第82話 慰霊祭
赤道祭りと同じ様に、長期航海中に先の大戦の激戦地となった海域を通る際に行われるのが、慰霊祭である。大日本帝国海軍とは全く別組織ではあるが、海上自衛隊は大日本帝国海軍のDNAを受け継いでいる。海上自衛隊の屋台骨は帝国海軍のものであるからだ。海上自衛隊の成り立ち上、人員や装備や施設は大日本帝国海軍から引き継いだものが多い。先の大戦では日本軍兵士と民間人を合わせて300万人以上が亡くなっている。海戦により亡くなった人達への現代人が出来る最低限の礼儀なのかも知れない。慰霊祭と言っても、赤道祭りとは違いどんちゃん騒ぎはしない。献花や手を合わせたり、小銃を空に向けて発射したり、メモリアルで厳かな雰囲気で行われる。作戦の優劣はともかくとして、作戦に命をかけて、国家の命運を握る戦いに参加し、あえなく帰らぬ人となってしまった御英霊に対して、かけるべきは鎮魂の祈りと敬意であり、やかましい政治的・分析的な言葉であってはならない。同じ国家の防衛を担っていたと言う点においては、大日本帝国海軍軍人も今の自衛官も同じ様な存在である事にはかわりはない。




