59/96
第59話 女らしさ
男社会である自衛隊にあって、WAVE(女性海上自衛官)は紅一点的な存在である。普段自分では意識していなくても、女らしさと言うものが部隊の中で自然に発揮出来る様に調整しているはずである。しかし、外出・外泊で外に出る事があると、普段調整しているはずの女らしさでさえ男っぽいと感じられてしまう事を認識しておかねばならなかった。それは、富夫とデートする時も同じである。2割増位の女らしさでようやく相手に女性らしさを感じてもらえる。自衛官とは少し損な職業なのかも分からないが、職業病?の一種だと思えばなんて事は無い。自衛隊の体育会系的なノリに普段から慣れてしまっている早瀬にとって、2割増の女らしさは窮屈なものであり、そうと分かっていても、振り絞りたかった。ところが、富夫はその事に関して何とも思っていない。2割増の女らしさを出そうと出さまいと、早瀬百奈と言う人物に変わりは無い。と、そう思っているからだ。その事に早瀬が気付くのはそう遠くない将来の事である。




