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第62話 海外任務(海賊対処)
任務が多様化している現在の自衛隊にあって、海外任務を任される事も、少なくなくなった。例え一兵卒であろうがエリートだろうが、命令には逆らえない。嫌なら辞めるしかない。早瀬は今回、海賊対処と言う事で、アフリカ・ジブチにある海上自衛隊の戦後初の海外拠点で、そこを拠点に海賊対処任務に向かう事になった。戦闘地域では無いものの、スキフと言う大きな小型船に乗った海賊が、AK-47カラシニコフ小銃やRPG-7ロケット砲等で武装している事もあり、油断する事は出来ない。普段訓練しているとは言え、それはあくまで平時の訓練でしかない。予測不可能な有事にどれだけ対応出来るかが、自衛官としての本懐である。日本から遠く離れた任地と言う事もあり、富夫は滅茶苦茶心配していたが出港の日にはしっかりやって来いとあっさり早瀬を送り出した。港まで行く事をしなかったのは彼なりの別れの流儀なのかも知れない。ただ、早瀬を見てしまうと未練が残るからであろうと、それだけの事だったのであるが。




