66/96
第66話 プロポーズ
3ヶ月の海外任務を終え、暑さと水に心配をしなくて良いと一安心した時だった。久しぶりに会った恋人の富夫から突然プロポーズをされたのである。プロポーズ自体には興味の無かった早瀬だったが、急すぎる富夫の申し出に頷く事しか出来なかった。プロポーズはもっとロマンティックなものだと思っていたが、現実はそうでは無かった。プロポーズを1度は頷いて承諾した早瀬であったが、やはり1回だけ考えさせて欲しいと、返事を留保したら富夫は快くそれを許諾してくれた。人生でそう何度もあるものではないプロポーズを受けたのだから、その早瀬の反応も致し方無いと思う。早瀬はあえて誰にも相談しなかった。それは誰かに相談すると、更に余計な迷いが生じると考えたからだ。早瀬はひたすら一人で悶々と悩んだ。悩んだと言うよりはどう言えば格好が付くかなと言う事に精魂を使った。答えはもちろん早瀬の中では一択であった。それをどんな風に伝えるかと言う事が彼女を悩みの渦へと飲み込んでいた。




