第87話 死ぬ覚悟
部下に死ねと言えるか?と言う事も重大なテーマだが、自分が死ぬと言う覚悟を持つ事もそれと同等かそれ以上に重大なテーマであると思う。自分に死ぬ覚悟が無いにも関わらず部下に死ねとは、正常な人間には言えない言葉である。自衛官は簡単に分かりやすく言えば軍人である。国家防衛は軍人の専売特許である。死ぬ覚悟が無い内は出撃するべきでは無い。そこを乗り越え無ければ前線に出ても足手まといになるだけである。死ぬ覚悟を人に求める以前に自分に死ぬ覚悟を持たせなくては倫理が通らないのである。そしてこの死ぬ覚悟と言うものは人に強制されるものではない。あくまで自由意思によるものでなくてはならない。民主主義の上に成り立っている自衛隊では、死を覚悟する事は出来たとしても死を強制する事は出来ない。それを守らなければ、立ち所に民主主義は崩れてしまう。死ぬ覚悟も無しにもし仮に戦場に行って、死んでしまった場合に、そこに残るものは後悔や無念と言ったマイナスな感情しかない。それはあってはならないのであろう。




