺたに少し酔ったような赤いチークを入れて、男子受けしそうなあざとい顔だ。学校はナチュラルメイクまでがルールだと言うのに、やりたい放題やっている。


「茶話部の皆さん、こんにちは。舛谷先輩もこんにちわぁ!」


私も茶話部の一員ですと言わんばかりにずけずけと歩いてきて、秋見先輩を差し置いて舛谷先輩の隣の席に座る。


秋見先輩は確実に怒っているので、出来るだけ視界から外しておく。


「香取さん、舛谷先輩から一つお願いがあるのだけど。聞いてあげて?」

「はぁい!当然です!私、舛谷先輩のことが大好きなので、何でも聞いちゃいますよぉ」


香取さんは舛谷先輩の方を向いて、聞く体勢を整えるために椅子に座り直す。


「香取さん、お願いがある。俺の為に、俺に関するこれまでの記憶を、全部、消してくれ」

香取さんがここまで舛谷先輩好きを貫いているのは、そうすることで自己防衛をしているんです。

諦めない限り可能性はあると、自分自身に言い聞かせて精神をギリギリ保っていて、とうにライフはゼロなのです。

それにしても記憶を消してくれなんて、、


そして太陽君の観測分体は一見強そうですが、持っている側からするとハズレかも知れません。

現にここまで、太陽君の観測分体は使い道がありませんでした。

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