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第93話 変わらなかった心
百奈はブレなかった。まだ結果が出た訳でも何でも無かったが、自衛官としてこの国を守りたい。その心は決して変わらなかった。それは彼女も人間だから辛い事の1つや2つはある。それでも一度その道を志した以上は中途半端なままでは終わりたくない。そう言う気持ちが彼女を昇任試験受験させる事にさせた。ややもすると、自分は自衛官には向いていないかも分からない。そう言う葛藤の気持ちが無い訳が無い。それでも続けようと思ったのは、自衛官と言う職業の持つ奥深さに加えて、プライドが芽生え始めていた事も大いに関係していた。下っ端は下っ端だけれども、部下を率いてまだまだ自衛隊で活躍していきたい。その気持ちがブレなかった。百奈なりの真っ直ぐで偽りの無い、変わらなかった心のおかげで先の事まで考えてみようと思えたのだ。そしてそれは、誰に言われたからでも無く、自分で決めた道程である。自分の進む道は自分で決めなければならないと、そう思っていた。




