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第51話 デート(1)
早瀬は休みになっては、トレンドをチェックする為ネットサーフィンをしていたので、思うほど流行に乗り遅れてはいなかった。気に入った商品があれば通販で購入していたし、都会と言っても出られるのは福岡辺りまでであったが、ツボは押さえていたつもりである。自衛官とは言え、まだ10代後半を過ぎたばかりの若者なのである。今日の富夫とのデートでも、そのネットサーフィンを駆使して手に入れた。アイテムで身を固めていた。
「百奈?早いよ。」
「富っちが遅いだけでしょ?」
そう言うと、2人は手を繋ぎ佐世保の映画館に向かった。夜7時を過ぎての入館だったが、これにはもちろん理由がある。深夜帯は割引が効くからである。普段は1人で見に来る事がほとんどであった早瀬にとって、恋人と2人でしんみりと見る映画は新鮮そのものであった。見たのはラブストーリー系で最後に泣けるシーンがあったが、早瀬はいつも味わう事の出来ないムードに酔いしれていた。映画を見終わると、夜10時半をまわっていた。




